特別編 裏横浜毒探偵突撃古本屋(2)

 2時前に寝た俺は8時頃起きた。場所は横浜である。電車で1時間もすれば家に帰れるものをわざわざ8千円も払ってホテルに泊まり一体何をしているのだと猛烈な自己嫌悪に襲われるが、朝食のため1Fのレストランに入ってその豪華さに自己嫌悪も吹っ飛んでしまった。名古屋の滞在ホテルでは大きいパンと小さいパンが置いてあるだけであり広島の滞在ホテルもパンとおにぎりと味噌汁が置いてあるだけだったが今回はご飯・味噌汁・玉子焼き・ハム・野菜・漬物・海苔等といわゆる「朝食バイキング」直球ど真ん中メニューであった。そら嬉しいわ。ご飯を2杯食いその上パンも食べて昼飯がいらないぐらい腹に注ぎ込んだ。その後ロビーで新聞を読み、部屋に帰ってBSの世界各国ニュースを見て(ドイツのニュースで自動車会社の救済措置について政府内で意見が別れていると放送していた)10時となりいつものようにサンデープロジェクトを見るが、満腹のためしばし眠ってしまう。しかしホテルの枕というのはフカフカのモコモコで、ひどい時は枕を二つ重ねて寝るぐらいの俺にはどうも合わず、寝ては起き寝ては起きを繰り返しながら気が付けば11時半となっていた。そんなわけで出発である。ロビーに鍵を預ける時に俺と同い年であろう女の従業員に「天気予報、どないや?今日は雨降るってきいたけど」と言ったら困った顔をして「あの、そうですね、曇りですけど、雨はあまり降らないみたいですよ」と言われ、ホテルを出たらさっそく雨が降っていた。
 というわけでこの日は雨が降ったりやんだりを繰り返しあまりいいコンディションではなく、加えて俺の精神状態も決して磐石ではなかった。というのは仕事の関係なのでまあろくでもないことなのだがああでもないこうでもないと不安が頭をもたげるのを防ぐことができず、26歳にもなって俺はまだ大人になれないなあと思いながら向かった先はそごうの中にある紀伊國屋書店である。

 本日の目的は「横浜BOOKOFF10連発」であるから、まずはウォーミング・アップということで軽く肩慣らしをしよう。そごうの一角にあるから狭いと思っていたがこれがなかなか大きく、広島旅行時のジュンク堂書店広島店を思い出していい感じであります。ところで俺は書店の感想を求められると大体「A書店ですか。B書店のようですね」「C書店ですか。D書店のようですね」と言うが、これは「新潟産の米ですか。山形産の米のようですね」「宮崎牛ですか。松坂牛のようですね」と言っているようなもので無意味のような気がするのだが、さりとてどうしようもないのでこんな感じでいきます。で、買ったのはこちら。12時35分、1050円。

私にとっての二〇世紀―付 最後のメッセージ (岩波現代文庫)

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 というわけで既に準備の方は整ったのでBOOKOFFへ行くことにしよう。横浜市営地下鉄の一日乗車券(740円)を買い、まずはブルーライン関内駅に行かねばならんのだがいきなり「強風のためダイヤが乱れています」とアナウンスがのたまい、呆然としていると反対側(あざみ野行)の電車が来たのでとりあえずそこに飛び乗ることにする(結果的にはこれがよかった)。いきなり出鼻をくじかれて少々雲行きが怪しくなるが、考えてみれば俺の人生万事こんな調子なので気にしない気にしない。
 新横浜駅で下り、トイレで盛大に糞をして、5番出口の階段を上がるといきなり見慣れた店が目に飛び込んできたので少しびっくりした。BOOKOFF新横浜駅北口店。

 さて最初であるからここは気合いを入れなければならない。「首相がどういう政治を行いたいか知りたければ人事を見ればいい」というが、この俺がどういうラブコメ世界を展開させたいかは俺が買う本をみればいいのだ。最も濃密なプライベートの時間における嘘偽りのない戦いなのであるからな。どうも大げさだな。というわけでこちら。13時56分、350円。
未来日記 4 (角川コミックス・エース 129-8)

