カスタネットによる非常事態宣言

[1]

疲れている。一晩中妄想に浸っていて現実に帰るのが困難だった。それはこの大都会の片隅でひっそりと生きる俺を国家公務員が追う夢であり、参議院のせいで衆議院が解散される幻であり、何よりもこの童貞非社交的内向的人見知りオタク男俺が社会人となる誇大妄想であった。だが一体、この妄想からどうすれば脱け出せるのだ。(筒井康隆脱走と追跡のサンバ」)

[2]

「猿は木から落ちても猿だが、政治家は選挙に落ちればただの人」(大野伴睦

[3]

助けてくれ。またしても鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾが…。(tarimo)

[4]

諸君。秋葉原に大型古本屋は一つしかない。古本市場秋葉PLACE店のみである(「まんだらけ」はもう話にならない。あそこには中古同人誌しかない)。中古DVD屋ならあるが、その価格たるや新品と大して変わらぬ。一方俺が2005年3月31日まで住んでいた糞田舎には、大型古本屋というものが5つあった。俺の家から自転車で1時間の範囲内にだ。これはどういうことだ。納得のいく説明をしてもらいたい。まああの銀座とかいうところよりは何百倍もマシだがな。(「世界の歴史56・サイゴン歓楽街」)

[5]

しかしながら俺はまだ公務員の夢を捨てていないのである。民間企業だからと言って理不尽なリストラがあるわけではないが、やはり親方日の丸の楽な仕事をして楽な暮らしをしたいのである。9時から17時もしくは18時になれば一目散に家に帰りあるいは一目散に本屋古本屋に立ち寄り、静かで穏やかなプライベートタイムを過ごしたいのである。民間企業社会人の俺は20時前に退社することは不可能であり、家に帰っても明日の会社のことが気がかりで読書もラブコメアニメ鑑賞もエロゲーもできず、会社から持ち帰った資料を見てはろくに仕事のできない自分に鬱屈したどんよりとした屈辱を覚えるのである。俺の左右にいる入社15年目の上司や入社14年目のお局がどんくさい俺を冷たい目で見ている。そうして俺は日々打ちひしがれている。それもこれも仕事を覚えることのできない俺が悪いのだと思い、無限の暗い閉塞心境のなかで憎悪だけが大きく育っている。(「世界の歴史78・ノルマンディー強力左遷」)

[6]

書を拾え、街を欺け。(寺山修司「書を捨てよ、街へ出よう」)

[7]

「総理大臣が必要と認めるときは、戦場軍務における最高総司令官は、選挙権を有する日本国民の中からくじで選定した者を以ってこれを指名することができる」(防衛庁設置法第59条)

[8]

光よ天まで。(堀内和哉「紫外線を浴びたいよ」)

[9]

元来あの女はなんだろう。あんな女が世の中にいるものだろうか。女というものは、ああおちついて平気でいられるものだろうか。無教育なのだろうか。大胆なのだろうか。それとも無邪気なのだろうか。要するにいけるところまでいってみなかったから、見当がつかない。思いきってもう少しいってみるとよかった。けれども恐ろしい。別れぎわにあなたは度胸のないかただと言われた時には、びっくりした。二十三年の弱点が一度に露見したような心持ちであった。親でもああうまく言いあてるものではない。(夏目漱石三四郎」)

[10]

戦後日本のマスコミの特色は反権力、幼児性と被害者意識の三つだ。どろどろとした現実に目をつぶり、権力を斜めに見て、いつまでも成熟した大人になれず、建前論と小さな正義の旗をふりかざし、大衆に迎合してきた。(早坂茂三「権力の司祭たち」)

[11]

「一言も何も、天地はアタシのもんだって最初っから決まってるんだよ。それを血のつながりだか何だかしらねえけど、阿重霞のやつが迷惑がる天地にちょっかいかけてるだけじゃねえか。あたしは天地を守ってやってるんだぞ!」(「MAGIUS天地無用!RPG 天地争奪戦」)

[12]

クーラーをつけてくれ。暑い。(tarimo)

[13]

