第3シリーズ 彼の不安を褒め称えよ⑥BOOKOFF世田谷通り区役所前店

 とは言うもののやはり体調は万全ではないので昨日は土曜日だというのに家に閉じこもってずっと参院選開票当日夜の各選挙特番を録画したものを見ていて至福の時を過ごしていたのであります。そのおかげか今日は熱もなく咳もほとんど出ないようになりまさに風邪の治りかけの状態である。こうなると家でじっとしている方が身体に悪いし風邪を早く治すには一にも二にも風邪の菌を外にばらまくことが肝要であるといやこれは俺が言ったのではなくてどこかのお偉い方の言葉であって決して他意はないのであります。
 というわけで今回もBOOKOFFへ行くわけでありますがなに今までのお前の文章を読んでいると買った本よりも道中どの地下鉄線を乗り継いだかとか周りの風景がどうとかの方が強調されておるではないかと。それはその通りで、本は家に帰ってゆっくり読めばいいが道中の体験は一瞬の一期一会でありただでさえ命短しポイ捨て恐れの俺なのであるから今夜もどしゃ降りアレあらくれ(どうも今日は調子が悪いなあ)。
 そんなわけで17時に家を出て歩いて地下鉄を乗り継いでメトロ半蔵門線に乗ってあっという間に渋谷駅である。ちなみにメトロ半蔵門線東急田園都市線は直通運転であって、ここらへんは大阪市営地下鉄と阪急がつながっているのと同じ仕組みである。いかんもう大阪が出てきた。いい加減にしないと本作戦の主要任務である「東京23区のBOOKOFFを訪問することで東京の本当の姿を明らかにする」ことができなくなるではないか。折しも会社では俺に対する問責決議により異動させるという話が浮上しているというのに。ちなみに地下鉄はもちろん各駅停車だが私鉄沿線は急行があるにもかかわらず天下の阿呆である俺は何にも考えないので乗り過ごしてしまい三軒茶屋で降りるはずが二子玉川まで行ってしまった哀れな星くずパラダイスふたりエッチ。どうも今日は調子が悪い。
 三軒茶屋駅で東急世田谷線に乗り換えて世田谷駅まで行くのだが、今まで24年生きてきて俺は東急世田谷線に乗ったことがないのでいわゆる切符売場がないので困惑する。改札口があるのに切符売場がないのはどういうことだと思って周りをキョロキョロすると(田舎もん丸出しですな)「大人140円です」と書かれた紙が貼ってあって、これは何かどこまで行こうと140円であるというバスみたいなものかと一瞬考えたがまさかそんな事がありえるかと兵庫県人なら誰もが知っているあの悪名高き神姫バスに撃退された苦い過去を持つ俺は躊躇し改札の硬貨入れに140円を入れてチケットが出るのを待っていたが改札で立ち止まる俺を見かねたであろう駅員が「切符はないんですよ」と言ってきた。何と。ということは何か140円でどこへでも行けるのか。おおさすが東京こんな贅沢は地方じゃできませんよ。
 なるほど車内もバスのようである。世田谷駅で降りて世田谷通りに出て4丁目7番地1にあることはわかっており確かに4丁目7番地には容易に着いたがそこからは勘に頼るしかないということである。そして俺の勘は当たった試しがないのでこれは右に行くべきだと思ったので左に行ってしばらく歩けばほらあった。今回はBOOKOFF世田谷通り区役所前店である。先週足立区で今週は世田谷区とまあよくやりますな。入った瞬間に「ああ、この店はハズレではないな」と直感するがここで重要なのは「ハズレではない」であって決して当たりというわけではないということである。安易な期待は厳に慎むべきであって、今までどれほど安易な期待とそれにより発生する落胆の落差に苦しめられてきたことか。案の定見るべきものはそれほどなく、ただしこれがあった。
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 さて困った。日本ラブコメ大賞2007の選考に本作品が上位にあがるのは確実で、もちろん本作1・2巻は購入済である。ここで本作を更に深く知りラブコメの本質を見極め選考の質を上げるには本作3巻を迷わず買うべきであるが、本作はこの3巻が最終巻なのである。つまり本巻を買えば俺はカードを一つ失うのであり、今後の古本屋探訪における武器を一つ失うのである。本屋に行ったが買うべき本(武器)がなくては意味がないのでありいかに多く武器を持つかが本屋めぐり人生の醍醐味である。というわけで今日はあきらめて何か政治関連の本(もちろん105円)でも買おうかと考えるがせっかく世田谷区まで来て夢のバス体験までしてここへたどり着いたのに図書館でいつでも読めるような本を買っても仕方がないではないかしかし今ここで3巻を買ってしまっては俺と本作の繋がりは終わってしまうのである。ここは本巻の購入をできるだけ先延ばすべきではないか。このように苦悩の長い時間を経て(約2分)、本書は俺の手におさまったのであります。
   
 で、帰りであるが、店の前にバス停留所があり「渋谷駅行き」とあるのでせっかくだから乗ることにする。バスに乗るなど高校時代以来である。ああいかん嫌な思い出が甦ってきた。高校受験に失敗した俺は私立糞尿高校への進学を余儀なくされ、神戸のあの山の中まで毎日通うはめになったのである。駅から遠く離れたあの学校まで行くためバス通学するはめとなって月額1万4千円の出費を余儀なくされそれが駅から学校への変則自転車通学となりあの糞尿高校を恐怖のどん底へと陥れることになるのだがそれは所詮昔の話であって今俺はここ東京の世田谷で日曜の夜にバスに乗っているのであり世田谷通りから国道246号線を走るバスに揺られながら俺が考えていたのはバス代210円は安いなということといつまでこの東京にいられるかということであった。
 以下は蛇足である。渋谷駅に着いてメトロ半蔵門線に乗ってさっさと帰ればいいのだがそう言えば渋谷はけっこう風俗の盛んなところであって前回7月28日の五反田風俗以来一ヶ月以上風俗には行ってないので行ってみようかと悪だくみを試みるがまだ風邪は完全に治ったわけではないし渋谷は未体験ゾーンでどこに行っていいのか見当もつかないので結局おとなしく帰ることにする。それにしても渋谷の道行く女というのはどうしてあんなにミニスカートが多いのだろうか。