俺とて人並みに旅行をしたいという感覚は存在する。旅行とは日常とは一線を画す非日常的な時間である。しかし人と同じように観光名所など巡っても仕方ないのであって、そこで導き出される結論が「地方都市のBOOKOFF等へ、地方の公共交通網を駆使して行こう」というものであった。遠く離れた地方やホテル宿泊という非日常性と、それにも関わらず本屋ばかり行くという日常性の同居は俺の好みに合致するものであり、もう少し俺に財力(と車)があればそれこそ日本一周してみたいほどである。まあ大多数の人間が俺のこの行動を阿呆の一言で片付けるであろうが、当の俺が楽しんでいるのだから誰にも止められません。
それにもかかわらず14時半を過ぎてまだ地下鉄に乗ってもいないのであり、急いで地下鉄東豊線豊水すすきの駅で1日乗車券(800円)を買って最初の目的地は豊平公園駅である。豊平公園駅に着いて地上に上がると「きたえーる」という総合体育センターらしきものがあり、周囲の人数はまばらなのにやたらとタクシーが止まっていた。怪訝に思いながらも古本市場にあるフードセンターを目指すが、うっかり国道36号線まで出てしまいUターンしてフードセンターの裏口から写真を撮るのは古本市場豊平店。ああ何でこんなわけのわからん写真ばっかり撮るんでしょうなあ。でも今更やめられんしなあ。
ほう。田舎の昔からあるデパートみたいな疲れた感じが醸し出されていいですな。俺は筋金入りの庶民だからね。中に入ったらこれまた生活感溢れる雑貨屋があってその隣りにある古本市場がまた華やかさゼロで(褒めてるんですよ)俺はニンマリとした。ただし品揃えについてはニンマリとは行かなかったが、これがあったので良しとしよう。15時40分、270円。
- 作者: 春輝
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2009/03/16
- メディア: コミック
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↑の写真は地上に出てすぐに撮ったものであるが、今から向かうBOOKOFF月寒東店こそ本日最大の山場なのであって、何のことはない駅を出てから目的地まで遠いだけなのであるがここで疲れが予想以上に出てしまうとその後の購入選択眼に陰りが生じるかもしれないのである。水源池通を東に歩き、選挙公報の看板(小選挙区3区)が目に入り、曇りの天気もあって気温はクーラーが効いていると錯覚するほど涼しい。おお日曜の夕方に兵庫県糞田舎から出てきて東京で働く青年がここ札幌に出現するとは意味不明だが、その意味不明の中にこそ何らかの意味があるのだと感傷的になり思いのほか早く着きました。BOOKOFF月寒東店。
外にいると涼しかったのに中に入った方がムッとする湿気が漂ってきて、そのせいかどうか品揃えも悪いことはないが中途半端な感じですな。この「中途半端な感じ」を説明するのは非常に難しいが、強いて言えば「激辛カレーを食べようと決心して激辛カレーを頼んだはいいがそんなに辛くなく、店の人に聞いてみたら『作る人やその日の状況によって辛さは違う』と言われ、じゃあ何を基準に激辛カレーと言っているのだと反論しても店は曖昧な答えを返すだけ」という感覚ですかな。わかりませんか。で、17時2分、73円(3割引セール中であった)。
- 作者: 横溝正史
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 1971/07/14
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月寒中央駅から大通駅、大通駅で南北線へ乗り換えて北18条駅へ向かおう。時刻は既に17時であり、スタミナの方は十分あるが時間を考えるとあと行けるのは最低でも残り3店、できれば4店は行きたいので急がなければならんが突如腹痛が襲ってきたので大通駅でトイレに入ると個室3つ全部がふさがっていて既に二人が待っていた。どれぐらい待つのかなあ場合によっては北18条駅に行ってしまおうか何とか我慢できるしなあと思っていると一つ個室が空いたが、二人ともなぜかそこに入ろうとはしなかった。俺が怪訝に思っているとすぐ前の男(20代前半のニキビ面)が「よろしければ、どうぞ」と言ったので俺は入った。意味がわからんがとにかく盛大に大便を放出して5分もせずに出るとまたあの二人は待っていた。はて何だこいつらと思ってようやく気付いた。男二人は「洋式」の個室を待っていたのであり、俺が入ったのは「和式」の個室だったのだ。ははあ。世の中には色んなこだわりを持った人がいるのですねえ。
