せどりよりそっちを何とかせなあかん、神戸書店マップ、調布市、静岡、まんだらけ梅田店、郡山、大宮、日本図書館協会、立川

2017年10月28日〜

  • 行きたいけど諸般の事情で行けないのでせめて引用ツイートだけしておこう。 俺も一生に一度は同人誌を作らなきゃなあ、いや自費出版かなあ… twitter.com/tehutan/status… posted at 11:26:15
  • ま、いざとなればブログの記事をまとめればいいわけですが、それだけやと面白味がないしなあ、「これは一般に広く流通した本です」とか言って国会図書館に引き取ってもらうつもりやしなあ、ちゃんと作りたいしなあ、そんな事言ってもう何年経っとんのじゃ… posted at 11:47:35
  • うーん、俺が同人誌を作るとしたらどうするかなあ…。 とりあえず「日本ラブコメ大賞」をまとめるしかないかなあ、それとも政局ドキュメントで…この前少し言った田中角栄vs金丸・竹下を書くかなあ posted at 00:43:57
11月4日
  • 昨日も会社、明日も会社! 歯医者に行って歯を抜いて超痛え! しかしこの勢いを利用して神田古本祭りだ! pic.twitter.com/DnBOkWcSZH posted at 13:53:15


  • だはー。最近ずっと諸般の事情というか大人の事情というやつでいつの間にか選挙も終わってしもうたがな、政局好色もできんかったがなというわけでとりあえず「脱走と追跡」を更新しましたよ(d.hatena.ne.jp/tarimo/20171104)。まあ手抜き全開やけどね、許したってね。 posted at 22:26:13
  • とりあえず歯の痛みもおさまったので図書館に古本祭りに古本屋・その1・江東区古石場図書館(俺のテリトリーの一つ) pic.twitter.com/CaWCHcIR2Y posted at 22:31:14


  • とりあえず歯の痛みもおさまったので図書館に古本祭りに古本屋・その2・神田古本祭り(いや「全品半額!」って言われてもね…2千円が1千円になったってしゃあないやろ、せめて500円くらいにせんかい) pic.twitter.com/GxAFmnkoFd posted at 22:34:03


  • とりあえず歯の痛みもおさまったので図書館に古本祭りに古本屋・その3・ブックオフ多摩永山店(駅からシャトルバスに乗って行くという、知る人ぞ知るブックオフ。品揃えもいいです) pic.twitter.com/Go5HnR5yNo posted at 22:43:17


  • @trombook 東京の板橋区のとあるブックオフに行った時なんですけどね、「藤子不二雄ランド」が普通に売ってたんで、思わす買ってしまいましたね。 pic.twitter.com/CIUHbvC0Rv posted at 23:06:15


  • 今日の神田古本祭りでも、せどりしている人を見ましたよ。でもまあ、ちょっと邪魔かなあという程度ですよ。それよりもね、カップルで来てね、手とか繋ぎつつ古本見ている男女とかいるでしょう。これはもう、殺意がわくレベルですよ。せどりよりそっちを何とかせなあかんのですよ、そうでしょう皆さん! posted at 23:37:53
  • @shomotsubugyo そうなのよ。 それでけしからんふざけるな色ボケがとかブツブツ言いながら秋葉原に行ったらそこでも大学生くらいのカップルがいてブツブツ言ってしまうという…(朝から何をブツブツ言っとるんだ… posted at 09:54:09
11月7日〜
  • 会社の宴席とかでひたすら「公務員はけしからん」「公務員は楽ばかりしおって」とか言う人がいて、俺も適当に相槌打って「そうですなあ」とか言うとったんですが、ツイッターで公務員、というか図書館員の人達が苦労しているのを見てきたせいか、最近は「公務員にもいろんな人が」 posted at 23:19:10
  • @tarimo99 「公務員って言っても非正規とかあって」「あの世界も色々と窮屈で」とか言うようになって、ああツイッターが俺の何かを変えたんやなあと思った次第です。 ま、公務員だろうがサラリーマンだろうがエロ漫画買う人は買うもんねえ。 posted at 23:25:20
  • @gosplan1019 問題ありません、どんどんやって下さい。 posted at 23:38:01
  • なに「シンゴジラ」をやっている?こっちは3週連続日曜出勤で、たった今富士そばでミニカレーかけそばセットを食べ終わったところだ。どうだ侘しいだろう誰か助けてくれ pic.twitter.com/eWEI186gqD posted at 21:29:31


  • 俺、今は風俗じゃ風俗じゃとか言うとるけどね、ある日を境に、突然、ラブドールの方に行く気がするんですよ。まあそれはそれで面白そうなんで、今から楽しみですね。 posted at 22:18:46
11月18日〜
11月24日〜
  • 俺はどういう人間かというと…この時間にいきなり漫画版「永田町の争闘」を読みたくなって本棚をひっくり返してやっと見つけて、見つけた事に満足して…そろそろ歯磨きして寝ようかと思ってしまうような人間です。共感したあなたは素晴らしい。 pic.twitter.com/8jlKA06aM3 posted at 00:32:09


  • 故郷に戻って悪行三昧・その1・神戸市立三ノ宮図書館(滞在時間3分) pic.twitter.com/Tjz8wclXie posted at 23:21:29


  • @tarimo99 故郷に戻って悪行三昧・その2・清泉堂書店(滞在時間15分、いや時間なくてねえ…) pic.twitter.com/XnZekIqHD7 posted at 23:25:49


  • @tarimo99 故郷に戻って悪行三昧・その3・ブックオフ三ノ宮センター街店(滞在時間30分、ものすごく臭いおっさんがいた) pic.twitter.com/gmwGTjxn7x posted at 23:36:47


  • 三宮図書館で「神戸書店マップ」という…神戸界隈の本屋・古本屋・図書館を網羅した便利なパンフレットを入手。 pic.twitter.com/wCuNaiLQwi posted at 23:41:02


  • @tarimo99 畜生め、何で今になってこんな便利なもんができたんだ、俺がこの三宮で悪行三昧やっていた15年くらい前にこれがあればなあ、こんな無駄な人生を送らずにすんだのに…(半分冗談で半分本気) posted at 23:46:02
  • @YomanakyaKobe こちらこそ、大変便利なものをありがとうございました。 小生、神戸・三宮で青春時代を過ごした者でして、懐かしいやら新たな発見があるやらで、感動しました。 posted at 22:22:44
  • 今度の土曜日曜は休めそうなので…予定としては 1彩の国古本祭りを襲撃、2国会図書館を襲撃、3西部古書展を襲撃が考えられます。あと、4吉原か川崎のソープランドもありますが…こっちの方はボーナスが出てからにした方がいいですかね(知らんがな) posted at 23:17:11
  • やっぱりブログもツイッターも、「趣味嗜好の合う人」「冗談のわかる大人な人」と、無理のない範囲で、穏やかに、しかし濃密にやりたいんで、あんまりフォロー数増やしてもなあ…と思ったりしますねえ。変な人に噛みつかれたりしたら面倒臭いし。 でもあの、炎上ってやつ、一度は経験したいね。 posted at 23:06:09
12月2日〜
  • 師走だというのに図書館と古本祭りと古本屋で遊びまくり・その1・国会図書館(パソコン席で「一時離席モード」使うのやめてくれへんかなあ…) pic.twitter.com/usy3aqVtQp posted at 23:14:32


  • @tarimo99 師走だというのに図書館と古本祭りと古本屋で遊びまくり・その2・彩の国古本祭り(品揃えの豊富さはもちろん、20時までやってるというのがいいね) pic.twitter.com/9lIMLcJndP posted at 23:19:39


  • @tarimo99 師走だというのに図書館と古本祭りと古本屋で遊びまくり・その3・ブックオフ所沢ぷろぺ通り店(彩の国古本祭りで買い過ぎたから鞄が重い…) pic.twitter.com/d1MXtyzV3E posted at 23:24:58


  • 昨日の所沢の古本祭りの戦利品・その1・週刊現代1981年8月6日号。やっぱりこの頃の週刊誌はいいですねえ。 pic.twitter.com/bulBcRPIsk posted at 23:28:28


  • @tarimo99 一昨日の所沢の古本祭りの戦利品・その2・昭和17年4月24日の朝日新聞 pic.twitter.com/IdCozhO7n8 posted at 23:29:42


  • @tarimo99 「近く実施される木材統制と共に、最近木材そのものが非常に貴重な材料となつた」「今少しく頭と手を働かせて利用したいものである」「婦人も口紅を塗る代りに?や鋸を持ち、美顔術の代りに家具を自分の手で作つてごらんなさい」 pic.twitter.com/FkSP9WzsFj posted at 23:44:50


  • @shomotsubugyo なかなか味わい深いでしょう、この記事。 他にも「妊婦さんは子供の分まで食べなきゃいけないんで、パンが多く配給されますが、だからと言ってお米を抜かす事はせず、しっかり食べるように」なんて記事もあります。 posted at 01:15:06
12月17日
  • 間に合ったというかようやく決心がついたというか、今年も日本ラブコメ大賞はやりますというただそれだけの事ですがようやく本館を更新しました(d.hatena.ne.jp/tarimo/20171217)。やはりツイッターは第二ブログでしかない、俺の本拠地はこちらであります。とは言え文章その他何にも手をつけてないんだよ… posted at 23:00:28
  • で、冬クールですが「僕の彼女がマジメ過ぎる処女ビッチだった件」を見る事にしました。まあ、メチャクチャ面白いというわけではないですが、見ていて損はないというアニメですな。とは言えまだ5話までしか見てませんけどね、ああ、もう12月も後半か。クリスマス?なくしてしまえそんなもん。 posted at 23:07:20
  • @shomotsubugyo おお、それは素晴らしい。だいぶ待ちましたよ。 ツイッターも便利ですが、やっぱりブログで長々とディープな世界に浸る方が楽しいですし、そんな自分を見て楽しんでくれる人がいるとまた楽しいんですよね。 posted at 23:11:02
12月22日
  • 永田町駅近くに取引先の事務所がありまして、そこに年末挨拶に行く事になったわけですが、アポが13時半なのでちょうどいい…と国会図書館に行って、9月の雪辱(第三水曜にのこのこと行って休館やった)を果たしてきました。 まあ、食堂でカレー食っただけやけどね。 posted at 23:02:13
  • @tarimo99 いつもはただのカレーですがたまには図書館カレー(カレーに紅ショウガは合わんなあ…) pic.twitter.com/g0HkJWtD7F posted at 23:04:50


