陸軍と性病 作者:藤田昌雄 えにし書房 Amazon 「陸軍」と「性病」! 何とも気になる、魅力的なタイトルではないか。栄光の大日本帝国の陸軍、大日本帝国を破滅へと導いた陸軍、志願制ではなく徴兵制だった事からどうしても野暮ったさというか田舎臭さが抜け…
歴史への招待〈22〉昭和編 (1982年) 日本放送出版協会 Amazon さて知っている人は知っているNHKの歴史教養番組「歴史への招待」の書籍版が本書であり、収録されているのは「チャンバラ映画黄金時代」「永田軍務局長暗殺」「エンタツ・アチャコで漫才繁盛…
原敬―日本政党政治の原点 (日本史リブレット 人) 作者:季武 嘉也 山川出版社 Amazon 原敬。「はらたかし」というより「はらけい」と言った方がすっきりするが、明治・大正の偉大な政治家である。同じく「明治・大正の偉大な政治家」としては犬養毅もいるが、…
調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス 作者:小林昌樹 皓星社 Amazon さて本書については既に書評等も出尽くしており、その文章の丁寧さ、わかりやすさ、親しみやすさは読んでいて非常に心地よい。本作者による編著書(「近代出版研究 創刊号」…
生殖・交尾大全―イラスト事典 作者:アニマル探偵団 同文書院 Amazon いやはや。読み終わった時のこの感じを何と言ったらいいか。衝撃? 打ちのめされた? 世界が変わった? 目から鱗が落ちた? 生きるのが嫌になった? …強いて言うなら「人間をやめたくなっ…
盗聴 二・二六事件 作者:中田 整一 文藝春秋 Amazon NHKのドキュメンタリー「戒厳司令『交信ヲ傍受セヨ』二・二六事件秘録」(1979年)は、俺も視聴済みである。もちろんリアルタイムでは見ていないが、NHKアーカイブス枠で再放送していた時(20…
これはまた楽しい楽しい本だ。昭和51年から52年、高度経済成長は終わり、ロッキード事件が起こり、戦争を知らない子供達は大人になり、それでも日本は米ソ冷戦の間で結構ずる賢く立ち回る。色んな人が死んでいく、色んな人がはた迷惑な騒動を起こす、と…
第10位:妻の連れ子とセフレな関係/ぷちゴリちゃん[三和出版:SANWA COMICS] 10 さて日本ラブコメ大賞成年編という事でいわゆるエロ漫画が対象になるわけだが、ただエロいだけでは駄目である。また「地味で平凡な少年、青年、中年」と「美人で…
第10位:女子高生と聖職者さん/財政ろろ[竹書房:BAMBOO COMICS] 女子高生と聖職者さん (2) (バンブーコミックス) 作者:財政ろろ 竹書房 Amazon ラブコメとは何か。「地味で平凡で冴えない男(主人公)」に「美人でスタイルもいい女(ヒロ…
世界を覆うコロナ禍が始まったのが2020年、その後も一進一退を繰り返し2021年を経て2022年となった。多くの人が死んだ、俺はコロナに感染しても生き残った。俺より容姿や才能や財産に恵まれていた人が死ぬ、俺は生き残る、或いは俺より不運で不…
本で床は抜けるのか 作者:西牟田 靖 本の雑誌社 Amazon 本で床は抜けるのか。床が抜けたら住めなくなるのだから大変だ。自分の持ち家なら自分の責任で修理すればいいが、アパートやマンションに住んでいて、床が抜けたら自分だけの問題ではすまないぞ。そう…
徹底図解 大奥 作者:榎本 秋 新星出版社 Amazon はて聞いた事のない出版社であるが…まあ内容が良ければ問題ないだろう、大奥と言えば江戸時代のいわゆるハーレムであり、そのハーレムの美人達の絵が所狭しと描かれているし退屈する事はあるまい…という事でど…
選書921 官房長官 側近の政治学 (朝日選書) 作者:星 浩 朝日新聞出版 Amazon さて政治プレイヤーは多くいる。もちろんその頂点は内閣総理大臣(=与党党首、ほとんどの場合自民党総裁)であるが、首相一人だけで政治はできないのだから、実際の政治におい…
NHKスペシャル かくして政治はよみがえった―英国議会・政治腐敗防止の軌跡 作者:一男, 犬童,正尭, 高坂,秀和, 河合,NHK取材班 日本放送出版協会 Amazon NHK的切り口というものがあって、前半に問題・現実の実態や断面を見せて原因に迫るところまでは迫力…
突然ですがこのブログはこの世に生を受けた俺が生を受けさせて17年になります。2005年(平成17年)、当時22歳だった俺、兵庫県の片田舎で惰眠を貪っていた俺が何の迷いか始めて紆余曲折を経て39歳となった今でもこうして棲息しております。ツイ…