北18条駅で地上に上がり、向かうはBOOKOFF札幌幌北店である。西五丁目樽川通を歩いているとすぐ見つかるが、通りを挟んだ向かい側には幸福実現党の後援会事務所のようなものがあり、バス停が「幸福の科学支部前」とあった。朝見た新聞の選挙情勢には「幸福実現党は独自の戦い」と書いていたが、まあその言葉の裏は当然そういうことである。そんなわけでBOOKOFF札幌幌北店。
いやもうこの光景は誰がどう見ても名古屋平針店か名古屋杁中店である。反論は許さん。大体今まで俺は優し過ぎたのだ。ラブコメ狂いの政局好きのくせしてものわかりのいい青年を装って「皆さんそれぞれが確固たる自分というものを築き上げてこそ、世の中は面白くなるのです」などと言うから奴らはつけあがるのだ。俺は俺の道を行く文句あるか、でいいはずなのだ。しかしそうもいかんしなあ。いやもう弱気になってどうするのだ。俺は将軍そして天皇の(以下略)。というわけで品揃えオッケー、外がクーラー効いているみたいなのに中でもガンガンクーラー効いてこりゃ風邪ひくわいまあ明日以降風邪引いたところで今日という日が無事過ごせたらいいんだからちゃんと一通り店を回ろうそうしようということで買ったのはこちら。18時10分、300円。
- 作者: 甘詰留太
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2009/05/29
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そんなわけで北24条駅から南北線終点の麻生駅に着き、地上に出てすぐ見つかったのがBOOKOFF札幌麻生駅前店。
この店がまた西台高島通り店のようであったが、そんなことばかり言っていてはまるでBOOKOFFストーカーのようであるが違う違う俺は古本市場の方が好きなのだというわけでこの店が品揃え的に一番良かった。良かったと言ってもまんだらけと互角レベルであるが、とにかく俺は満足であってもう誰も俺を止められないこれが俺の趣味なのだといやに「俺」「俺」と言うとるがそんなに俺は自意識過剰だったかな俺っていや俺はねというわけでこちら。19時7分、350円。
- 作者: むとうひろし
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 2008/05/19
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毎度のことながら携帯電話で写真を撮っていますので夜の撮影は今ひとつの点をご容赦下さい。ところで新琴似駅は地方の新幹線が止まる駅かと思うほど広く、そのあたりはやはり広大な土地を持つ北海道ならではということなのかもしれない。新琴似駅から乗った電車も昔の寝台電車のような重厚感があった。うーん、俺はこの街が好きになりそうだぜこの野郎というわけで桑園(「くわぞの」と思っていたが「そうえん」と読む)で乗り換え、目指すは琴似駅であるが電車内では俺の向かい側にいた女子高生二人組が「あっ。全然勉強してないじゃん」「何が?」「漢字だよ、漢字。あー、もうどうしよう」と言いながら頻繁に足を組み替えていたので俺はどうしたかというと彼女らは喋りに夢中で俺に全く気付いてようなので俺は(以下略)。
JR琴似駅に着き、もはや20時前なので腹が減った(朝・昼とあんなに食べてか)ので目に入ったマクドナルドでシェイクのバニラとコーラとチキンマックナゲットとポテトフライを頼み、全速力で腹に入れることにする。というのも札幌のBOOKOFFは東京と違って22時には閉まるのであり、今から店に行って20時半ぐらいで次の店に21時頃に着けば問題ないが世の中は何が起こるかわからんのである。これは第1次大病戦争に勝利し今また第2次大病戦争への勝利にあと一歩まで来ている俺の人生訓であり、そうだそれは圧勝を予想されている民主党にも言えることである。などと書いていては公職選挙法に引っかかるのかな。マクドナルドを出て栄町通を地下鉄琴似駅方面へ歩くとすぐ着いてBOOKOFF札幌琴似店。
む。今日一番の小型店舗である。横浜平沼店を彷彿とさせるが実は一番先に思い出したのは高校時代に通っていた西明石駅前にあった名も忘れた古本屋であり、ここから涙なしには聞けない俺の高校時代の話を聞きたい奴がいるかもしれんが俺はそんなに暇ではないしかっこ悪いわけではないのでただひたすらラブコメラブコメイエーイである。その方が暇そうでかっこ悪いことに気付いても遅いのだ買ったのはこれじゃボケ。20時27分、350円。
