2022-01-01から1年間の記事一覧

日本ラブコメ大賞2022:Ⅲ 緩やかで幸せな時間

第10位:妻の連れ子とセフレな関係/ぷちゴリちゃん[三和出版:SANWA COMICS] 10 さて日本ラブコメ大賞成年編という事でいわゆるエロ漫画が対象になるわけだが、ただエロいだけでは駄目である。また「地味で平凡な少年、青年、中年」と「美人で…

日本ラブコメ大賞2022:Ⅱ 時代は常に新興勢力に味方

第10位:女子高生と聖職者さん/財政ろろ[竹書房:BAMBOO COMICS] 女子高生と聖職者さん (2) (バンブーコミックス) 作者:財政ろろ 竹書房 Amazon ラブコメとは何か。「地味で平凡で冴えない男(主人公)」に「美人でスタイルもいい女(ヒロ…

日本ラブコメ大賞2022:Ⅰ それともいよいよ

世界を覆うコロナ禍が始まったのが2020年、その後も一進一退を繰り返し2021年を経て2022年となった。多くの人が死んだ、俺はコロナに感染しても生き残った。俺より容姿や才能や財産に恵まれていた人が死ぬ、俺は生き残る、或いは俺より不運で不…

本で床は抜けるのか/西牟田靖[本の雑誌社]

本で床は抜けるのか 作者:西牟田 靖 本の雑誌社 Amazon 本で床は抜けるのか。床が抜けたら住めなくなるのだから大変だ。自分の持ち家なら自分の責任で修理すればいいが、アパートやマンションに住んでいて、床が抜けたら自分だけの問題ではすまないぞ。そう…

徹底図解 大奥/榎本秋[新星出版社]

徹底図解 大奥 作者:榎本 秋 新星出版社 Amazon はて聞いた事のない出版社であるが…まあ内容が良ければ問題ないだろう、大奥と言えば江戸時代のいわゆるハーレムであり、そのハーレムの美人達の絵が所狭しと描かれているし退屈する事はあるまい…という事でど…

官房長官 側近の政治学/星浩[朝日新聞出版:朝日選書]

選書921 官房長官 側近の政治学 (朝日選書) 作者:星 浩 朝日新聞出版 Amazon さて政治プレイヤーは多くいる。もちろんその頂点は内閣総理大臣(=与党党首、ほとんどの場合自民党総裁)であるが、首相一人だけで政治はできないのだから、実際の政治におい…

かくして政治はよみがえった 英国議会・政治腐敗防止の軌跡/犬童一男・河合秀和・高坂正堯・NHK取材班[日本放送出版協会]

NHKスペシャル かくして政治はよみがえった―英国議会・政治腐敗防止の軌跡 作者:一男, 犬童,正尭, 高坂,秀和, 河合,NHK取材班 日本放送出版協会 Amazon NHK的切り口というものがあって、前半に問題・現実の実態や断面を見せて原因に迫るところまでは迫力…

特別企画・10年の100冊 2012年~2022年

突然ですがこのブログはこの世に生を受けた俺が生を受けさせて17年になります。2005年(平成17年)、当時22歳だった俺、兵庫県の片田舎で惰眠を貪っていた俺が何の迷いか始めて紆余曲折を経て39歳となった今でもこうして棲息しております。ツイ…

強引で性急な組閣

参議院選挙投票日の2日前に元首相にして最大派閥の長が殺害されるという恐ろしい事件が起こったが、その選挙で自民党は比例票において、3年前より6百万票(24百万票→18百万票)も減らした。しかし野党が分散してくれたおかげで改選議席過半数という勝…

図書館雑誌2022年1月号・2月号・3月号[日本図書館協会]

20220730 日本図書館協会。図書館の素晴らしさと大切さを日本全国津々浦々の人々に伝える、また図書館業界で働く全ての人達(司書他)が誇りを持って憂いなく働く事ができるよう様々な取り組みを行う団体…というのが表の顔であろうが、人の世の常として先立…

夢探偵/筒井康隆・編[光文社]

20220626 まず「夢探偵」というタイトルがいい。夢はそういう、ミステリアスでエキゾチックなものなのだ。我々が夢の内容を探偵するのか、それとも夢自身が探偵となって我々を探ろうとしているのかはとにかく、人間は必ず夢を見るのだ。どんなに合理的で効率…

田中角栄と中曽根康弘 戦後保守が裁く安部政治/早野透・松田喬和[毎日新聞出版]

田中角栄と中曽根康弘 戦後保守が裁く安倍政治 作者:早野 透,松田 喬和 毎日新聞出版 Amazon さて日本政治、と言えば田中角栄である。これはもう、日本史と言えば織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、或いは勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬の名前が浮かぶのと同じで、…

近代出版研究 創刊号/近代出版研究所[皓星社]

近代出版研究 作者:近代出版研究所 皓星社 Amazon 本の内容ではなく本そのもの、或いは本に関わった人、会社、成立した業界や産業、流通、意識、当時の常識非常識、法律、等、等、本好き読書好きであれば気になる事は無数にある。しかし何となく気になるだけ…

ジョークなしでは生きられない/阿刀田高[新潮社:新潮文庫]