12月24日
  • 俺がいつも行く床屋(例の門前仲町の富岡神社の近く)は客層が100%おっさんなので店内はAMラジオが流れているんですが、今日行ったらFMが流れていて、しかも山下達郎が喋っていた。へえ、この人まだ生きとったんか、まあ死んだという話も聞かんしな。で、クリスマス?なくしてしまえそんなもん。 posted at 22:37:11
  • 日本ラブコメ大賞も大詰めなのに遊びに行ったりしてアホかお前は・その1・調布市立図書館緑が丘分館(おばはんがパソコンにむかってずっとブツブツ呟いていた)。 pic.twitter.com/FlMm1ReOdK posted at 22:40:36


  • 日本ラブコメ大賞も大詰めなのに遊びに行ったりしてアホかお前は・その2・石本書店(旧ツヅキ堂書店)。たまには俺もブックオフ古本市場以外の古本屋に行くのです。 pic.twitter.com/R911XmiEn0 posted at 22:43:34


  • というわけで何とか日本ラブコメ大賞前半戦である一般部門が終わりました(d.hatena.ne.jp/tarimo/20171224)、今年も残すところわずかですがまだ後半戦、エロ漫画部門編が残っておりますのでご期待下さい。順位は決めましたが文章はこれからです、誰か助けてくれ。ヤッてヤッてやりまくれ(エロ漫画だけに posted at 22:58:17
  • @shomotsubugyo 賛同頂いてありがたい。 というわけで目下、エロ漫画を読みまくっておりますので、頑張ります。 posted at 23:07:55
12月29日
  • エロ漫画を愛しラブコメを愛する日本の皆さんおはようございます、お待たせしました、日本ラブコメ大賞後半戦・エロ漫画編です(d.hatena.ne.jp/tarimo/20171229)。今年も傲慢・妄執・被害妄想の限りを尽くして俺は茫然君も茫然、これにて2017年が終わり2018年が始まります。いやー…間に合ったよ… posted at 09:18:31
  • 仕事が終わって納会に突入が18時、それから21時まで会社で飲んで、盛り上がった先輩同僚に連れられて居酒屋に入って解放されたのが日付変わった1時過ぎ、家に帰ったのが2時頃、直ちに日本ラブコメ大賞の文章を書きだして…途中3時間ほど寝て…もう下書きする時間もないから直接画面に打ち込んだね posted at 09:24:50
  • 来年こそはもっと計画的にやらんといかんなあと思いつつ…去年も一昨年も同じような事を言っとったから来年も無理やろうなあ、まあいい、とりあえず終わったので…急いで着替えて荷物を詰め込んで…18きっぷの旅に出発しよう、また地方のブックオフその他に行くよ夜には写真を載せちゃうよ。 posted at 09:27:29
  • 日本ラブコメ大賞2017が終わったので2018のために・その1・とらのあな静岡店(よく考えたら1年に1回は来とるな…) pic.twitter.com/GS5Bxg9zxp posted at 23:01:19


  • @tarimo99 日本ラブコメ大賞2017が終わったので2018のために・その1の2・メロンブックス静岡店(さすがにこうもエロ漫画ばかりに集中していると勃たんね) pic.twitter.com/zUE56Z9woC posted at 23:04:17


  • @tarimo99 日本ラブコメ大賞2017が終わったので2018のために・その2・ブックオフ浜北店(と無人遠州鉄道小林駅の写真。寒い寒い…) pic.twitter.com/MMkEdDQez6 posted at 23:07:27


  • @gosplan1019 や、いつもありがとうございます。 色々と大変だとは思いますが、エロ漫画のために、来年も、お互い頑張りたいですね。 そちらのベストを楽しみにしております。 posted at 23:12:21
  • @gosplan1019 おお、お手数かけて恐縮です。 実は小生、今日、とらのあなに行きまして、貴兄のレビューを参考に一冊買いましたので、2018年も宜しくです。 posted at 23:31:56
12月30日〜
  • 故郷に戻る途中で悪行三昧・その1・古本市場香里園店(立ち読みしていた中学生くらいの少年が突然奇声をあげて去っていった。まあ最近寒いからね) pic.twitter.com/sOIl7IvH8c posted at 23:16:35


  • @tarimo99 故郷に戻る途中で悪行三昧・その2・まんだらけ梅田店(我が青春の思い出深い店なので贔屓するわけではないですが、全体的に値付けが低いんですね、ここは) pic.twitter.com/wJoniYCcjk posted at 23:22:39


  • @shomotsubugyo デート…ん?ん? posted at 18:16:48
  • @shomotsubugyo お、おう…。楽しんだのなら良しとしよう。 こっちも風俗嬢と楽しくデートした事がありますが、それは来年という事で。 posted at 22:17:01
  • 日本ラブコメ大賞2017が終わって解放感に浸りながら立て続けに新しいラブコメ本を買い続けたらもう2018の1位が決まってしまったような…いや、いかん、まだ2017年は終わっとらんかった、妥協するな買いまくれ買いまくれ。来年もこの俺(アホ)にご期待下さい。 posted at 22:20:23
2018年1月1日〜
  • @knabeo あんたもたまには何かツイートしなさい。「この理科年表のここが良かった」とかね。 posted at 22:42:04
  • @knabeo と思ったらツイートしてましたね。失礼。今年も宜しく。また、たわわの同人誌をあげよう。 posted at 22:46:31
  • 年末年始は兵庫県糞田舎の実家で…気ままに本を読んだり気ままにブックオフ古本市場に行ったり、惰眠を貪ったりしとるわけですが、そうすると時間が経つのが早い早い、もう1日も終わり、3日は東京への移動で潰れるから実質明日が最後の気ままな時間か、まあサラリーマンはこんなもんか。 posted at 22:54:08
  • @StocWood 1日で4店行ったんですか。素晴らしい。 小生は兵庫県出身なんですが、今は東京に住んでおりまして、大阪のブックオフ等を走り回るのを楽しく見させてもらってます。 posted at 01:23:56
  • @StocWood 今年も期待してます。 小生も東京はもちろん、18きっぷを使って地方のブックオフ古本市場にも出没しますので、お任せ下さい。 posted at 11:54:00
1月6日
1月7日
1月13日

3 明言しなければならない

10位:いんもらりずむ/gumi555[ジーオーティー:GOTコミックス]

いんもらりずむ (GOT COMICS)

いんもらりずむ (GOT COMICS)

 毎年繰り返し言及している事であるが今年も繰り返すが、成年版ラブコメと近親相姦は相性がいい。なぜならラブコメという、「地味で平凡で冴えない主人公(=読者)」に「美人で巨乳でスタイルよくて」「最初から主人公(=読者)にぞっこん」な女(ヒロイン)が…の構図を描く場合、まず考えるのは「どうして美人で巨乳でスタイルのいい女がこんな地味で平凡で冴えない主人公(=読者)と相対するのか」という事であって、しかしそこで主人公を歯の浮くような美辞麗句を並べるアホにするわけにはいかず、かと言って俺のようなチビ・デブ・ハゲ等の欠点を受け継いだ主人公を描くわけにもいかない。またヒロインを頭のおかしい女(こんな美人で巨乳でスタイルがいいのに地味で平凡で冴えない主人公に股を開く→頭がおかしい)にするわけにもいかず男なら誰でもいい(棒ならなんでもいい)淫乱女にするわけにもいかない…という時に便利なのが近親相姦だからで、「地味で平凡で冴えない主人公(=読者)」にも家族・親族は必ず存在するのであり、家族・親族であるから幼い頃からお互い顔見知りであるしよほどの事情がない限り家族・親族特有の親しさがある。「美人で巨乳でスタイルのいい女」であっても「地味で平凡で冴えない主人公(=読者)」が家族・親族ならば親しみの感情が生まれ、それが悪魔の所業によって恋愛方面へ旋回すればいとも簡単にカップルが誕生しよう。
 そのような近親相姦物は一般ラブコメより成年ラブコメの方がより威力を発揮する。例えば「母VS息子」であれば二次元であるから母は10代20代と変わらぬ容姿となり、主人公(=息子=読者)は10代20代と変わらぬ女と性交渉をしつつ男女間の愛情プラス母性本能によって完全に守られ、更にタブーを侵した事による快楽まで感じる事ができよう。逆にこれが「妹VS兄」となれば幼い頃から自分(=兄=主人公=読者)を慕っていた女(=妹=ヒロイン)を性的にも支配する事で所有欲を満たしつつ男女間の愛情も感じつつ、同じくタブーを侵した事による快楽を感じる事ができよう。
 前置きが長くなったが本作はオール近親相姦(「姉VS弟」「兄VS妹」「父VS娘」「叔父VS姪」等)であり、エロ漫画本の宿命で短編集であるから玉石混交、ラブコメ的に不完全なものがあるが、おおむね共通しているのは性交渉前にヒロイン側がタブーを把握している事で、本来恋心を抱いてはいけない相手(=主人公=読者)に対して恋心を抱いている事が序盤で読者に伝わるよう仕向けられ、それぞれのきっかけによってその恋心が表に出るが、長い年月の間秘めていた感情プラス「タブーであること」をヒロイン側は意識しているので「表に出る」というより「暴発」に近い形でその恋心は発現され、そのまま勢いに乗って一気に性交渉まで流れるのでテンポがよく読みやすいのが高ポイントであった。近親相姦など今やエロ漫画では当たり前の材料であるが、それをうまく利用していると言えよう。しかし勢いに乗って性交渉までこぎつけたはいいがそれから先はただの恋人同士となってあまり近親相姦の香りがしないのがやや物足りなくもある。次回作も近親相姦ものを期待している。
   