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 どうです。最初に買ったのがヤンデレホラーものですよ。これでもう最初から俺の勝ちみたいなものでしょう。わからんかなあこの感覚が。わからんわなあ。
 しかし訪問1発目の時点で既に14時ではとても10連発はかなわないので急いで電車に戻り、続いて仲町台駅である。このあたりまで来るとかなり景色も変わってきて我が兵庫県糞田舎と大差ないぐらいである。所詮横浜と言ったところですごいのは中心の中心だけで中心の周辺はこんなもんじゃぶわははははははははといらん事をグダグダ書くのは駅からだいぶ歩いたからである。この特別編シリーズは一日かけてとにかく色んなBOOKOFF等に行くわけであるから駅を出てから結構歩かなければならない店も出てくるのであり、早くもしんどくなってきたが着きました。BOOKOFF横浜新栄高校前店。

 ここも新横浜駅北口店と同じく広く、パッと頭に浮かんだのは瑞江駅北口店でありということは何かが始まる予感本当の恋を知る乙女という俺らしくないフレーズがこれまた頭に浮かんだのでよくわからんがここに書きとめておこう。そんなに意味不明なことばかり書き続けて悲しくならんかと真顔で言われることが多いですが、俺は平気です。というわけでこちらです。14時50分、300円(50円引セール中であった)。
魔界天使ジブリール (チャンピオンREDコミックス)

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 というわけでさっさと駅に戻りましょう。小雨がパラパラと降り出すが何せ風がかなり強いものだから傘をさしても壊れそうで、仕方がないからそのまま歩くことになるが、まあ風邪を引いたところでそれは明日以降の話であって今日横浜の大型古本屋に行くことができれば死んだってどうということはない。それにしてもこの、点々と配置された家と公園(というかただの広場)と時々しか車が通らない広い道路を見渡すとつくづく癒されますなあ。もしこのあたりを自転車で移動する機会があればもう射精してしまうだろうなあ。ところで射精と言えば結婚だがああいかんその話題はもうやめよう今後ずっと(以下略)にしよう(以下略)。
 仲町台駅よりブルーラインの終点であるあざみ野駅へ行き、ということはいやでも東急田園都市線の文字が目に入るのであって、お前は東急田園都市線で来れるようなところにわざわざ大枚はたいてホテルに泊まるのかと心が折れそうになるがああ心が折れそうといえばそういう時こそ結婚して支えあうという(以下略)。駅のバス停あたりに爽やかを絵に描いたような大学生男女7人ぐらいがテニスラケットのようなものを担いで談笑していたが、まあこいつら就職できへんやろなざまあみやがれとニヤニヤ笑っているとそのうちの女に睨まれたので唾を吐きつけてやった。どこまで本当かはお前が判断しなさい。というわけでBOOKOFF横浜あざみ野店。

 いやあここもなかなかの品揃えですね。結局今日の横浜遠征全てに言えることだが飛びぬけていいところがない代わりに全て平均点以上をキープしているのであって、そのあたりの「抜け目のなさ」がまた俺の中の横浜のイメージともマッチして非常に深みがあって幅がある生き方をしている俺という、あれ何を言ってるんでしょう。まあ時間もないことだしさっさと天才的な選択眼でもって買いましょう。16時7分、350円。
新世紀エヴァンゲリオン碇シンジ育成計画 05 (角川コミックス・エース 148-5)

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 あー、そう言えば映画の方はそろそろか。全く興味ないねえ。昔は一日中LAS三昧だったんだけどねえ。
 駅に戻る途中に麻生首相自民党の若手議員のポスターが貼ってあり、そこには「政権交代もあり。でも、今じゃない!」と書いてあった。今じゃなかったらいつなのかねえ。そして駅に戻るとまだテニスラケット男女七人物語がたむろしていたので一人ずつ布にしみこませた睡眠薬で後ろからこう無理やり吸わせて車に連れ込んでどこまで本当かはお前が判断しなさい。ブルーラインセンター南駅まで戻ります。