恋愛ばいぶる (バンブー・コミックス VITAMAN SELECT)
- 作者: 東タイラ
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2008/11/07
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さらに歩を進め、地下鉄南北線琴似駅から向かうは終点宮の沢駅である。前回横浜遠征の時は最後の店に行くあたりで猛烈にデブ特有の症状(股ズレ)が襲ってきたが今回は大したことはない。やはりこれは「グッバイ風俗」計画と時を同じくして行われている「ダイエット」作戦(ひねりがないな)の成果ではないか。駅内で電車を待っていると40過ぎの髪が爆発したとしか思えない女が携帯電話で「いや、お父さんに聞いてよ。お父さんね、金払ってないんだよ。いつも払っとけって言ったのにさあ。だからお父さんに聞いて。私じゃわかんないよ。金払ってないんだから」と大声で喋っていた。そのようにして最後の目的地・宮の沢駅に着いた。
地上に上がると小雨が降り出したが、もう雨に濡れたところで問題ないのでそのまま歩いているとすぐにやんだ。途中「ちえりあ」という、住民文化センターのような大きな建物があってきらびやかに輝いていたが中に人がいないどころか人の気配すらしなかった。ああ俺はこういう寂しい光景になぜか心惹かれるのだ。何故か。俺自身が寂しい人間からかもしれない。しかしそんな事を言っても仕方がないというわけで最後の目的地・BOOKOFF札幌宮の沢店。時刻は21時ちょうど。
ふむ。結局札幌の大型古本屋は駅前の店というよりはロードサイド型店舗がほとんどなのであって、俺のように電車を使って行く奴はいないのかもしれない。しかしまあ何度も言うようだが俺は俺のやりたいようにやるだけで他人がどうしようが構わんのだ。俺のやりたいようにやるのだから後悔のしようがない。というわけでさすがに疲れ、一通り棚を眺めたもののあまりいいものがなく、しかし最後はそれなりのものを買いたいと思っていると105円コーナーでこちらが目に入ったので買いました。21時19分。
- 作者: 萩尾ノブト,原田重光
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2007/03/29
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宮の沢駅から大通駅へ戻る電車の中では寝ていたが、夢の中でもBOOKOFFに行くために電車に乗る自分がいた。電車はなぜか大学生時代毎日使っていた阪急電車で、他に乗客はおらず、俺は誰もいないのをいいことに新聞を思い切り広げて見ていた。そうすると車掌のような男がやってきたが、男は俺に見向きもせず通り過ぎたかと思うといきなり走っていった。
ホテルに戻って鍵を受け取ると、昨日と同じ男がまたしても声を潜めて「では、こちらが、ペイチャンネルプリペイドカードの今日の分です」と渡してきた。俺は何も言わずに受け取り、ホテルに着いた途端疼きだした股ズレの痛みに横浜遠征の時の事を思い出した。今札幌にいるというのに横浜の事を考えるのもおかしいが、確か横浜の時はその前の名古屋の時の事を思い出した気がするのでまあ深く考えず、部屋に入ってシャワーを浴び、朝見た「北海道小選挙区情勢分析」をまた読み出し、0時を過ぎたあたりで睡魔が襲ってきたので寝ることにした。
翌日は7時半頃目が覚め、朝食バイキングのため1階に下りまたしても焼魚だのウインナーだのハムだのを平らげカレーも平らげた。部屋に戻る途中北海道新聞をもらうと、北海道以外の小選挙区及び比例代表の情勢分析が載っていたので非常に興奮し、BSの海外ニュースを見て(オバマ大統領が休暇に入ったが、公的医療制度をめぐって依然アメリカ政界は混沌としていると報じていた)9時になったのでチェックアウトした。昨日に続いて曇りであったが雨は降っておらず、俺が札幌駅に入る寸前に小雨がパラパラと振り出してきた程度で、結局今回は傘を買わずにすんだ。そのせいではないが、とにかく今回の旅は快適で愉快であったと結論付けた。是非また来ることにしよう。
電車に乗って札幌駅から新千歳空港に着き、搭乗手続きのため航空券の前払領収書を取り出そうとポケットをさぐり、受付の女に前払領収書を渡すと女は怪訝な顔をして俺を見た。間違って昨日使わなかったペイチャンネルプリペイドカードを出したからだった。