9位:飲んだらヤレちゃう天然秘水/いのうえみたんジーウォーク:ムーグコミックス]
 はて成年マークがついてないが…電子書籍版の方はしっかり「18禁」として売られておるし…その内容からして本作は成年部門編が妥当であろう(双葉社竹書房のような「エロではないが、非エロでもない」レーベルならともかく、こちらのレーベルはエロ以外の何物でもない)。しかしそれよりも何よりも、本作には深みが感じられない、と言うよりは画力が平均以下であり(キャラクターはともかく背景など完全にやっつけ仕事)、エロ漫画に必要な淫靡さも淫猥さも感じられないので自慰の道具としては使えないであろう。しかし何度も繰り返すが今から評価するのはラブコメとして優れているかどうかであり、「エロいかエロくないか」はどうでもいい。エロ(=性交渉)を主とする舞台において、いかにラブコメ的展開(「地味で平凡などこにでもいるような男」VS「美人でかわいくて性格もいいヒロイン」)を無理なく無駄なく華麗に仕上げる事ができたかが肝要なのであり、それさえ満たせば画力など瑣末な事である。
 というわけで前置きが長くなったが電子書籍を前提にしている本作は非常にシンプル且つオーソドックスなもので、営業成績最下位の冴えない主人公が「珍宝山の湧水」「フェロモン香水」「淫語チェンジャー」という面白道具を自動販売機で買ったところそれらの道具のおかげで周囲の女達といとも簡単に性交渉ができるという、何とそれだけなのであるが、ただ女とヤって後はポイ捨て、ではなく「めっちゃかわいい同期入社のヒロイン」がその存在感を発揮している事で凡百の低レベル電子書籍エロ漫画から頭一つ抜け出しているのであった。そして普通ならば道具の力を使って強引に性交渉となれば「何て事してくれたのサイテー!」となるはずが「両想いだったんだ」という事で主人公(=読者)はヒロインという拠り所を得るのであり、そうなればその後いかに多くの女達(美人だが高飛車な先輩女、美人だが高飛車な同僚女1、美人だが高飛車な同僚女2、美人だが高飛車な上司女)とやっても主人公の安定は保たれよう。
 成年版ラブコメで必要な事の一つに「主人公(=読者)がリスクを感じないこと」がある。「自分に好意を持っているかどうかわからない」女と性交渉する事は「自分はこの女に利用された、快楽の道具にされた」と屈辱を感じるリスクがあり、また性交渉を経ても恋人になれるかどうかはわからないというリスクがある。しかし既に両想いの彼女を手に入れた主人公(=読者)は彼女以外の女を欲望の道具として使い捨てにできるのであり、それは男(=読者)の野望を大いに刺激しよう。但し派手に色んな女とヤり過ぎると本命ヒロインにバレるというリスクもあるが(「浮気は許さないからね」)、ちょうどいいタイミングで物語は終わりを迎えめでたしめでたしとなった。その昔、と言っても90年代まではこのような「サラリーマンが己のイチモツで周囲の女を獲得する」という官能小説が多数あったが、それをラブコメ的に、現代的に変形させたのが本作であろう。電子書籍と言えど馬鹿にできない、ラブコメの可能性は続くのである。
  
8位:じょしラク!〜2 Years Later〜/DISTANCE[ジーオーティー:GOT CO
じょしラク! ~2Years Later~ (GOT COMICS)

じょしラク! ~2Years Later~ (GOT COMICS)

 さて成年漫画で長編(連作)は難しい。刹那的な快楽であるエロは「勢い」と「パワー」によって成り立ち、勢いもパワーもなければエロは急速に萎んでしまうが、1冊丸ごと、決められた登場人物達と決められた設定という枠の中で勢いとパワーを持続させ、且つ読者を退屈させないためにはただエロ的描写に力を入れるだけでは息切れしてしまうのであって、やはりストーリーを展開させなければならない。しかしストーリーを豊富にすればエロは少なくなってしまう。そのため長編においては「登場人物を主人公とヒロインとその他少数に限定して濃密な人間関係を展開させた上でエロをやる」パターン(2015年1位「7×1」、2015年9位「エローライフ」他)か「豪華絢爛なハーレムを提供して突っ走る」パターン(2015年4位「僕の山ノ上孕ませ日記」、2014年3位「いきなり!ハーレムライフ」他)しかないのであって、しかし一口に突っ走ると言っても1冊丸ごと最初から最後まで見事な走りができるかと言えば途中でどうしても息切れをしてしまうので結局この順位となった。
 本作は過去紹介した「あねこもり」(2015年2位)の続編であり、本作から読み始める人は主人公とヒロイン達の関係(特に「前作までのヒロイン達」と「本作からのヒロイン達」)が把握できずやや混乱してしまう危険があるが、前作で見せた「膣内射精・妊娠」の見せ方は本作でも健在で、もちろん膣内射精などエロ漫画では当たり前であるが、最初は主人公(地味で平凡な高校教師)を意識していなかった本作からのヒロイン達は性豪・性獣ぶりを発揮する主人公によって征服され(「女を孕ませてきた猛者の腰振り」)主人公の子種を本能的に欲しがるのであり(「赤ちゃん孕んじゃう時のこの感じ、女の幸せを一番感じるこの感じ」)、それを見る読者は主人公(=自分)がヒロインの理性を征服し本能を剥き出しにする事に成功した事を体感し「征服」という野性的な感覚を知り、男としての自信を得るのであった。そのようにして女を征服し続けながら既に征服した女(前作までのヒロイン)も周りに配置する事で(「私も大学を卒業したら先生と結婚して」「ライバルは早期につぶしておかなくては!」)、「男(=主人公)1人対女2人以上」の性交渉描写がなくともハーレム感を醸成する事ができ、ハーレム及びエロに必要な「突っ走り(勢いとパワー)」がなくてもハーレムが成立している稀有な作品に仕上がったのが本作である。何度も言うように俺が求めるのはエロではなくラブコメの成年版であって、たとえハーレム性交渉描写(男1VS女2以上)がなくても、その気になればいつでも複数のヒロインと性交渉を繰り広げる事ができると読者が認識すれば勝負はついているのである。ヤるかヤらないかなど瑣末な話なのである。
 というわけで本作は素晴らしい。実はもう少し上位にする予定だったがストーリーがあまりにもスローな事(前作までのヒロイン達や本作からのヒロイン達と五月雨的に性交渉するだけで着地点が見えない)とレズが出てくる事もあり、総合的にはこの順位が妥当であろう。
  
7位:妹のおま○こ/潮風サンゴ[ティーアイネットMUJIN COMICS]
妹のおま〇こ (MUJIN COMICS)

妹のおま〇こ (MUJIN COMICS)

 即ち、妹とは何か、であって、近親相姦としての快楽については10位で説明したのでもっと踏み込んでみよう。というのも「兄VS妹」という構図はエロ漫画に限らず一般部門のラブコメに限らず世間一般に受け入れられており(時々少女漫画やトレンディドラマでも「兄妹」ものを見かける)、その他の近親相姦(「母VS息子」「姉VS弟」)とはだいぶ趣が違うからである。
 日本の夫婦は大体が「夫が妻より1〜5歳年上」である。正確な統計を調べたわけではないし最近は「夫と妻が同い年、同級生」という例も多いが、少なくとも「妻が夫より1〜5歳年上」よりは多い。つまり日本の家族は「父は母より1〜5歳年上」が一般的なのであって、そうすると父は母より人生経験が多い分、母よりも上の立場に立って家族を率いていかなければならず、子供はそれを当然のものとする。「兄と妹」の組み合わせ、つまり男が女より1〜5歳年上であるという組み合わせの普遍性はそこであって、近親相姦の中でも「母と息子」「姉と弟」よりはタブー感が少ないのであり、タブー感が少ないという事はそれだけエロ漫画の題材としても「一般的」となり、妹は頻繁に登場にするようになるわけだが、そうは言っても近親相姦、つまり禁じられた関係である事には変わりないため、
(1)「許されない関係」を終始意識しながらも惹かれあい性交渉を繰り返す。
(2)「許されない関係」については最初に少し触れるだけで、その後はお互い好き合っている者同士が自然と性交渉をするように性交渉を繰り返し、「許されない関係」そのものを消滅させる。
 のどちらかを選択しなければならない。もちろん①の方が淫猥さが強調され、且つタブーを意識する事によってより兄(=主人公=読者)と妹(=ヒロイン)の関係が強固となって深く濃いラブコメとなり評価も高くなるが、②でも優れた作品は多く存在し本作もその一つである。
 短編というよりは中編というべき各作品に登場するヒロイン(=妹)達は主人公(=兄=読者)のために朝から性交渉をせがむのでありビッチとなるのであり髪も茶髪から黒髪に戻すのであって、それをヒロイン(=妹)が当然の事として実行する事で読者は自分がヒロインを支配している事を自然に実感することができ、また妹側から性交渉を仕掛けたとしても(「朝勃ちのおち○ちんにおま○ここすりつけてたの」「やって帰ってきた、早くエッチしよ」)それが支配を揺さぶる事のないただの甘えである事が度重なる性交渉を通じて主人公(=読者)に伝わり、このあたりは中編(性交渉シーン→非性交渉シーン→性交渉シーン→非性交渉シーン、の繰り返し)である事をうまく活用していると言えよう。これで変なレズプレイ(?)的な描写がなければもう少し上位に食い込んでいたのだが、それはともかく妹ヒロインは兄に支配されつつ、その支配に安住して快楽を貪欲に求めるのであり、兄は妹のその求愛にやや戸惑いつつ常に応えるのであった。父と母のように、夫と妻のように。
  
6位:甘ったれバンビ/なるさわ景茜新社:TENMA COMICS JC]
甘ったれバンビ (TENMA COMICS JC)

甘ったれバンビ (TENMA COMICS JC)

 何度も言うように俺は世界のラブコメ王であってロリコン王ではない。と言うよりロリコンであろうが熟女だろうがラブコメであれば許容するので俺の方が偉いわけである(何のこっちゃ)。つまり主人公が「地味で平凡で冴えない男」であればヒロインが小学生でも結構なオバハンであっても許容するので俺は偉いのである(何のこっちゃ)。
 とは言え本作はJC、つまり女子中学生なので少々迷うところではある。そもそもロリコンの定義などあってないようなもので、「小学校低学年まで」という定義もありえよう(幼稚園以下になるとペドになるのかな。ま、犯罪さえしなければいいでしょう)。しかし中学生となると…ほとんどの女子は思春期を迎えて反抗期の生意気真っ盛りの時期に入り、やれジャニオタだ腐女子だと騒いで周囲の男達を侮蔑の目で見るはずである。ラブコメにおけるロリコンとは「まだ子供で幼いからこそ、主人公が世間一般から『地味で平凡で冴えない男』と評価されても気にせず、純粋無垢に主人公を求める」構図を確保することができ、主人公はその純粋無垢な勢いを借りて性交渉へと一気に持ち込む事ができるのである。
 翻って本作はと言うとなるほど中学生であるから小学生的な純粋無垢さはないが、代わりに「甘ったれ」という概念を持ち込んでいる。即ち中学生であるから性教育も受けており、性交渉をすれば妊娠して男女間で責任が発生する事は知っているものの、一方でこの年齢の女子にはよくある事だが「恋に恋する」「恋に憧れる」感情も強く持ち合わせており、理性(妊娠による諸々の問題)より「恋する」「彼氏ができる」「好きな人の子供を妊娠する」というロマンスを優先するヒロインを描く事で、「甘ったれ」なヒロインを表現している。特に表題作ではそのような「甘ったれ」なヒロインに対する男(=主人公=読者)は6人中5人が教師であり、中学生であり既にそれなりの知識(妊娠によって諸々の問題が発生する)を持ちながら主人公(=読者)の子供を欲するヒロイン達の姿は「甘ったれ」度を強くしており、そのまま性交渉へとなだれ込めば主人公(=読者)にもその甘ったれ度が伝播して共に甘い世界を享受できよう。また先程説明したように中学生であれば「ジャニタレ」「腐女子」等の余計な情報によって主人公及び読者を不快にさせる事が多々あるが、本作のヒロイン達はそのような気配すらなく、純粋に、教師であるという事以外は何の特徴もない没個性的な主人公(=読者)をひたすら求めるのであり時には主人公(社会人)からの甘えを母性的に包むのであり(「こいつの母性は俺には甘すぎる」「ちっちゃいおっぱいも大好きだもんね、このロリコン教師」)、それによって主人公(=読者)はその甘さに包まれつつ存分に欲望を放出する事ができる。またどれだけ主人公(=読者)がヒロインの膣内に射精してもヒロイン達は常に受け入れ、主人公(=読者)はそんなヒロインに癒されつつ愛情を認識し、妊娠その他の問題を背負って立つ覚悟までできてしまうのであった。「甘ったれ」を貫けば、その先に幸せが訪れる、これぞ成年版ラブコメの真骨頂である。
  