 写真は駅を出て東急方面へ向かう際に撮ったものであるが、まさにこれを撮った直後からかなり本格的な雨が降ってきた。そして東急を抜け、ライオンズプラザだったと思うが中世のヨーロッパ貴族の城を思わせる豪華絢爛(もちろんこれは褒め言葉ではない)な建物を突っ切って区役所通りを歩けばBOOKOFF横浜センター南オリンピック店。信号待ちをしていると中学生と思われるチビ男が雨にもかかわらず傘もささず携帯電話で「だからよ、あの女とは別れるって!」と大声で言っていた。いつも考えることだが俺がおかしいのだろうか。それとも俺以外の奴らがおかしいのだろうか。うーん。

 なるほどデパートの一角にあるわけですね。この田舎のファミリー向け臭がプンプンするところがいいですね。何というか、遊園地にしても「家族向け」と「カップル向け・若者向け」があるじゃないですか。そして俺は「カップル向け・若者向け」というやつに果てしない憎悪を感じているわけですね。カップルといえば俺は結婚をしたい(以下略)。そして品揃えの方は「すごく良い・かなり良い」というわけではないが確実に「良い」わけで、この堅実さはまさに俺のようですね。一体今日の俺は何を言っているのでしょう。いや言ってる本人がわからんのだからどうしようもないのです。17時9分、350円。
謎の彼女X(4) (アフタヌーンKC)

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 おおもう17時ではないか。朝飯をたらふく食ったとは言えさすがに小腹がすいてきたのでマクドナルドに入るが、従業員は欧米人であり俺の前に並んでいるのも小学生くらいの欧米人の女の子であった。そして俺の番になり、注文して商品が運ばれてくるのを待っていると俺の横のフランス人のような鼻の高い女が「アノ、バイト、ボシュ、シテマスカ」と言い出した。ここが日本なのは確かだがこのあやふやさは何なのだ。
 センター南駅へ戻り、今度はグリーンライン中山駅まで行くことにする。横浜という名前はどでかいものがあるが地下鉄はこのブルーライングリーンラインの二つしかありません。もちろん他にも相模鉄道やら金沢シーサイドラインがあるのだがやはり俺のような実務家には地下鉄が一番お似合いなので今日は地下鉄しか堪能しないことにする。というわけで本格的な雨の中、中山駅で下りて緑警察署まで行けばBOOKOFF横浜緑警察署前店。

 駅からここまでいかにも寂れた、常連しか来ないような商店街(というほどでもないか。ただ狭い道路に狭い店がたむろしているだけ)を歩いてくると非常に引き締まるものがあるわけですなあ。やっぱり日本の庶民っていうのはこういうところで生活するべきだよというかね。ただ単に東京に戻って仕事に行きたくないだけですがね。というのもこの日(3月22日)の二日後には出張で福岡の工場に行かなければならず、しかもその出張で俺は「本店から現場へ指示を出し、今までのやり方を改善させる」という憎まれ役の大役を引き受けなければならなかったからで、来るべきその日を思い浮かべては憂鬱になっていたわけである。だから購入にもキレがないとかは言わせません。ここにおりますこの俺は世界のラブコメ王なのだ。しかし俺こそ本店ではなく現場で泥にまみれて働く人間だと思うんだがなあ。どうなんかなあ。18時34分、350円。
ヴァージンげ〜む (バンブー・コミックス VITAMAN SELECT)

ヴァージンげ〜む (バンブー・コミックス VITAMAN SELECT)