恐ろしいことに、わずか一年前の俺は大学生であったのだ。そうだ今日が2005年8月13日だとすれば、2004年8月13日の俺は大学生であったのだ。何と。わずか1年前に、俺はお気楽極楽ノストラダムス月詠であったのか。おお。おお。今の俺は生活の垢がびっしりとこびりついている社会人。時は轟々と流れ、俺の望みは穏やかに何の苦痛もなく死ぬことだ。(「日本経済史29・そして伝説へ」)

[14]

そうか2005年9月11日投票か。選挙ってのはいいなあ。胸躍るなあ。それはそうと前回の総選挙はいつだったかな。ん。2003年の11月9日ではないか。おお。おお。遥か遠い遠い過去ではないか。いやとにかく俺の頭の中ではそんな感覚なのである。そうだ2003年11月のあの頃と言えば明石、三宮、梅田を軽やかに飛翔しラブコメを漁りエロゲーに我を忘れ忍び寄る就職戦線と公務員問題に不安と期待を抱えていた頃だ。兵庫県の糞田舎で親と一緒に暮らしぬるま湯の心の平安の中で、ただひたすら惰眠を貪っていたのだ。そしてそれこそが俺の人生の正しい姿であると今も確信している。だが奇妙なことに俺はもうあの「大学生時代」に戻りたくはないのだ。故郷は遠きにありて思うものであり、思い出は思い出のままで思うものなのだ。そうして今日も俺はここ東京で豪華絢爛たる自転車の旅に出るのである。(「世界の歴史94・最後の改札」)

[15]

「あなたの性格は、ウルトラ・コンサバティブです」と言われた。喜ぶべきか、頷くべきか、怒るべきか。(tarimo「ラブコメ政治耳鳴全日記海賊版非公式同人誌」)

[15]

あ。間違えました。(tarimo)

[16]

「要するに、荒木君はどうしたいというのだね?」(松本清張「昭和史発掘6」)

[17]

それでは伺いますが、どうしてわざわざあんな高いところで食べに行く必要があるのですか。うちの会社はそんなに余裕があるというのですか。なに。飯を食い話をすることによって色々な情報が得られると。人脈ができると。だがその為に贅沢な食材を貪り食い、厚化粧の醜い女たちに囲まれ、金をボロ雑巾のようにドブに捨てるのですか。実家の父や母が日夜汗水たらして働き家でつつましく質素に生きている時に、銀座の店にいるというのは、これは悪いことなのです。私にはそれがはっきりとわかるのです。(石倉正則「機械の急進で解を避ける」)

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ワンツースリーフォー、ダラッダラ、ダラッダダ、ダラッダダラダラダッター、ダラッダラ、ダラッダダ、ダラッダダラダラダッター、生麦生米生卵、生麦生米生卵、ダラッダラ、ダラッダダ、ダラッダラダラダラッター、ダラッダラ、ダラッダダ、ダラッダダラダラダッター、蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ、ダラッダラ、ダラッダダ、ダラッダダラダラダッター、ダラッダラ、ダラッダダ、ダラッダラダラダラッター、す桃も桃も桃のうち、桃もす桃も桃のうち、ダラッダラ、ダラッダダ、ダラッダラダラダラッター、ダラッダラ、ダラッダダ、ダラッダダラダラダッター、隣りの竹垣竹たてかけた、向こうの竹垣竹たてかけた、ムズカシイナー(「8時だヨ!全員集合」)

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「雨か、風か、和か、戦か――東亜の時局、二者其一を進まざるべからず」(児島襄「日露戦争1」)

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東京に来て思ったことは、公衆便所と交番と外国人の多さである。行く先々で公衆便所があるというのは真に便利なことだ。交番が多いというのも安心できて良い。だが外国人の多さには辟易する。特に秋葉原は免税店だか何だか知らないがまるで国際都市のようだ。俺はナショナリストではないが、彼らが日本の政治・経済にどんなメリットを与えてくれるのかすこぶる疑問である。せいぜいが金を搾取して危なくなったら撤退、或いは治安を悪くしておきながら「日本人昔もっと悪いことやった」などと言うのが関の山である。いかん。また田舎に帰りたくなった。(村松正彦「底辺で迎える新春」)

