爆笑結婚4 激流編

「もしもし」
「いやあどうも。もしもし。ははは。」
「…」
「いやあ、はっはっは。そちらはタモリさんのお宅かい。おおっと違うのかな。はっはっはっは。マリモさんだったね。いやいやジョークさジョーク。はっはっはっは」
「…」
「ヘイ。tarimoさん」
「…」
「おいおいどうしたんだい。ノリが悪いぞ。元気を出せよ青年。これからが本番じゃないか。はっはっはっは。ああっはっはっは」
「…あの」
「おおtarimoさん、どうしたんだい」
「いや、あの」
「ヘイ。何だい」
「あなたは誰ですか」
「おおっと。紹介が遅れてしまったようだね。実は僕はね」
「…」
「君の愛を手助けしようとやってきた、ああちょっと切らないでくれたまえ」
「あれでしょ、どうせあの結婚適用の」
「ええっ。なぜそれを知ってるんだい」
「わかるがなそんなもん」
「そうかい。それじゃあ話は早い。何を隠そう僕は今回のお見合いパーティーを企画した『しあわせ結婚相談所』のキューピー林原という者さ。以後よろしく」
「さよなら」
「おおっとっとっとちょっと待ってくれたまえ。ここは一つ建設的に話そうじゃないか」
「はあ」
「まずはだね、君は今、恋に臆病になっているんだね」
「…」
「でもね、タモリ君」
「tarimoだ」
「ああいや、ははは。とにかくtarimo君。恋って素晴らしいよね」
「…」
「この世で最も大切なものは愛さ。そして愛を育み新たな命が生まれる。愛に囲まれて子供は新たな世界を築き上げるんだ。そうそれが世界さ」
「…」
「いざ行こう、お見合いパーティーへ」
「…」
「はっはっは。何も照れることはないさ。もしひいきの女性がいたら僕らが恋と愛と勇気のキューピットとなって」
「あのですね、どうやら聞いてないようですね」
「ん。何をだい」
「俺は22歳なのでして」
「もちろん知ってるさ。他のお見合いパーティーの女性参加者は君が来ることを楽しみにしているよ」
「は。何でまた」
「それはもちろん歳が若いからさ、ではなくて、適齢期を逃した売れ残りばかりだから若けりゃそれでいいのさ、ああいやとにかく楽しみにしているのさ」
「今ものすごく悪寒が」
「はっはっは。武者震いというやつかい。はっはっはっは」
「いやとにかくですね、俺は22歳なのですが、ところが、あの」
「何だい。まさか童貞とか言うんじゃないだろうね」
「…」
「…」
「…」
「…ええっ。まさか君はっ。あ。もしもし。もしもし」
    
「もしもし」
「ああもしもし。tarimoさん」
「いい加減本名で言ってくれんかね」
「わかりました。では森田さん」
「…」
「ええとですね、とにかく私は結婚相談所の民間人でありながら今回のお見合いパーティーのために市役所に出向している者です。面倒くさいから名前つけてくれませんか」
「は。名前ですか」
「ええ」
「えっと、じゃあ品川で」
「それはmishinさんの名前ですね」
「言うなよ」
「まあとにかくですね、この前は大変失礼しました。そうですか童貞でしたか」
「え。いやまあそれはねえ」
「まあその、大変珍しいといいますか、本当に気の毒、じゃなくてですね、それはまあ色々とありますからね」
「いやそれですがね」
「はい」
「あなたたちは何か勘違いをしているようでね」
「はあ」
「要するにだね、俺は別に童貞であっても全然困らんのだよ。なぜなら俺にはエロ漫画やエロゲーがあるからね」
「はあはあ。それは重症ですね」
「いやだからね」
「よっぽど嫌なことがあったんですね」
「何を言っとるんだ」
「あれですか、風俗とか行く気は」
「…」
「あの、どうしました」
「いやあのですね、仮にもその、市役所の方がですね、そういう品のないことを言うべきではないのでは」
「何を言ってるんですか。少子化対策というのは結局アレをするということではないですか。大体結婚した男女がお互い童貞と処女なわけないでしょうが。男だって女だって適当に遊んでいるんですよ」
「ああいやちょっと。そんな事言って大丈夫ですか」
「大丈夫です。それよりあなたのようなオタクというのが最近増えたのでもう全くやりにくいんですよ」
「え。それはまあ」
「よろしいですか。昔は男はみんな女にもてようと頑張ったもんなんです。女にもてたいという願望こそが勉強にスポーツにあるいは仕事にとやる気を出す原動力だったのです。そして昔の女はたとえみすぼらしくても金がなくても頑張る男を放っとかなかった。しかしあのバブルとやらからおかしくなりはじめたんです。女がまず金やルックスを重視するようになり、男はそんな女にもてようと思わなくなった。そして男はあろうことか、自らで欲望を処理するためにまた理想の女性に安住するためにあの二次元文化を作り出してしまったんです」
「いやそれはまあ」
「結婚しないということは子供を作らないということです。日本人が減るということです。しかしですよ、では税金は誰が払ってくれるのですか。動物や植物や、はたまた外国人が払ってくれるのですか。日本の税金は日本人が払わなければしょうがないじゃないですか。会社には誰が入るのですか。動物や植物ですか。外国人ですか。日本の会社になんで外国人が入るのですか。おかしいでしょうが」
「あの」
「何ですか」
「いやその、俺だってそれはまあ、現実の女と話してみたいという気はします」
「そうでしょう」
「しかしその、俺は女と話したことがほとんどないですし、女の方も俺みたいなその、ブサイクと話したくはないのではないかと」
「いえそれは大丈夫です。私とキューピー林原が助けますから。林原というのはap38さんの名前です」
「言うなって」
「まあとにかくですね、こちらの方もね、一つとっておきの対策を用意してますから」
「はあ」
「髪型はショートとロングのどちらがtarimoさんの好みですか」
「え。何です」
「いや、女性の髪形はショートとロングのどちらが好きですか」
「ええと、まあロングの方が」
「そうですか。で、体型の方は。スレンダーかグラマーか」
「え。あの、何を」
「ですから、体型は。胸は大きいほうがいいですか。それとも小さくても痩せた方がいいですか」
「あの」
「ああ、もしかして胸が大きくてなおかつスレンダーな方がいいと」
「ええっと、それはまあね、スタイルはいい方がね。は、ははは」
「ははは。じゃあ2時間後ぐらいでそっちに着きますんで」
「え。そっちと言いますと」
「ですからtarimoさんの自宅に」
「何がですか」
「髪型がロングでスタイル抜群な女性が」
「…」
「…」
「…」
「…」
「あの」
「はい」
「それはその、あの、いわゆる娼婦ですか」
「まあそうです」
「ちょっと待てぇっ。あ。おいちょっと待てってっ。おい。もしもし。もしもしっ。いつから市役所は娼館になったんだっ。もしもし。もしもし」
   
(以下、次週。童貞オタク男に貞操の危機がせまる)