5位:M系彼女調教性活/かたせなの[ジーオーティー:GOT COMICS]
M系彼女調教性活 (GOT COMICS)

M系彼女調教性活 (GOT COMICS)

 繰り返しになるがラブコメとは「男が女の上に立つ思想」であって、地味で平凡で冴えない男(=主人公=読者)が特に何もしなくても美人でスタイル抜群なヒロインが言い寄ってくる、股を開いて進んで奉仕する事を言うのであるから、構造的にラブコメのヒロインはMである事が必須(自ら股を開いて奉仕する女がSなわけがない)となるが、そこに強制があってはならない。ここが大事なところで、ヒロインが性的嗜好的にマゾである必要はない。求めるのは「地味で平凡で冴えない主人公(=読者)」に性的に積極的に奉仕し、それ自体に喜びを見出すヒロインの姿であって、性交渉の実際はヒロイン側が上位であっても(例えば騎上位)いいわけである。しかし美人でスタイルがいい、更には社会的地位が高いヒロインが、容姿的にも社会的にも劣る男(=主人公=読者)に奉仕する事を無上の喜びとしており、しかもそれが「男なら誰でもいい」ではなく「主人公(=読者)にのみ」奉仕する事に喜びを見出しているのならば、ヒロインは自らの地位を自らの意思で放棄している事になり、且つ「男なら誰でもいい」というような病的な理由からではなく「主人公(=読者)にのみ」という信じられない理由がより実態を深刻化させ、結果的に読者はヒロインの奥底にある深いマゾ性を見出す事ができる。それを認識した時、読者は無敵となり、欲望のタガを外し、無限に快楽を追求する事ができるのである。
 そこで本作であるが、タイトルに「M系」と銘打ってはいるものの性交渉自体は特段変わったものではない。しかしヒロイン達は主人公(=読者)に特に好意を持っていなくても性交渉を経て主人公の虜になるのであり、以後進んで性交渉に応じるどころか主人公が喜ぶよう積極的に快楽を追求しつつ愛をも告白するのであった。またなぜこれほどまでに主人公に夢中になったのか(「私のお仕事は…先輩のおちんぽを…いつでもどこでも気持ち良くする事です」「私をあなたのドM奴隷にしなさい」「私…先生の性処理係だから」)を明確に説明しない事で、先程説明した「より深いマゾ性」へと結果的に繋がっているのであった。一般部門でも同じ事が言えるが、制作側が「都合のいい展開」を描写する事の戸惑い・恥じらいから逃れるために「なぜこのような性交渉が行われたのか」「なぜヒロインは主人公に対して股を開いたのか」を説明する事が多々あり、大抵の場合その理由は「ヒロインの危機を救ってくれたから」「主人公がヒロインにとってヒーローだから(つまり地味で平凡で冴えない男ではないから)」といった陳腐なものとなる。しかしそれではいかんというのがラブコメのスタートであって、それらの戸惑い・恥じらいを振り切って性交渉へ突入する本作の思い切りの良さと勢いは大いに見習うべきであろう。そして日本ラブコメ大賞の常連である作者(2013一般・13位「いけない二人とはじめての罰」他)が描く、少女漫画のような細い線によって描かれた愛らしいヒロインたちが積極的に性的に奉仕しつつ性的に奉仕する事の幸せを全身から醸し出す姿は、読者を性欲処理から一歩進んだ幸せな気持ちにすらしよう。至れり尽くせりとはまさにこの事であった。
   
4位:義理の妹なら溺愛しちゃう?/志乃武丹英富士美出版:富士美コミックス]
 さて、懲りずにと言うべきかあきらめずにと言うべきか、義妹シリーズも4冊目、まずは作者に敬意を表して今までの順位を書いてみよう。
・2014「義妹処女幻想」→2位
・2015「義妹禁断衝動」→3位
・2016「義理なら兄妹恋愛してもいいよね」→5位
 という事で4冊目も見事5位以内に入ったのでまずはおめでとうという事だが、内容はと言えばエロさ自体は従前の3作よりも薄くなっているというのが第一印象で、もちろんこの義妹シリーズの最大の特徴である「清楚な雰囲気を持ちながらもその台詞から仕草まで全ては『お兄ちゃん(=主人公=読者)が好きで、お兄ちゃんに抱かれたい』を表現している」「義理とは言え妹であるため躊躇している義兄(=主人公=読者)を何とか誘惑しようと健気に拙い努力をする」「義兄に全力でぶつかりつつもキュートさを失わないその愛くるしさは遊んでほしそうに寄ってくる子犬か子猫のよう」は本作でも健在であるが、ヒロイン(義妹)の社会的地位にあまり言及されていない(誰もが羨む美人か否か、周囲から「ヒロインの兄である」という事で羨ましがられているか否か)ので性交渉に至った時の盛り上がりが少ない(「誰もが羨む女」と性交渉した時と「そうではない女」と性交渉した時の違い)、つまり性交渉を描きながら勢いがなく平坦なのであるが、それが欠点になっているかと言えばそうではない。
 10位・7位で説明したように、妹とは生まれた直後から自分の下に位置するため常に自分(兄)は上の立場にいる事ができ、時には自分の意のままに操ることができ、優越感に浸る事ができる存在である。と同時に家族であるから自分(=兄=主人公=読者)に対して好意を持っている事は保証され、そのような都合のいい存在が自分(兄)に惜しげもなく身体を開くのだから、妹とは天使であり女神である。しかし重要な事はこのシリーズはオール「義理」という事で、いくら家族と言っても血が繋がっていないのだから主人公とヒロインの関係にはどこか脆いものがある。しかし脆い事が逆にお互いを離さないよう性的な関係にのめり込ませ、しかし作者の描く清楚で一途な義妹ヒロインはたとえ性交渉において過激な行為を行おうとも清々しさを感じさせるという稀有な世界を構築しており、シリーズを続ける事でその稀有な世界はより深まっているのであった。言わば「性交渉を描く」のではなく「性交渉を通じて深まるヒロイン(義妹)と主人公(義兄)の絆」を描く事にベクトルが向いているのであって、その分エロさ(興奮度)が薄まってしまうが、もちろんラブコメ的にはそちらに向くのが正解である。成年版ラブコメにおいて性交渉とは「主人公とヒロインの愛の対話」としてあるべきで、それによって成年版ラブコメは読者の救いとなり癒しとなり希望となるのである。ますますディープに進化するこのシリーズに来年も期待している。
  
3位:好きに使っていいよ/いとうえいワニマガジン社:WANIMAGAZINE COMICS S
 さてここで基本に返ろう。一般部門だろうが成年部門だろうがラブコメとは男(=主人公=読者)は「地味で平凡で冴えない青年」であるから、対する女(美人で巨乳なヒロイン)が主導して性交渉へと持ち込まなければならないが、だからと言って逆レイプ的な事はしてはならない(騎上位ならいいだろうという問題でもない)。ラブコメとは「男が女より優位に立つ思想」であって、所詮は男(=主人公=読者)が女(=ヒロイン)を組み敷くのである。つまりヒロインに求められているのは呼び水的な役割であり、いざ性交渉の現場となれば攻守交代しなければならない(これを俺は「ラブコメとしての節度を守れ」と言っている)。
 そしてここからが成年部門特有の説明となるが、男(=主人公=読者)側が女(=ヒロイン)を攻める時に女側は快楽を表現しなければならず、その快楽の表現が過激であればあるほど男(=主人公=読者)の欲望は燃え上がりプラスになるが、しかしその過激さはあくまで「主人公と繋がっている」を起点にする事が重要、というより守らなければならない大原則であって、それを守らなければヒロインは「主人公じゃなくても快楽を表現する人間」となり、ただの淫乱のキチガイとなってしまう。例えばヒロインが主人公の肉便器になる事は大いに結構であるが、それは「(主人公専用の)肉便器」である事を明言しなければならない。
 しかしエロ漫画とはそもそも女が快楽にあえぐ姿を描く事であり、そこを強調するとその原則から外れる事が多々あるが、そんな時は本作を参考にすればいいというが俺の最も言いたい事である。日本のエロ漫画の宿命・短編集であるから例外はあるものの本作のヒロイン達のほとんどは自ら進んで主人公に抱かれる、或いは主人公が興奮するよう誘惑するのであり(「こんなエロい下着買っちゃった」「恥ずかしい写真、撮ってほしい」)、期待通りにいざ性交渉へと移動すれば攻守交替でひたすら主人公(=読者)からの攻めに歓喜の声を上げ、しかしそこに淫乱さが微塵も感じられないのは「主人公(=読者)に抱かれている」から「快楽が提供されている」事をヒロインが絶えず発信しているからであり(「主人公君のお嫁さんになりたい、だからどんな恥ずかしいエロ事だってしてあげるよ」「あなたとしかエッチな事はしたくない、私にしかエッチな事はしてほしくない」「昔から好きだし、今も好き、きっとこれからも間違いなく好き」)、それによって主人公(=読者)はより激しく、もっと激しく快楽を感じる事ができよう。成年ラブコメともなれば読者の性欲処理も大事な役割であり、本作はその点からも大いに役に立つだろう(立った)。
 作画力やストーリー展開のそれぞれの点数が飛び抜けているわけではなくても、このようにラブコメの基本を守り、その基本を強固にする事で3位になれるのである。やはり基本が全てだ、ラブコメは色々な事を教えてくれる。
   
