まぶらほ〜ふっかつの巻・にし〜/築地俊彦[富士見書房:富士見ファンタジア文庫]

 いつの間にか反ライトノベルス派の領袖になってしまった俺であるが本作と「オーパーツ・ラブ」(日本ラブコメ大賞2001第5位)だけは読み続けるわけである。全くあれだけ膨大に溢れかえっておきながらなぜラブコメが全くないのだ。やれ女子高生が超能力とか喧嘩好きのイケメン高校生とか中性的な顔立ちとか涼宮ハルヒとかうるさいことこの上ないのであって、貴様らなんかエイズの痴呆のアルツハイマーじゃ死ね死ねなにそれならば俺が死ぬうごおおおおおおおお。
 というわけでまぶらほ本編(日本ラブコメ大賞2002第14位)である。2007年12月30日20時58分に故郷・兵庫県糞田舎のブックインザスカイ(仮称)にて100円で買ったものであるが、よく考えれば本作については去年はメイド編(日本ラブコメ大賞2007第2位)しか買っておらず、一昨年はというとコミック版(日本ラブコメ大賞2006第25位)しか買ってないので本編を買ったのは何と2005年12月3日19時43分(@古本市場AKIBAPLACE。おお。おお)以来実に2年ぶりということになる。2005年とはまたずいぶんと昔な気がしますなあ。どうですかその頃あなたは何をしていましたか。
 ライトノベルスというのは右手で人を殺しながら左手で読めるほどのものなので特に真剣になる必要もないのだがこれだけ直球ラブコメを投げられると俺としてもキャッチャーミットを用意しなければならんわけであって、もはや魔法云々は関係ないほど主人公を巡ってのかわいい女たちの騒動ぶりは脅威である(言いたいことが何となくわかってくれればいいよ)。とにかくこの「ふっかつの巻」シリーズになってからの鈍感素朴主人公を巡ってのヒロインたちの恋の鞘当て合戦は見事と言うしかなく、それぞれのヒロインたちがそれぞれを罵倒し剣と魔法と策略によって主人公のハートを本人の意思とは関係なく奪おうとしながらも年相応の乙女チックな悩みに明け暮れるという描写は今や作者の独壇場と言えよう。特に山瀬千早編に至っては離れ離れになっても主人公(もちろん式森和樹のこと俺のこと)を忘れられず思い苦しむ様子がこれでもかとばかりに書かれており、ここまで女に惚れさせるとは俺って悪い男よなあとわけのわからん優越感に浸ることもできるのである(などと言ったら怒られるか)。
 で、実は本書の続編である「ふっかつの巻・せいほく」は既に持っているのである。いつ買ったのかと言えば2005年3月29日であり古本屋ではなくサラで買ったのだが、何とその日はここ東京へ上京する2日前であった。当時のいよいよ東京上陸がせまった時の緊張と絶望のなかで俺は山瀬千早の健気さに触れ、幾らか癒されたような気がしたものである。あの頃の俺は3年経ってもまだ自分が東京にいるなどとは思いもしない。