[21]

「あの時の栗原中尉の顔つきは、あれは確かに岡田首相かな、違う人かなという疑念が頭の中にあったと思うんですよ。襲撃がすんだあと、みんなで官邸の前で火に当たって黙りこくっていた時に、頭の中ではあれはほんとうに岡田さんかな、どうかなって考えている目つきのような感じがしたんですよ」(「NHK歴史への招待24 昭和編」)

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この三年間で買ったエロゲーの数は実に四つのみ。その同じエロゲーを繰り返し繰り返しプレイしても全く飽きない俺は、真性の変態と言えるのではないか。なに。誰だ真性包茎という奴は。俺が真性包茎だということを一体誰に聞いた。(「日本政治史10・亡者討論」)

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「担ぐのは誰でもいいんだ。しかし竹下しかいないではないか」。(鈴木棟一田中角栄VS竹下登1 二人の影の宰相」)

[25]

「しかし議会が天皇のご任命に係る官府ではなく、国民代表の機関として設けられておることは一般に疑われないところであり、それが議会が、旧制度の元老院や今日の枢密院と、法律上の地位を異にするゆえんであります。元老院や枢密院は、天皇の官吏から成り立っているもので、元老院審議官といい、枢密顧問官というのでありまして、官という文字は天皇の機関たることを示す文字であります。天皇がこれをご任命遊ばされまするのは、すなわちそれにその権限を授与せらるる行為であります。帝国議会を構成しまするものはこれに反して、議員と申して議官とは申しませぬ。それは天皇の機関として設けられておるものではない証拠であります」(美濃部達吉

[26]

しかしながら上下関係における緊張というのは絶えず付きまとうのでありまして、上司先輩お局の発する言葉の端々に感じるのは「あれ、怒っているのかな」「あれ、俺なんかまずいことしたかな」「あれ、なぜ不機嫌なんだ。まさか俺が何かしたのか」という不安の種なのであります。人一倍臆病な俺にサラリーマンは無理ではないかと思うのでありまして、にもかかわらずこの状態が続けばある日発作的に狂うのではないかとなぜなら俺は天皇だからだそれ三種のジンギスカンが大海原の果ての井戸の底の下の上の大手町を越え国技館を潜りイラクの果てで地雷を踏んだら火曜だな。(落合信孝「同時代を生きる知恵の実の禁断のリンゴについて」)

[27]

たとえば俺が完全なる三次元思考嗜好志向の人間であることはもはや常識だが、にもかかわらず高校生時代のあの声優の井上喜久子のファンでありCDはおろかコンサートにまで足を運んだこともまた有名である。何でこんなことを書くのだ。だってしょうがないだろう。「ああっ女神さまっ」はやはり良いのだ。(「日本政治史24・泰平戦争」)

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だから何だというのだ。酒が飲めないことはそんなに悪いことなのか。欠点なのか。酒が飲めないことによって、会社に何か不利益を与えるというのか。え。どうなんだ。酒飲みには酒が飲めない者の気持ちがわからんらしいが、もはや限界だ。いつでも辞めてもいいんだぞ。だって俺はもう前から酒が飲めないと何度も言っておるだろうが。なのに、なのになぜ飲ませるのだっ。この阿呆め。貴様らが会社に貢献している立派な社会人であることはよくわかった。だがやはり貴様らは阿呆なのだ。この糞たわけ。(tarimo「ラブコメ政治耳鳴全日記魂の叫び2005」)

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出所などせず、独房と印刷工場の間を行き来する日々を送っていれば、このように涙を流しながら歩くこともないのだ。刑務所では、自分一人の世界に身をひそめることができたが、所外の社会には余りにも多くの人たちがいてわずらわしく、自分には不向きであったのだ。(吉村昭「仮釈放」)

[30]

衆議院を解散する。それに伴い国立国会図書館国家公務員殿の言も却下する。非常事態宣言。(tarimo)