2位:TEEN・XXX/にしまきとおるエンジェル出版:エンジェルコミックス]
 毎年言っているように、優れたエロ漫画はラブコメよりもラブコメ的である。一般のラブコメ作品では性交渉描写があったとしても淡白にせざるを得ず、結果として主人公とヒロインがどこまでお互い依存しているか、お互いを欲しているかを強調する事ができないが、エロ漫画は性交渉シーンを描かなければならないのだから遠慮なく性交渉描写を盛り込む事ができ、その性交渉描写を激しく濃密にする事で主人公とヒロインがいかに愛し合っているかを表現する事ができ、性交渉を重ねることによって2人の絆を深くしてゆき、恋愛と人生そのものをも描き切る事ができるのである。
 というわけで本作だが8位で言ったように1冊丸ごとを決められた登場人物達・決められた設定という枠の中でエロ漫画としての勢いとパワーを持続させ、且つ読者を退屈させないためにはストーリーを展開させなければならずしかしストーリーを豊富にすればエロは少なくなってしまう。そのため長編においては「登場人物を主人公とヒロインとその他少数に限定して濃密な人間関係を展開させた上でエロをやる」パターンか「豪華絢爛なハーレムを提供して突っ走る」パターンしかないが、本作は「主人公とヒロイン」のみで成立しており、しかもお互い「童貞と処女」からスタートするから当初の盛り上がりは欠けるものとなるが、読み進めるうちに今までの成年ラブコメとは一味も二味も違う事に気付く。何とその「童貞と処女」同士の性交渉描写に80頁、全体の4割も費やしているのであり、その長丁場の性交渉描写がとにかくムーディで、流れとしては
(1)ヒロインが「子供の頃約束したように、18歳になったから、私の処女をもらって」と告白
(2)主人公→ヒロインへの前戯(キスからクリトリス攻め)
(3)ヒロイン→主人公への前戯(フェラチオ
(4)シックスナイン態勢でお互いの性器へ愛撫
(5)挿入→射精
(6)射精後の小休止の後、パイズリ→再び射精
 となり、その合間に主人公とヒロインは「主人公に私の初めてを捧げる事ができて幸せ」「ずっと離さないでいて、私一生、主人公の女でいたい」といった歯の浮くような台詞が飛び交うが、読んでも恥ずかしさを感じないのはそれだけ二人の世界を確立できているからである。かくして主人公(=読者)はヒロインを手に入れたのであり、このヒロインがまた日仏のハーフのモデル且つ大変なスタイルで(上から112・58・88)、にも関わらず幼い頃から主人公一筋、しかしその主人公はやたらと蘊蓄を披露する以外は特に特徴もない(「父親の稼ぎで食わせてもらっている」「レンタルビデオ屋でバイトするただの学生」「自称天才の救い難いナルシスト」「車の免許もない分際で性欲だけは一人前以上」)にも関わらずこの大変なヒロインとデートを繰り返し、愛を囁き、性交渉を行い、処女だったヒロインは次第に女の顔となっていき、二人の関係は精神的にも肉体的にもより深くなるのであった。
 つまり主人公(=読者)は人生の勝者となったのであり、この先どんな困難があろうとも美人で巨乳で自分にぞっこんで性的な要求は何でも応えてくれるという夢のようなヒロインと人生を歩んでいく事が読者にはっきりとわかるのである。そこまで二人の世界を築き上げた本作は大変なものであるが、1位の作品と競った結果僅差で2位となりました。しかし素晴らしい。主人公(=読者)はヒロインを支配し、人生に勝利する事で、無限の快楽を手に入れたのである。
  
1位:純愛リリシズム/美矢火[文苑堂:BAVEL COMICS]
純愛リリシズム (BAVEL COMICS)

純愛リリシズム (BAVEL COMICS)

 エロ漫画は性交渉シーンを描かなければならない。その性交渉描写を激しく濃密にする事で主人公とヒロインがいかに愛し合っているかを表現する事ができ、お互いの絆を深く繋ぐ事ができ、恋愛と人生そのものをも描き切る事ができよう。
 しかし本作(表題作「私の好きなおじさん・俺の好きな家出少女」)はそれをもう一歩進ませて男女の出会いとその先にある人生そのものを描き、それに成功しているというもので、こんなエロ漫画は今まで見た事がない。とにかくすごかったのであるが内容を紹介すると人生に疲れた中年(40〜50歳、「どっかにエロエロな美少女が落ちてねえかなあ」)が気ままな家出少女を何となく家に入れる事から話は始まり、家出少女は泊まらせてもらう代わりに身体を提供しようとするが中年主人公はそれを拒否、なぜなら主人公は「そんなつもりではない」からで、戸惑う家出少女ヒロインだが本当に主人公にそのつもりがないとわかるや驚き、反発し、時に泣き、その過程で今までこのヒロインがどんなひどい生活を送ってきたかを主人公は悟り、一方今まで男にひどい目に遭わされてきたヒロインは主人公の行いが偽善であるとしてますます苛立ち反発し、目の前で自慰行為を行う等挑発はエスカレートするが、それでも主人公がヒロインに手を出さないのは主人公は「俺はお前(ヒロイン)の特別なものになりたい」からで、そのような主人公のセンチメンタリズムに反発しながらもいつの間にかヒロインも主人公を特別な人として想うようになるのであった。このようなセンチメンタリズムはそれこそ主人公のような、いい歳をして「どっかにエロエロな美少女が落ちてねえかなあ」と妄想する俺や諸君にとっては非常に魅力的であるが、この連作短編のすごいところはそのようにして回り道を繰り返した主人公とヒロインが遂に想いを遂げて性交渉へとなだれ込む場面であって、これほどエロさと崇高さを両立させたものは見た事がない。お互いの反発から中途半端な快楽行為しかできなかった二人はその想いを到達させ爆発させ、互いの身体を押しつけ互いの欲望を放出しつつ愛し合うのであり、その性交渉によって今までの人生で失ってきたものを取り戻すのであった。つまり二人は出会い、結ばれた事で救われたのであり、性交渉の中で「救い」を表現しているのである。これは「恋愛と人生」などではなく人生そのものであり、このようにして救われたのが40〜50歳の人生に疲れた中年であるというのがまた俺を含めた30歳以上の読者にとっては何とも素敵な事であり、心から「良かった良かった」と思える素晴らしいものであった。
 またその他の短編もヒロイン側から積極的に主人公に告白する事で(「こんな可愛い娘に告白され、肉体関係になり」「交際を申し込まれた時はびっくりした」)主人公(=読者)の人生を彩り豊かにしており、読者は救われ、癒され、希望が持てるのであった。これが1位となった決め手であり、ラブコメとはそのために存在すると再認識させてくれました。来年もこのような素晴らしい成年ラブコメに出会えると思うと救われ、癒され、希望が持てると言うものである。ラブコメ万歳。

2 カラオケで、公園で、または海で

10位:オニデレクリスタルな洋介小学館少年サンデーコミックス

 さて少年誌連載の作品がこの日本ラブコメ大賞に出るのは久し振りです。どれぐらい久し振りかというと前に言及した少年誌連載の作品が何だったのか思いだせないくらい久し振りで、調べてみたら「ゾクセイ」(2007・1位)以来だった。10年前か。そう言えばそうか10年前の24歳で既に「少年誌を読むのは年齢的にきつい」と言っていたのだから10年も出てこなかったのも不思議ではない。しかし何度も言うように俺は世界のラブコメ王なので殻に閉じこもるような事はしないのであります。
 というわけで本作だがこれほどオーソドックスな少年漫画のラブコメも珍しかった。主人公が「地味で平凡、どころか手芸部に属する毒にも薬にもならない少年」でヒロインの方は「最強(最凶)のヤンキー」というのは80年代後半のラブコメ漫画でも時々見られたパターンで、と言っても当時は「本来は男がヤンキーで女は普通の生徒、になるはずが逆の立場になった」事によるギャップだけで作品として成立していて、しかし現在はそうではないので男(=主人公=読者)はより地味に平凡に弱々しく、ヒロイン(=ヤンキー女)はより強くなければ面白くならない。とは言えヒロインを表面的・肉体的に強くすればするほど、その強さを効果的にするため精神的には弱く(80年代風に言えば「ウブなネンネちゃん」)描かざるを得ないのも現在であって、大体「今の女は昔の女よりすごい」とはよく聞くが昔の女性達は適齢期(20代中盤〜20代後半)になればさして好きでもない男ととりあえず結婚しなければならないとあきらめていたのであり、いずれ来る結婚・出産・子育てのため、いつの時代も純情な男達と違ってそれなりにやる事はやっていたのである。今の女の方がよっぽどウブなネンネちゃんだ(と昭和28年生まれのスナックのママが言っていた)。
 話がそれたが今は昭和ではなく平成も終盤の29年なのであるからそのようにして主人公とヒロイン(金髪で凶暴な女番長)は恋仲となって清く正しく健全な交際をするのであり、ヤンキーヒロインは主人公にぞっこんどころか「呼び捨てされたら気絶」「キスされたら気絶」するモロさを抱えつつ岩をも砕く人外の怪力を見せつけ、それによって主人公(=読者)はただのひ弱な手芸部の少年でありながら「こんな怪力女が自分に惚れている→こんな女に惚れられる自分はすごい」という優越感に浸る事もできよう。大事な事なので今年も繰り返すが、ラブコメとは「社会的に強い立場にいる女(ヒロイン)」の行動原理が主人公(=読者)に据えられている事であり、それによって主人公(=読者)自身を大きく見せるものなのである。
 とは言え少年誌の限界か、主人公は例によって「どしゃ降りの雨の中、動物がびしょ濡れだからと言って傘を差し出し、自分はずぶ濡れ」…とまでは行かないにしてもそれにやや近い人間味のない絵空事のような行動に出てしまうのであり、その他の登場人物もやや突飛、そしてこれが一番物足りないところだが、3巻まで読んだ限りではヒロインのライバルが出てこないのであり、総合的に判断すればこの順位となりました。しかしいいラブコメには違いない。20年前、中学生だった俺が読んだら迷わず1位にしていただろう。
   
