僕と彼女たち/源氏鶏太[講談社:講談社文庫]

「イエイ」
「イエーイ」
「ラブコメ、読んでるかーい」
「読んでるー」
「それ以外も、読んでるかーい」
「読んでるー」
「サンキュー。サンキュー。というわけで今日は唯野教授にならって喋りますよ俺頑張りますよ。何たってここは何でもありの電子空間ですからね。そこで俺がいつものように踊り狂うというわけですね。やっぱりもっと飛び跳ねたいのよね俺はね。で、本書ですがこれ45年前の昭和38年の作品なわけですね。ですから主人公の28歳サラリーマンの月給は3万なわけですね。えーと、今の28歳のサラリーマンの給料ってどれぐらいかいまいちよくわからんのですがまあ物価は今の10分の1ってとこですかね。それにしても3万でしょう。五反田のファッションヘルスが一回1万5千ですからねえ。で、まあ昭和38年の大人はもちろん漫画なんか読まないわけですね。というわけで本書のような大衆小説、要するに純文学ではない軽い読み物ですね、こういうのを読むのを楽しみにしていたというわけですね。そこで本書ですがね、いやこれね、ラブコメっぽいわけですよ。別に俺は本書を前々から狙って買ったわけじゃなくてですね、今をタイムストリップすること半年前の2007年9月24日にブックトワイライト(仮称)でろくなラブコメ本がなかったから105円コーナーにあった本書を買っただけですからね。ちなみに本書は1984年に発行されておりまして、数奇な運命を辿ってこの俺の胸に飛び込んできたというわけですね。いやあ1984年から2007年までの23年間この本は一体どこでどうしていたんでしょうね。そんなことはどうでもいいですね。しかし本書はこの28歳独身サラリーマンをめぐって独身女性たちが結婚してよアタックをするのでありますね。しかしながら主人公は28歳の遊び盛りでありますし都合の良い恋人(バーの女)もおりますので何とかして煙に巻こうとするわけです。この主人公については特にイケメンとかスポーツができるといった説明はありませんから恐らくこれといった特徴のない普通の青年なのでしょうがしかしモてるわけですね。これはあんたラブコメと言わずして何というのです。いいですねえ。最後は結局その恋人との結婚を決意するところで終わるわけですが、どうして決意するのかというとその恋人にとあるピンチを助けてもらったからですね。ま、要は惚れ直したということでしょうなあ。そのくせ主人公はなかなか結婚にイエスと言わない恋人に対して『男の僕が、こんなに言っているのに、まだうんと言わないのか』と言うところなんぞ昭和30年代的でいいではないですか。あんたついさっきその女に助けられたというのに何が『男の僕が』じゃと21世紀的につっこんでおきましょうかね。対する恋人も『脅えながら、女の喜びにふるえているようであった』というわけですからね。いやあ、ラブコメってどこにでもあるもんですねえ。本当にいいものですねえ。それではまた」