ラブコメ政治耳鳴全日記電車男

 にもかかわらず俺は一人なのである。これを「寂しい」とか「むなしい」とか言うのは間違いである。大いに間違いである。なぜなら俺はこの、「寂しい」生活を心から楽しんでいるからである。一人で自転車で永田町国立国会図書館に行き神保町古書街に行き秋葉原に行き銀座のわけのわからんブランド広場を駆け抜けるのは筆舌に尽し難い孤独の悦楽である。かの2005年3月に行われた明石−神戸間自転車旅行記「みちのく和姦の旅」の東京版は近日連載予定なのでお楽しみに。にしても俺の青春の代名詞にして生命線である大型古本屋がないのが痛い。ああ痛い。何が神保町だ。安くない古本屋なんぞ古本屋ではないわい。何が秋葉原だ。俺はパソコン部品なんか知らんのじゃ。DVDやエロゲーを買う金なんか無いのじゃ。おおラブコメはどこにある。イエイ「電車男」。イエイ「ラブ・らっきぃ」。何もかもラブコメになればいいのだ。ただし俺の考えるラブコメだがな。
 とにかくこの日本国の日本人の欲望の最先端にして肥大化した今にも暴発しそうな人々の群れを尻目にひとり自分だけの世界を構築しようとする俺のこの。や。いかんまた自分に酔っているな。いや俺にはこれぐらいがちょうどいいのか。まあそれは次回以降の話として、今回は「恋」についてである。うわあ。書くだけで吐き気がするな。一体いつから俺はこんな軽薄な人間になったのだ。どこかの誰かのプログで、別れた彼女に対し「そっちは新しい彼氏を見つけたようだね。まあ、何かあったらいつでも僕のところに相談しにおいで」とかなんとか言っているものがあったが、それはもう阿呆の極地だ。わははははははははははははは。
 ん。あれ。これは毒舌なのか。いや相当ひどい事を言っているのか。それというのもこの22歳である俺が、にもかかわらず恋をしたことがないからであって、ご存知の通り14歳の時に二次元の道に入って以来三次元の女に心ときめいた事がないという、まあ俺自身はその事について何の疑問も持っていないがとにかくそういう状態が俺の状態なのである。別にいいではないかそんなものは。彼女、恋、結婚、いらんわいそんなものは。面倒臭いだけだ。大体こっちは仕事を覚えるのに必死であり、読まなければならん本が一杯あるのだ。
 という風に強がっていればよいのだが、やっぱりそうもいかんのが世間の厄介さである。俺の常識で世界が動くわけではなく、世界は俺が考えているよりもっと単純なのである。つまり通常では俺のような22歳の東京住まいの独身一人暮らし男性ならどうであろうということであって、それはもう合コンがしたくてたまらないのでありちょっと金があれば風俗に行くのであるらしい。何をこの阿呆め。どうせなら電車男のような。俺だってあんなドラマチックな事が起きぬとも限らんのだぞ。そうだなぜだかわからんがもてない秋葉系の俺がだな、こう痴漢に立ち向かうという、ああそうか俺は秋葉系じゃなかったか。それよりももっと厄介なラブコメ狂いの政治マニアだった。
 ちょっと落ち着こう。落ち着こうじゃないか。俺はとにかく「彼女」とかいう存在そのものがとてつもなく怖いのだ。それによりただでさえ手につかない仕事がもっとおかしくなるかもしれぬ。いや本を読んだり一人になって色々とラブコメや政治のことを考える至福の時間がなくなるかもしれぬ。自転車(名称「クィーン・ウィルコム」、最近左のブレーキが壊れた)に乗って当てのないドライブができなくなるかもしれぬ。この日記が書けなくなるかもしれぬ。そして何より、ラブコメが読めなくなるだ。そうに決まっているのだ。だからいらんのだ彼女などというものは。わはははははははははははは。ええい今日はこの勢いのまま終わりだ。終わるのだ。要するに俺は何もわかっておらんのだ。安穏としたぬるい世界を失うのが怖いのだ。混迷と鬱屈の社会人一年生なのだ。次回、ついに復活「脱走と追跡の読書遍歴」をお楽しみに。