9位:透明人間協定/克・亜樹小学館ビッグコミックスモバMAN] さて御大の登場であります。日本ラブコメ大賞に燦然と輝く名作「ふたりエッチ」(1998・1位)や「ラブらっきぃ」(2004・1位)他を生み出した作者には足を向けて寝れないが、しかし俺は世界のラブコメ王なので言わせてもらうが、作者の場合シリアス調の作品になると途端に駄目になってしまう。コメディとシリアスの描き分けができていないからであるが、それは「ふたりエッチ」を20年近く読み続けている俺特有の事情もあるが、しかし作者のシリアス作品が芝居くさくなるのは疑いのないところで、どう芝居くさいかと言えばストーリー展開に伴って描かれる主人公のモノローグが大げさ且つテンポがなく、読む側からすればリズムが取れない。
 もちろんそれでも優れたラブコメ(平凡でおとなしい男を主人公に据えて、誰もが息を飲む美人と関係を持つ)であれば問題ないが、本作は一応「ラブ&サスペンス」という事なので「美人なヒロインが主人公にベタ惚れ」状態ではなく美人ヒロインは何らかの意図を持って主人公を利用しようとするのであり、ラブコメの王道から外れるものではある。しかしそれでも9位となったのはひとえに設定の妙によるもので、
(1)失恋してやけになった主人公は自殺を図る(但し本気で自殺しようとしたかは疑わしい)。
(2)その主人公をなぜかヒロインが助ける。
(3)なぜかヒロインは主人公に同居を提案、しかし家の中ではヒロインは主人公を「透明人間」、つまり見えないものとして扱う。
(4)家の外を出ればヒロインと主人公は「同棲中の恋人」として振る舞う。
 という事で主人公は困惑し続け、そうは言っても大学で耳目を集めるクールビューティーたるヒロインに突如として彼氏(=主人公=読者)ができた、しかもその彼氏が「普通の平凡などこにでもいる男」であるから周りは騒ぎ主人公(=読者)は注目の的となり、注目の的となって更に困惑する主人公は謎のヒロインの行動の真意を探るうちに不可解な人間関係に巻き込まれる事になる…という、「普通の平凡などこにでもいる男」が普通ではない事件に巻き込まれ、二次元のセオリーに従ってその男(=主人公=読者)に絡む女(ヒロイン)は美人なのでその美人に刺激されて更に美人が寄ってくる(どうしてあんな美人が特に取り柄もなさそうな男と付き合うのかしら→気になるのであの男にちょっかいを出そう・あの男を誘惑すれば私にはわからない事がわかるのかしら…)という構図で、結果的にラブコメとして成立しているのであった。
 もちろん結果的だろうが何だろうがラブコメであれば問題ない。ラブコメとは突き詰めれば「主人公になるはずもない地味で平凡な男を主人公にする」というただそれだけのものなのであり、「主人公になるはずもない地味で平凡な男」を主人公に据えれば物語が動き出すに従って女がやってくるのであり、その女は二次元のセオリーに従って「誰もが注目を集める美人」になるに決まっているのである。そのシンプルさを本作を読んで再認識させられた。やはり御大は偉大だ、ラブコメも偉大だ、世界のラブコメ王である俺も偉大なのだ。
  
8位:おとなりボイスチャット/こじまなおなり[徳間書店:RYU COMICS]
おとなりボイスチャット(2) (RYU COMICS)

おとなりボイスチャット(2) (RYU COMICS)

 断言するがもし本作と出会った時俺が大学生ならば本作は1位となっていた。しかし今の俺は34歳なのであり俗世間に溢れる汚いだらしない打算にまみれた世界を見てきたのであり、主人公とヒロインが醸し出す初々しい世界とは遠いところに行ってしまったのであり、本作を読んだ後はせいぜい微苦笑するのが関の山である。とは言え俺は世界のラブコメ王なのでそれとこれとは話は別でラブコメとして評価しよう。
 何度も言うようにラブコメとは主人公に「地味で平凡な青年」を擁立する事が最大の特徴で、しかし「地味で平凡」など時代によって様々に定義される。一般的には「人見知りで口下手」「オタク」「おとなしくて無口」である事が多く、また「ひきこもり」もありえよう。実際ひきこもりな主人公に美人なヒロインをぶつけるラブコメも多く存在する(2011・1位「彼女はソレを我慢できない」他)。ひきこもりという社会的弱者な主人公に誰もが羨む美人をぶつける事で読者は「こんなひきこもりにも美人がやってくるのだから…(自分にもチャンスが…)」となって救い・希望・癒しを感じる事ができよう。
 ところが本作ではひきこもりなのはヒロインの方であった。そして思わず会話を交わすようになった(壁越しで)主人公は大家でもあるヒロインに代わって庭の雑草を整備したり風邪をひいたヒロインのために薬を買ってやったりするのであるが、ラブコメとは「男が女より優位に立つ思想」なのであるから、そのような事は本来やってはならない。男(=主人公=読者)が何のアクションを起こさなくても美人なヒロインが男側に向かってくる事こそラブコメの魅力でありルールなのであって、主人公が「何かをした」事によってヒロインが主人公(=読者)に好意を持つならば原因と結果が繋がる事になり、ラブコメに必要な「都合の良い」感がなくなってしまう。
 とは言え本作が優れているのはこのひきこもりヒロインがひきこもりでありながら早々に主人公に対して好意を持っている事をうまく表現できている事で、それによって「ただいま」「お帰りなさい」の挨拶や初々しい夏の花火(ヒロインはわざわざ浴衣を着るが、しかし部屋からは出ない。この辺りは読んで下さいとしか言いようがない)等、恋愛に奥手な主人公(=読者)にぴったりな微笑ましい二人の時間が描かれ、読み進めるにつれてヒロインがひきこもりであってもなくても関係ないほど主人公とヒロインは心が通い合うのであった。そしてラブコメであるからヒロインのライバルである副ヒロインが現われ、こちらはひきこもりではなく普通の女子大生であるから主人公に近づくが、本作の世界観が全体的に「初々しい」「微笑ましい」であるため副ヒロインもいわゆる色気を使った誘惑的な事は起こさず主人公とヒロインの関係を応援するような素振りも見せるので物足りなくもあるが、しかしまあ本作にはこれぐらいがちょうどいいのであろう。こういう作品もまた必要である。
   
7位:花×華すらだまみ岩田洋季・涼香[アスキー・メディアワークス:電撃コミックスNEXT]
 珍しくテクニック的な事から言及すると、各キャラクターの輪郭線が美しい。特に両ヒロインは美しい線で構成され流麗な雰囲気を醸し出し、それによって時々デフォルメされる姿が非常に愛らしくなっている。もちろん「ラブコメ的な設定であるか否か」が俺の求める唯一のものであるが、絵は上手であればあるほどよい。
 そしてその流麗なヒロイン二人は頁を開いてすぐに主人公に告白するのであり、以後もフルスロットルでヒロイン2人が愛情を放出してストーリーの流れを作り、亡き父の偉大な業績に押しつぶされそうになりくすぶっていた主人公はヒロイン2人の絶える事のないアプローチ合戦に勇気づけられ、立ち上がり、やがてヒロイン2人の複雑な出自が明らかになるとヒロイン2人を救済するのであった。そうすると主人公(=読者)がヒーローになってしまいラブコメの主人公としては失格となるが、本作においては序盤にしつこいほど「ヒロイン→主人公」という事実を提示しているので中盤以降に「主人公→ヒロイン」になっても違和感はないのである。何度も繰り返すが、まずヒロイン側が行動を起こす事がラブコメの大前提であり、「ヒロイン→主人公→ヒロイン」という構図であれば問題ないのであって、最初のきっかけはヒロイン側が持つ、つまりリスクはヒロイン側が持つ事で、主人公は存分に暴れまわる事ができよう。男は本能として攻撃的なのであり、その攻撃性をこの窮屈な現代社会で発揮するにはこのようなラブコメの前提が必要なのである。
 話がそれたがとにかく本作は序盤からフルスロットルでヒロインが飛ばしまくっている事が特徴で、一例をあげれば
・ヒロイン1「私の方がずっとずっと主人公くんの事を好きですから」
同2「ちがう!あたしの方が好きだもん!」
・(海で)ヒロイン1「私と休憩がてら渚デートを、アメフラシとか探しましょう」
同2「あたしと沖まで泳ご、そこで水泳の個人レッスンも」
・(同じく海で)ヒロイン1「その馬鹿みたいな乳を押しつけるのをやめて下さい」
同2「おっ、押しつけてなんかないもん」
・(ヒロイン2が立ちくらみして)ヒロイン1「なにどさくさに抱きついてるんですか!」
同2「不可抗力だもん、そっちこそ離れてよ」
 …という具合で、ここまで真剣勝負で愛情を注がれたならば、このヒロイン1・2が複雑な出自(異母姉妹)とその血ゆえに苦しんでいる姿を目の当たりにして意を決して大人達に立ち向かう事に違和感はない。むしろ「地味で平凡な男」であっても、きっかけさえあれば堂々と立ち向かう事ができる事をラブコメは教えてくれるのである。
 そしてラブコメのセオリーに則って結末は「俺には二人のヒロインが大切なんだ」で、
ヒロイン2「今あたしたちを選ばなかったって事は」
ヒロイン1「私達のアピール合戦はまだまだこれからも続くって事なんですよ」
 で嬉しいハーレムとなって終わるのであるが、最初に言及した通り本作のヒロインは「美しい」分、いわゆるなまめかしい色気が感じられないのであまりハーレム感が感じられずこの順位となった。しかしいつまでも読み続けたい名作である事は世界のラブコメ王である俺が保証しよう。
   
6位:脱オタしてはみたものの/板場広志芳文社芳文社コミックス]
 身につまされる…というか何というか、元オタクである主人公の描写は文句のつけようがない。特に脱オタした主人公が、オタクの世界とは関係ない一般人の婚約者(ヒロイン)をゲットしたために過去のオタク趣味を封印・隠ぺいしようとする姿は涙が出るほどいじらしい。そうなのだ、いかにオタクが市民権を得たとは言え実際に相手がオタクと知った時に女がどう反応するかはまだまだ怪しいものがある。特に地方ではまだオタク及びオタク趣味は疎んじられており、これは都会及び都会周辺に住んでいる人にはなかなかわからないのではないかな。
 しかしオタクはなろうと思ってなるものではなく、やめようと思ってやめられるものではない。特にこの脱オタ主人公はかつて商業デビューした元エロ漫画家であり、今は足を洗って一介のサラリーマンとなったが人の世の常で過去を完全に消し去る事はできずそのエロ漫画家時代の知り合いその他から逃れる事はできず、二次元のセオリーに則って若く美人なヒロインと婚約までこぎつけて世界一幸せになったはいいがよりによってオタク時代に憧れていた声優(副ヒロイン)が今になって目の前に現れ、これまた二次元のセオリーに則って主人公に強烈なアプローチを放つ(主人公の描いた同人誌を気に入っていたらしい)ものだからえらい事だが、ヒロインと副ヒロインが仲良くなったりして更にえらい事に…というストーリー展開と並行して「鉄道以外のほとんどのオタク趣味を嗜んできた」元オタクは嬉々としてまたオタク趣味に戻っていくのであり、それによって主人公の「オタク度」を強調しつつ、一方で美人でかわいくて若いヒロイン(婚約者)との性交渉も行われるのだから、主人公(=読者)はオタクを満喫しながらリア充も満喫するのであり、これは俺を含めた読者の理想の姿であろう。
 本作は日本ラブコメ大賞の常連である作者(2016成年・3位「母ふたり」、2015・8位「歳の差20/40」、等)による年季の入った「スレンダー且つ巨乳」の艶のあるヒロインをオタクである主人公(=読者)にぶつける事で、「オタク」と「リア充」の落差を強調しながらその落差を主人公の中で消化している事が最大の特徴である。ほとんどのオタクはリア充になれずオタク趣味の深みへ入る事で自分を慰めるしかなく、多かれ少なかれリア充と世間の冷たい視線にさらされるのであり、その辛さ悲しさを一瞬でも忘れるために本作のようなラブコメが必要なのである。とは言え本作の良さはここまでで、その後ハーレムになるかというと中途半端に終わる(というかなぜ殴られなければならなかったのか)のでこの順位となった。まあ無事に主人公(=読者)とヒロインは結婚した(二人で仲良く同人作業)ので結果良ければ全て良し、むしろこれ以上ヒロインと副ヒロインの間を行き来すればどちらからもフられる可能性もあっただろうからこれでよかったのだろうが、数々の成年漫画でハーレムを描いてきた作者だからこそ期待するのも無理からぬ事で、世の中うまい事行きませんなあ。
      
