爆笑結婚2 怒涛編

先週までのあらすじ(2月9日):前代未聞の少子化対策「結婚対策特別法」により結婚させられる危機に陥った俺は即座に二階堂副総裁を引きずりおろし、代わりに金丸幹事長を副総理に抜擢した。幹事長には竹下が就任し、中曽根の創政会重視が鮮明に。ん。あれおかしいなこれは1986年総選挙後の政局わはははははは。
  
「もしもし」
「はい」
「あの、こちら市役所の結婚対策調整課ですが」
「はあ」
タモリさんですか」
「え」
「ああ、えっと、tarimoさんですか」
「…。あのう、どちらさんですか」
「市役所の結婚対策調整課の者ですが」
「はあはあ。ええと、俺はtarimoなどという者ではありません。第一日本人です」
「いやええと、tarimoというのはですね、確かハンドルネームだとか」
「…」
「…」
「なぜあんたがそれを知ってるんだっ」
「はあ」
「はあ、ではないっ。あの俺の恐ろしいキチガイ文章が村の者に知れたら俺は間違いなく村八分だっ。恐怖の煉獄は戦場の鬼と涙に化すのだっ。いかんいかん逃げようそれしかない断じてないっ」
「いやちょっと。あの、すみません」
「何ですかっ」
「あの、確か先週電話されたとか。結婚適用の」
「いやそれよりあなた俺がtarimoであることをいつ知ったんですか」
「親切な方が教えてくれまして」
「親切な方?」
「はい。あの、『土曜日の女』とかいう…」
「土曜日の女。…。あいつかっ。この野郎とっちめてやるぞっ」
「え。あの。もしもし。もしもし」
   
「よく考えたら名前すら知らんではないか。あ。電話。はい」
「もしもし」
「はい」
タモリさんですか」
「…」
「あ。tarimoさんでした。あはは」
「何を笑っとるのだ」
「すいません。あの、私、市役所の結婚対策調整課の者でして」
「はい」
「先週電話をいただいたらしいのですが、私、今回のお見合いパーティープロジェクトの責任者でして」
「はあ」
「お見合い当日は是非ともご出席していただきたいとですね、まあ挨拶をですね、電話で大変失礼なんですが、それを申し上げたくてですね」
「いや、せっかくですけどね、あの、やはりね、それはね」
「はい」
「その、結婚という大イベントをね、やはり俺みたいな偏屈がですね、できるわけないというか」
「いやしかしこれは法律上の義務でしてね。まあ罰則はないですけども、やはり結婚し子供を生むというのは社会的責任でして」
「ええと、実はですね、あの、社会保険事務所さんから何か聞いてないですか」
「は。いえ、特に何も」
「そうですか。まあ先週社会保険事務所さんに電話したんですよ。俺が」
「はい」
「そこで俺がですね、まあ阿呆なことを言いましてね」
「はあ」
「それでまあ、社会保険事務所さんの方も怒ったというか、匙を投げたといいますか」
「え。匙を投げた。それはまた、どんなことを言ったんですか」
「ええと、まあ俺はね、精神的に問題があるというかね。それを言いまして」
「は。精神的に。ええと、失礼ですがタモリじゃなくてtarimoさんはその、障害者の方ではないですね。確か」
「まあ健常者ですが、その、この何と言いますか」
「はい」
「ええと、まあ俺はこの、女性経験がないといいますか。は、はは」
「え。女性経験がないと言っただけで社会保険事務所の奴は匙を投げたのですか」
「いやまあ、そんな感じで」
「それはけしからんですねえ。せっかくこっちが企画を考えサービス残業までしているというのに。それは」
「まあそんなわけでして」
「いやいやそれはいけません。私も結婚相談所から出向している民間人ですからよくわかります。公務員は本当に何もわかってないですねえ。本当にねえ。まあ」
「え。それはまあ、公務員というのは」
「何だか腹が立ってきました」
「は。そうですか」
「ええ。もうね、あの公務員というのはこれっぽっちも仕事ができないくせにわがままばっかり言ってね、今回のお見合いパーティーなんてほとんど全部結婚相談所に丸投げですよ。本当にもう。まあ結婚の仲介なんて自分たち公務員の仕事ではないとでも考えてるんでしょうね。しかも何か私を見る目が冷たいというか。本当にもう。腹が立ちます。その上こっちの足を引っ張ることまでして。よけい腹が立ちます。いやもう。全くけしからん。そうでしょう」
「え。あの、それはやはりその、けしからんですね」
「そうでしょうね。あのね、私が一つガツンとその社会保険事務所に言ってやりますからね。もう心配はいりませんよ。わはははは」
「はあ。ええと、実はそうではなくてですね、あの、俺は二次元しか。あ。切れた」
   
「もしもし」
「もしもしはい」
「あの、私、社会保険事務所の所長なのですが」
「えっ。社会保険事務所の所長さん。それはそれは」
タモリさんですか」
「…」
「ええと、tarimoさんですよね」
「はい」
「何か、tarimoと呼ぶ前にタモリさんですかと言わなければならないと聞きまして」
「いやそれはしなくていいです。大体誰から聞いたんですか」
「土曜日の女とかいう」
「またしてもあいつか」
「あのう、先日はうちの社会保険事務所の職員が大変な失礼な応対をしでかしまして」
「ああいえいえそんな。もうそんなことは」
「いずれ改めてお詫びのご挨拶に伺いたいと」
「いえいえ滅相もございません。そんなことは。第一失礼なことをしたのは俺の方でして」
「それでですね、何ですか、来月のお見合いパーティーには」
「ええと、それはその、出席は少し難しいかと」
「いえあの、こちらとしましては、やはり出席していただきたいのです」
「いやあ、それはやはり、無理といいますか」
「確かに出席しなくても罰則規定はないんですが、やはりあの、他の結婚適用くじ当選者の方はですね、皆さん出られるんですよ」
「はい」
「それが一人だけ出席しないとなると、私の責任問題、ではなくて、社会保険庁の本部に怒られる、ではなくてですね、やはり由々しき事態だと」
「はあ。しかし俺はですね、その」
「はいはい。何でも三次元より二次元とか」
「あ。ええと、知ってましたか」
「はい。それで大変失礼な対応を」
「いやまあ、あれが普通の反応なんじゃないでしょうかねえ。は、はは」
「それでですね、こちらとしましても、何せ法律施行後はじめての試みですから、例外的な措置なんですけども」
「…」
タモリ、じゃなくてtarimoさんの三次元の女性に対する機能の回復を図るためのですね、特別プロジェクトを組みたいと考えまして。社会保険事務所の方で」
「…」
「とりあえずタモリさんの自宅にですね、いやtarimoさんの自宅にですね、参考資料を送りました」
「…。何を送ったんです」
「私が編集した実写のアダルトビデオ特選を」
    
(以下、次週。え。続くのか)