 もう18時半である。22時にはホテルに戻りたいので移動時間を考えるとあと2〜3店が限界であり、ここまで良質なラブコメを順調に買い続けているとはいえどこかインパクトに欠ける感じもしよう。さてどうするかだが、とりあえずJR中山駅から新横浜駅へ、電車で俺と同じくらいの歳の女ふたりが小さな子供と喋っているのを見てつまり結婚(以下略)。新横浜駅で地下鉄に乗り換え、最初に行くはずであった関内駅へ行くことにしよう。
 駅に降りて伊勢佐木町方面の地上に出ると雨は上がっており、歩いていると呼び込みと思われる男に「いよっ、旦那」と言われた(気がした)ので「チェンジ!」と言い返し(もちろん意味不明)、BOOKOFF横浜伊勢佐木モール店。

 そしてこの店が品揃えにおいて最高峰のレベルであった。それはもう俺の大型古本屋探検生涯の中でも5本の指に入るほどのS級レベルものであって、もし今日強風ではなかったら一発目にこの店に行っていたわけでありそのあまりのハイレベルさにそれから行く店がゴミみたいに見えたであろうがこうやって終盤に来ることになってただでさえS級レベルな上に終盤戦での参戦という非常にタイミングのいい出会いになって俺は本当に運が良かったと言えよう。このように愚直に阿呆なことをやり続ければこんな俺でも幸運に助けられることがあるということなのだ。感動しますねこれは。というわけでこちら。20時11分、400円。
妹はLサイズ! (美少女文庫)

妹はLサイズ! (美少女文庫)

 
 ぬわはははははははははははは。いやもう持ち上げるだけ持ち上げといて買ったのがフランス書院美少女文庫というこのバランス感覚を見よ。素晴らしいだろう。なに少々ベタ過ぎる感じがしないでもないと。まあ蛇の道は蛇ですからな。
 というわけで感動に身をまかせているうちに20時を過ぎ、残り1店で終わりとしよう。結局7店しか訪問できなかったわけか。しかし昼12時前に外出して途中マクドナルドやラブホテルで休憩をはさみながらも8時間以上歩いているわけでこの頃になると疲れが出てくるのであって、まあデブ特有の症状(股ズレ)に苦しんでいるだけなんですがとにかく関内駅に戻って高島町駅で降り、まるで人の気配がしない中を県道13号線に沿って歩くとすぐ見つかりました。ここが本日最後の迎撃地・BOOKOFF横浜平沼店であります。

 うーん、この景色はどうひねくりこねくりまわしても見慣れた西明石駅周辺の景色そっくりなのだがなあ。横浜って言っても結局明石レベルなのかもしれないねえ。また雨が降り出してきたので急いで店に入り、小型店舗ながらもやはり品揃えは平均より下はいかないわけである。しっかりしておりますなあ。しかしながらここまでラブコメ以外の本を全く買っていないわけであり、それでは本当にただの阿呆なので最後は「真面目な読書青年」となって真っ当な本を買いましょう。そして尊敬される立派な大人になって結婚(以下略)。21時2分、105円。   
 いやあ終わりました終わりました。もう股が痛いし明後日には福岡に出張してしんどい仕事をしないといかんしで身体は重くなる一方であったが本日またしても一つの伝説が生まれたのであり喜びで一杯であった。強風と雨という悪条件の中で実に俺は何がしたかったのか。「それは言葉に表すと陳腐になる」とか適当な言い訳を用意していたがまあよくわからんわけですな。しかしよくわからんならよくわからんなりに楽しみ方があるのであって、「俺の人生は俺のものなのだから俺の好き勝手好き放題にやる」ことが結局俺が生きる上での基本ラインだという、まあそんな大げさな話より結婚の話を(以下略)。では風俗の話を(以下略)。そして誕生日を迎えた俺は26歳なのだ。一体あと何年生きられるだろう、一体あとどれぐらいラブコメに出会えるだろう、一体あと何年東京に住み続けるのだろうといつものように嘆き悲しみ不敵に笑いながらまた明日。本日もご拝読ありがとうございました。