5位:ハルとナツ武田すん白泉社:JETS COMICS]
 「あんた、さっきから小難しい事ばっかり言ってるけど、それで結局、あんたの言うラブコメって何なの?」と言われたらとりあえず本作を渡して「こういうやつです。読んで下さい」と言うだろう。それぐらい本作は入門書として最適であって、どう最適かと言うと何度も繰り返すがラブコメとは「主人公は地味で平凡で冴えない」でなければならないが、だからと言って「被害者的立場」に甘んじてはいけない、という事を説明するのに本作が最適だからである。
 主人公が「地味で平凡で冴えない」ため結果としてヒロイン側は「美人で活発で主人公を積極的に引っ張っていく、主導していく」設定がなされるわけだが、その「主導」が暴力的になってはいけない。あくまでメインは「地味で平凡で冴えない」方であり、ラブコメとは「男が女より優位に立つ思想」であるから、ヒロイン側が積極的に立ち回りながら(ストーリー展開を主導しながら)も主人公より目立ってはいけないし主人公をぞんざいに扱ってはいけない。しかしネガティブな事は言いたくないが90年代はラブコメにとって冬の時代で、そのような「地味で平凡で冴えない」主人公はひたすら「美人だが積極的で活発的」なヒロインに殴られ蹴られ罵倒され人間性を否定されていたのであって、今の若い人からすれば主人公(=読者)が殴られ蹴られ罵倒され人間性を否定されるような作品をなぜ読んでいたのかと思うだろうが皆読んでいたのである。特殊なマゾ的性癖を持つわけでもない我々がなぜそのような特殊なマゾ性癖的な作品を読んでいたかと問われたら時代の狂気だったとしか言いようがないが、それはともかく本作は「ヒロイン側が積極的に立ち回りながら、決して主人公より前に出ない」「主人公の扱いがぞんざいではない」が強固に維持されているので最適なのである。
 そしてなぜ強固に維持されているかというとヒロインによる主人公(=読者)へのアプローチが回を増すごとに過激になっているからで、最初は「私と主人公君は清潔なお付き合いをしているの」「(エロ本を発見して)主人公君はこういう下品な女が好きなの?(→ビリビリに破る)」と言っていたヒロインは「主人公君のパンツが欲しい」「主人公君のもっこりが見たい」とその欲望を徐々に開花させていくのであり、しかしエロ漫画ではないから性交渉になだれ込むわけではなくその欲望は静かにしかし着実にヒロインを蝕んでいくのであり、そのヒロインの原因は主人公(=読者)にあるのだから主人公(=読者)の存在がクローズアップされよう。病状(?)が進行するに従って主人公の存在感が大きくなる展開はスリリングですらある。
 とは言えラブコメの主人公は多かれ少なかれ「被害者的立場」を甘受しなければならない(何せヒロイン側に引っ張られるので)。ヒロイン1とヒロイン2の意地の張り合い(主人公の歓心を買うためにプールで水着を脱ぐ、絵のモデルのために脱ぐ、一緒に風呂に入ってやっぱり脱ぐ、等)に巻き込まれて主人公が泥をかぶる事も多々あるが、しかしその意地の張り合いがそもそも主人公に端を発しているのだから主人公(=読者)の地位は盤石となり、おまけにハーレムになる、と好循環が生まれよう。これぞラブコメの基本である。皆さんの周りに「ラブコメがよくわからない」という人がいたら是非本作を勧めて下さい。
   
4位:温泉卓球☆コンパニオンズ!/えむあ[少年画報社:YKコミックス]
 何度でも繰り返すがラブコメのヒロインに必要な事は、
・美人(もしくはかわいい)
・スタイルがいい(巨乳且つスレンダー)
・性格がいい、優しい
・主人公(=読者)を積極的に引っ張るが、主人公(=読者)の前に出ない、目立たない
 等であるが、それよりも何よりも「主人公(=読者)に好意(もしくははっきりとした愛情)を持っている」事が絶対条件であって、更に言えばそのような「好意(もしくははっきりとした愛情)」は主人公側が特に何もしなくても、主人公とヒロインが出会った瞬間から発揮されなければならない。主人公側が何らかの努力をする事によってしかヒロインの好意もしくは愛情を得られないのであれば、それはラブコメではない。
 もちろんそのような「都合のいい」展開には必ず違和感がつきまとうが、ではその違和感を消さなければならないかと言えばそうではない。ラブコメに限らずあらゆるフィクションに違和感は付いてまわるのであり、違和感は完全には消えないのであるから、要は程度問題で、大事な事はどうやって読者を楽しませるかである。違和感があっても読者が楽しめるのであればいいのであり、本作などそのあまりの「都合のいい」展開ぶりに読者は常に違和感を意識するが、しかしブレる事なく「都合のいい」展開を押し通す、つまりヒロイン達が常に主人公(=読者)に好意や愛情をぶつけていく事でヒロイン達は魅力的に映り、そのヒロイン達を魅力的たらしめているのは主人公(=読者)であると意識した時、「都合の良さ」は「違和感」を凌駕するのである。
 やたらと抽象的になってしまったが本作を評価するとこう書かざるを得ないのであって、寂れた温泉街(バブルの時に後先考えず増やした施設等が重荷となっている)の高校に非常勤講師として何とか潜り込んだ主人公は宿泊先の温泉付き旅館でヒロインの1人と会って意気投合というか一方的に気に入られ、更にそのヒロインの母(寂れた温泉町の町長)に気に入られ(男なら一度は痴女に襲われたいと妄想するもの)、その勢いに乗って卓球部を創設しそこに集まって来たヒロインの友人女子高生達にも気に入られ…という風に周囲を常にヒロイン達で固めていくのであり、とは言え一般漫画だから性交渉にのめり込むわけにもいかず(ヒロインの母を除く)卓球部の顧問としてヒロイン達を主導していくのであるがそこはラブコメであるから純粋無垢なアプローチを受け(「私も先生(=主人公)のコンパニオンになる」「今夜のごほうび、期待してるね」「プロポーズの言葉ですね、わかりました、帰ったら早速子作りしましょう」)、ヒロイン達を県大会にまで送り込み、廃校で無職になると思いきや町長の寵愛を受けた主人公(=読者)は気が付けば市の観光課職員となっているのであった。「都合のいい」ストーリーを構築するならここまで行かなくてはな。それでこそ読者は救いと癒し、そして希望を手に入れるのだ。
  
3位:モンプチ 嫁はフランス人/じゃんぽーる西[祥伝社
モンプチ 嫁はフランス人 (FEEL COMICS)

モンプチ 嫁はフランス人 (FEEL COMICS)

 ラブコメとは普通「夫婦になる」までを描けば、それで終了である。「地味で平凡で冴えない男」を我が物にしようと複数のヒロイン達が争うところがラブコメの最大の魅力であって、そのうちの誰か一人が主人公のハートを射止めて夫婦となってしまえば終了となる。しかし夫婦という形態には何をやってもいい(どれだけ変態的な、けだもののような生活を送ってもいい)という安心感と強さがあり、しかも二次元のセオリーによって妻は美人でスタイルがよく、それでいて「妻=生涯、夫だけに尽くし夫だけを愛さなければならない」のであるから、夫の優越感と征服感は独身の並みではない。
 しかしながら本作はコミックエッセイであり、ラブコメによくある「都合の良い」展開は起こらないし妻が臆面もなく愛を語る事などあるはずがない…と思ったがあらびっくり、フランスに行ったはいいがフランス語もほとんど覚える事なくスーパー店員のバイトだけして帰ってきた作者(30代後半の売れない漫画家)は日本在住のフランス人女性に口説かれた上にできちゃった結婚までしてしまうのであり、結婚してからも以下のような愛にまみれた生活を送るのであった。
・寝起きで頭ボッサボサの状態で「おはようマイダーリン、ブチュコン、あなたはかっこいい」
・野菜を切ると「あなたは素晴らしい」
・牛乳を買ってくると「すごい」
・床屋で髪を切ると「かっこいい」
 …という具合で、さすがにすっかり辛くなった作者が(「あなたは私の人生の男よ」と言われたら「君は僕の人生の女さ」と返す?できるかそんなん…)もうやめてくれと言っても「(返答を)ほしくて言っているのではないのです」「本当に(かっこいいいと)思っているから言っているのです」という事で愛にまみれた生活は続行、毎日ビズ(キス)する(しなければ泣いて怒る。「ビズして下さい、カップルにはとても大事な事です」)、食事の前に愛を誓う(「私達の愛に」)、記念日には必ずお祝いをする、等、等で、フランス妻の日本夫に対する愛はどこまでも深いのであった。おかしい、フランス人も日本人も同じ人間だというのにどうしてここまで違うのか、この広い日本のどこにそんな女がいるだろうか、日本は今や「女はドSでなければならない、男はドMでなければならない」に代表される女尊男卑の社会となったのだ…。
 話がそれたがそのようにして作者はそれまで社会から疎外されていた(「エロい」「不審者」「ロリコン」「性犯罪者」)が「優しいパパさん」となって好感度が爆アゲされたのであり、そのような作者を見る事で同じような境遇にいる俺(「エロい」「不審者」「ロリコン」「性犯罪者」の全てが当てはまる)や諸君(「エロい」「不審者」「ロリコン」「性犯罪者」のどれかが当てはまる)は癒され、「自分にもチャンスが…」などと淡い期待を思い浮かべる事もできよう。何度も繰り返すが、ラブコメとは性欲処理であると同時に「救い・癒し・希望」でもある。素晴らしいではないか。正直なところフランスの政治史や歴史を齧っているとフランス人はあまり好きになれなかったが、考えは改まった、結婚するならフランス人…いや俺には二次元が…。
  