参議院選挙投票日の2日前に元首相にして最大派閥の長が殺害されるという恐ろしい事件が起こったが、その選挙で自民党は比例票において、3年前より6百万票(24百万票→18百万票)も減らした。しかし野党が分散してくれたおかげで改選議席過半数という勝…
20220730 日本図書館協会。図書館の素晴らしさと大切さを日本全国津々浦々の人々に伝える、また図書館業界で働く全ての人達(司書他)が誇りを持って憂いなく働く事ができるよう様々な取り組みを行う団体…というのが表の顔であろうが、人の世の常として先立…
20220626 まず「夢探偵」というタイトルがいい。夢はそういう、ミステリアスでエキゾチックなものなのだ。我々が夢の内容を探偵するのか、それとも夢自身が探偵となって我々を探ろうとしているのかはとにかく、人間は必ず夢を見るのだ。どんなに合理的で効率…
田中角栄と中曽根康弘 戦後保守が裁く安倍政治 作者:早野 透,松田 喬和 毎日新聞出版 Amazon さて日本政治、と言えば田中角栄である。これはもう、日本史と言えば織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、或いは勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬の名前が浮かぶのと同じで、…
近代出版研究 作者:近代出版研究所 皓星社 Amazon 本の内容ではなく本そのもの、或いは本に関わった人、会社、成立した業界や産業、流通、意識、当時の常識非常識、法律、等、等、本好き読書好きであれば気になる事は無数にある。しかし何となく気になるだけ…
ジョークなしでは生きられない(新潮文庫) 作者:阿刀田 高 新潮社 Amazon その通り、ジョークなしで生きられますまい。勤勉で真面目に、波風立たせることなく冒険することなく小さく狭くなって生きていても死ぬのが早まるだけであります。どうせ死ぬのなら…
昭和天皇1945‐1948 (岩波現代文庫) 作者:高橋 紘 岩波書店 Amazon 昭和史の中で最も緊張に満ち、殺伐としていた「十五年戦争の時代」は昭和二十年八月十五日に終わった。満州事変、五・一五事件、二・二六事件、日中戦争、太平洋戦争、広島・長崎の原爆投下…
貧困旅行記 作者:つげ 義春 晶文社 Amazon もちろんつげ義春は「ねじ式」も「紅い花」も「李さん一家」も読んだ。あれは確か高校3年生の頃だ。しかしなぜあのような、ラブコメに縁もゆかりもないような漫画を読んだのだろう。つげ義春作品を読む事がオタク…
怪しい来客簿 (文春文庫) 作者:色川 武大 文藝春秋 Amazon どうも読みにくい小説だった。と言っても別に難解なわけではないし、ストーリーが面白くなかったわけでもない。むしろ話としては面白かった。周囲の「怪しい」人々や、戦前にいた「怪しい」有名人と…
闇将軍―野中広務と小沢一郎の正体 作者:松田 賢弥 講談社 Amazon 読後の感想は「面白いと言えば面白いが、面白くないと言えば面白くない」であった。それもまた貴重な読書体験で、「面白い本」「面白くない本」に出会う事はあってもこういう矛盾を抱えた読み…
ロシアがついにウクライナを攻撃した。ロシアは「特別軍事攻撃」、即ち「戦争ではない」と主張しているが、現地での有様はまさしく戦争そのものである。そして戦争はある日突然起こるのではなく、徐々にそこへと至る。それまで積み上げてきた外交の失敗が戦…
また、嘘八百!!―広告ノ神髄トハ何ゾヤ?〈明治篇〉 (文春文庫―ビジュアル版) 作者:天野 祐吉 文藝春秋 Amazon 見よ、この商品を! この広告を! 天下に名立たる〇〇博士が絶対に保証する素晴らしき薬! 宮内省御用達の光輝く食材! 陸軍省海軍省御用達の特上…
鳳仙花―中上健次選集〈4〉 (小学館文庫) 作者:中上 健次 小学館 Amazon 背表紙に「匂い立つ『母の物語』」と書かれてあるが、読後は『女』の物語の印象が強い。まだ肉体の目覚めを知らぬ少女がやがて三人の男と関係を持ち、五人の子供を女手一つで育てなけれ…
ペログリ日記 ’94~’95―震災ボランティア篇 (幻冬舎文庫) 作者:田中 康夫 幻冬舎 Amazon 恐るべき本、と言ったらいいのか。ちょっと違う気がするな。破廉恥な本? 露出過多な本? 自らの華やかな生活をひけらかす本? いずれも当てはまるようで当てはまらない…
ぼくが電話をかけている場所 (中公文庫) 作者:レイモンド・カーヴァー 中央公論社 Amazon なるほど。これは村上春樹だ。いや本書の場合の村上は翻訳者でしかないので村上春樹的と言うべきか。いやいや、そんな事は言うべきではないのかもしれない。しかしな…