ジョークなしでは生きられない(新潮文庫) 作者:阿刀田 高 新潮社 Amazon その通り、ジョークなしで生きられますまい。勤勉で真面目に、波風立たせることなく冒険することなく小さく狭くなって生きていても死ぬのが早まるだけであります。どうせ死ぬのなら…

昭和天皇 1945-1948/高橋紘[岩波書店:岩波現代文庫]

昭和天皇1945‐1948 (岩波現代文庫) 作者:高橋 紘 岩波書店 Amazon 昭和史の中で最も緊張に満ち、殺伐としていた「十五年戦争の時代」は昭和二十年八月十五日に終わった。満州事変、五・一五事件、二・二六事件、日中戦争、太平洋戦争、広島・長崎の原爆投下…

貧困旅行記/つげ義春[晶文社]

貧困旅行記 作者:つげ 義春 晶文社 Amazon もちろんつげ義春は「ねじ式」も「紅い花」も「李さん一家」も読んだ。あれは確か高校3年生の頃だ。しかしなぜあのような、ラブコメに縁もゆかりもないような漫画を読んだのだろう。つげ義春作品を読む事がオタク…

怪しい来客簿/色川武大[文藝春秋:文春文庫]

怪しい来客簿 (文春文庫) 作者:色川 武大 文藝春秋 Amazon どうも読みにくい小説だった。と言っても別に難解なわけではないし、ストーリーが面白くなかったわけでもない。むしろ話としては面白かった。周囲の「怪しい」人々や、戦前にいた「怪しい」有名人と…

闇将軍 野中広務と小沢一郎の正体/松田賢哉[講談社:講談社α文庫]

闇将軍―野中広務と小沢一郎の正体 作者:松田 賢弥 講談社 Amazon 読後の感想は「面白いと言えば面白いが、面白くないと言えば面白くない」であった。それもまた貴重な読書体験で、「面白い本」「面白くない本」に出会う事はあってもこういう矛盾を抱えた読み…

何もしないアメリカ、何もしない中国

ロシアがついにウクライナを攻撃した。ロシアは「特別軍事攻撃」、即ち「戦争ではない」と主張しているが、現地での有様はまさしく戦争そのものである。そして戦争はある日突然起こるのではなく、徐々にそこへと至る。それまで積み上げてきた外交の失敗が戦…

また、嘘八百! 明治編/天野祐吉[文藝春秋:文春文庫ビジュアル版]

また、嘘八百!!―広告ノ神髄トハ何ゾヤ?〈明治篇〉 (文春文庫―ビジュアル版) 作者:天野 祐吉 文藝春秋 Amazon 見よ、この商品を! この広告を! 天下に名立たる〇〇博士が絶対に保証する素晴らしき薬! 宮内省御用達の光輝く食材! 陸軍省海軍省御用達の特上…

鳳仙花/中上健次[小学館:小学館文庫]

鳳仙花―中上健次選集〈4〉 (小学館文庫) 作者:中上 健次 小学館 Amazon 背表紙に「匂い立つ『母の物語』」と書かれてあるが、読後は『女』の物語の印象が強い。まだ肉体の目覚めを知らぬ少女がやがて三人の男と関係を持ち、五人の子供を女手一つで育てなけれ…

ペログリ日記94~95 震災ボランティア編/田中康夫[幻冬舎:幻冬舎文庫]

ペログリ日記 ’94~’95―震災ボランティア篇 (幻冬舎文庫) 作者:田中 康夫 幻冬舎 Amazon 恐るべき本、と言ったらいいのか。ちょっと違う気がするな。破廉恥な本? 露出過多な本? 自らの華やかな生活をひけらかす本? いずれも当てはまるようで当てはまらない…

ぼくが電話をかけている場所/レイモンド・カーヴァー(訳:村上春樹)[中央公論社:中公文庫]

ぼくが電話をかけている場所 (中公文庫) 作者:レイモンド・カーヴァー 中央公論社 Amazon なるほど。これは村上春樹だ。いや本書の場合の村上は翻訳者でしかないので村上春樹的と言うべきか。いやいや、そんな事は言うべきではないのかもしれない。しかしな…

動乱の時代を取材して 「政治記者の目と耳」 第6集/政治記者OB会[非売品]

20220130 政治家になりたいと思った事はない。しかし政治評論家になりたいと思った事はある。そして今も政治界隈で働いてみたいという想いは漠然と残っている。例えば天下り団体の事務局とか、俺のような地方都市育ちの小役人タイプ、つまり気宇壮大な大きな…

55年体制の実相と政治改革以降 元参議院議員・平野貞夫氏に聞く/吉田健一[花伝社]

55年体制の実相と政治改革以降:元参議院議員・平野貞夫氏に聞く 作者:吉田 健一 花伝社 Amazon だからオーラルヒストリーは難しい。歴史の証人に話を聞く、或いは故人の近くにいた人物から事件の真相・実態・実情を聞く事によって歴史の真実に迫っていく…と…

母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記/松浦晋也[日経BP社]

母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記 (集英社文庫) 作者:松浦 晋也 集英社 Amazon 恐ろしい本であった。「家庭も作らず好き勝手に生きてきた独身男が、50代で認知症の母を介護する事になった」のである。それは誰にでもあり得る事であり、俺にだって…