2位:はじめてのギャル植野メグル角川書店:角川コミックス・エース]
 大事な事なので何度でも繰り返す。ラブコメとは都合のいいものである。「昨日今日のこじらせDT(童貞)」どころではない、女とろくに話ができないまま醜く年老いて死んでいく俺(素人童貞34歳)や諸君のような人間のためにラブコメはある。しかしまあ、本当の事を言えば一度でいいから女と付き合ってみたかったしドキドキワクワクするような青春を送りたかった。俺(素人童貞34歳)や諸君にとって、高校生活とは楽しい事もそれなりにあったがしかし辛かった。なぜなら彼女は欲しかったが彼女はできなかったからで、なぜできなかったかと言えば俺(素人童貞34歳、しつこいな)や諸君のような「地味で平凡で冴えない男」に、「美人で巨乳な女子高生」は好意を持たないからで、彼女らは我々を一瞥して「キモっ」とだけ言って去っていったからである。さりとて彼女らの理想通りスポーツ万能になる事もイケメンになる事も不可能であり、何よりそんな事をしなくても目を閉じ耳を塞げば二次元の世界に隠れる事ができた。しかし目を開き耳を澄ませばリア充が跋扈している、それがますます我々を半ひきこもり状態にさせる。長い年月が流れ、世は少子化により静かな危機が進行中となった。ざまあみやがれ。
 そのような俺及び諸君にとって本作はまことに素晴らしい、あの日の自分達にタイムマシンを使って渡したいぐらいの作品であって、悪友達の悪ふざけで無理やり「こんな可愛いギャルJK」に告白(しかも土下座告白)する事になった主人公はなぜか「あたしは結構好きだよ、あんたの事」「いいよ、付き合おっか、ウチら」、で棚ボタ的に付き合う事になり、「絶対からかってるだけだろ」と疑心暗鬼の塊と化した主人公(=読者)であるが以後怒涛のリア充展開にさらされるのであって、列挙すれば
・放課後デートでカラオケで密室で二人っきり
・休日は映画館→ゲームセンターでプリクラ撮影→公園散歩でヒロインからキス
・彼女の水着選びに付き合わされる
 等であり、これだけでもものすごいが、これら各々の場面においてヒロインは主人公(=読者)に対して彼氏として接する、つまり俺及び諸君が嫌になるほど経験した「キモいオタク」的な扱いは全くしないどころか彼女として彼氏(=主人公=読者)にサービスするのであった(「この水着見せるのは主人公だけ…ね」「じゃあ(おっぱい)もんでよ、主人公の事マジで好きだから大丈夫だし!」)。常にネガティブに、「俺をからかってるだけだ、こんな可愛いギャルJKが本気で俺と付き合うわけがない」と言う主人公(=読者)に対して、カラオケで、公園で、または海で、その主人公のネガティブさを覆していくヒロインの主人公(=読者)への好意に俺及び諸君は感涙しよう。
 更に3巻から登場する副ヒロイン(主人公の幼馴染の妹分)がセオリー通り「お兄ちゃん(=主人公=読者)大好き」娘であって、それによって正ヒロインがより主人公(=読者)へ積極的になればこれはもう感涙では言い表せない、上も下も垂れ流しである。もしこのような高校生活が送れるならば俺は躊躇なく悪魔に魂を売るだろう。そこまで思わせる魅力が本作にはある。ラブコメは救いであり癒しであり希望なのである。
  
1位:こみっく☆すたじお/此ノ木よしる[講談社ヤンマガKC]
こみっく☆すたじお(3) (ヤングマガジンコミックス)

こみっく☆すたじお(3) (ヤングマガジンコミックス)

 何度も言うように主人公(=読者)は「地味で平凡で冴えない男」なのにモテなければならない。なぜなら読者、つまり我々は一向にモテないからである。我々がモテるためには知力体力財力その他を最大限に強化しなければならず、そのため多大なる時間と手間をかけなければならず、しかし時間と手間をかけたところで知力体力財力その他が強化されるかというとそうとも言えない。更に言えば、知力体力財力その他が強化されたら絶対にモテるかと言えばわからない。
 だから我々は二次元の世界に活路を求めるのであるが、だからと言って読者の分身である主人公を知力体力財力その他が強化されたスーパーマンにしてはならない。そんな主人公はもはや読者ではないからである。しかし読者と主人公を同じにしてしまえばその主人公はモテなくなる(読者と同じなので)。その矛盾を解決するために生まれたのが「都合のいい展開=ヒロイン側が主人公に明らかな好意を持ち、且つ積極的にアプローチする」であり、その「都合のいい展開」を競うのがこの日本ラブコメ大賞である。1位にあたってその原則を声を大にして言っておこう。
 というわけで本作ではヒロインが主人公(漫画家になる事を夢見て栃木から上京してきた青年)を「かっこいい」と本気で思って1巻の中盤からひたすら甘えまくる…を繰り返すのだが、なぜかっこいいと思ったのかと言うと「モブ顔」だからである。これには数百のラブコメを読んできた俺もいささか面食らったが、ヒロインは本気でそう思っているのであり(「あれはどう見てもモブ顔ですよ」「そ…そこが…いいんだもん」)、そう思ってしまえば後の祭りで以後好きなだけ甘えようが海で裸で抱き合おうが(性交渉はしていない)温泉で裸で抱き合おうが(性交渉はしていない)何らおかしくはない。真理はいつもシンプルなのである。
 この作品は極めてシンプルであった。「ヒロイン側が主人公に巨大なる好意を抱いている」事をストーリーの根幹、エネルギーとしているためストーリーは立て板に水の如くスムーズに流れ、しかしややドジで鈍感な主人公(=読者)と同じくドジで鈍感なヒロインはあり余るエネルギーを刺激されて次第に過激さを増していき(「このまま…二人で寝ちゃおっか」「一緒に入ってもいいよ…お風呂」)、正式に付き合っているわけでもないのにものすごい「イチャイチャ」感が醸成されていくのであり、なぜならヒロインが主人公(=読者)を「かっこいい」と思っているからである(モブ顔なのに)。そこに主人公の漫画家としての成長、主人公とヒロイン(売れっ子格闘技漫画家)の二人三脚な生活が重なる事で全4巻にもかかわらずその倍の8巻はあろうかというボリュームある読後感となり、読んでいる間も読んだ後も実に充実した気分であった。やはりラブコメは素晴らしい。ラブコメがあるから生きていけるのであります。

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 間に合った間に合った、間に合いましたよ、今年も日本ラブコメ大賞をやる事に決めました、「仕事が忙しい…」「とにかく時間がない…」なんてのは毎年毎年のたまっている事なので大した問題ではないが精神的に「こんな状態では日本ラブコメ大賞なんて無理」とずっとくすぶり続けていたのが12月になってにわかに「やはり今年もやろう」と意欲が湧いてきたので問題ないのでやる事に決まりました、つまりまだ何にもしていないわけだがこちとら10年以上わけのわからん事をひたすら書き続けてきたので何とかなろう、つまり中身がどんなに低レベルで読むに堪えないものでも許してねという事で今年もあと少し、あの人も死んだあの人も去っていった、俺は生き残った。
   
<一般部門>
こみっく☆すたじお/此ノ木よしる[講談社ヤンマガKC]
はじめてのギャル植野メグル角川書店:角川コミックス・エース]
・ギャルと付き合っちゃったアンソロジー少年エース編集部・編[角川書店:角川コミックス・エース]
・モンプチ 嫁はフランス人/じゃんぽーる西[祥伝社
温泉卓球☆コンパニオンズ!/えむあ[少年画報社:YKコミックス]
・Mの兄婦/遊人芳文社芳文社コミックス]
ハルとナツ武田すん白泉社:JETS COMICS]
脱オタしてはみたものの/板場広志芳文社芳文社コミックス]
・ふたりとひとりの恋愛攻略/東雲龍少年画報社:YKコミックス]
花×華すらだまみ岩田洋季・涼香[アスキー・メディアワークス:電撃コミックスNEXT]
・おとなりボイスチャット/こじまなおなり[徳間書店:RYU COMICS]
・そう言やのカナ/野村宗弘日本文芸社:NICHIBUN COMICS]
・透明人間協定/克・亜樹小学館ビッグコミックスモバMAN]
オニデレクリスタルな洋介小学館少年サンデーコミックス
・黄金のうさぎ/草薙渉[集英社集英社文庫
・満開!Sister/東屋めめ芳文社:MANGA TIME COMICS]
・おかえり、ただいま、また明日/桃月すず少年画報社:YKコミックス]
・妄想高校教員 森下/西渡槇[スクウェア・エニックスヤングガンガンコミックス]
彼女たちのメシがマズい100の理由/高野小鹿・rin・たいしょう田中角川書店:角川コミックス・エース]
   
<成年部門>
・純愛リリシズム/美矢火[文苑堂:BAVEL COMICS]
・自称非モテのハーレムライフ/成田コウ[ジーウォーク:ムーグコミックス]
・好きに使っていいよ/いとうえいワニマガジン社:WANIMAGAZINE COMICS S
・まなこまHs〜孕ませエッチなスピンオフ〜/らーめん[富士美出版:富士美コミックス]
・TEEN・XXX/にしまきとおるエンジェル出版:エンジェルコミックス]
・義理の妹なら溺愛しちゃう?/志乃武丹英富士美出版:富士美コミックス]
みるきーポケット/emily[文苑堂:BAVEL COMICS]
・M系彼女調教性活/かたせなの[ジーオーティー:GOT COMICS]
・甘ったれバンビ/なるさわ景茜新社:TENMA COMICS JC]
・イロンナカンケイ/サエモン[ワニマガジン社:WANIMAGAZINE COMICS SPE
・妹のおま○こ/潮風サンゴ[ティーアイネットMUJIN COMICS]
・じょしラク!〜2 Years Later〜/DISTANCE[ジーオーティー:GOT COICS]
・飲んだらヤレちゃう天然秘水/いのうえみたんジーウォーク:ムーグコミックス]
・いんもらりずむ/gumi555[ジーオーティー:GOTコミックス]
・エロビッチに寝取られた男たち[キルタイムコミュニケーション:二次元ドリームコミックス]

週刊ポスト1971年12月10日号[小学館]


 はてさて1971年つまり昭和46年が終わろうとしているわけですが今年はどんな一年だったかでありますが、去年の暮れは「鼻血ブーッ」で終わったものの今年は逆さに振っても鼻血も出ず「右も左も真っ暗闇じゃございませんか」、中小企業の倒産が相次ぎ「ガンバラナクッチャ」と働いてはみたものの「憎損(ニクソン)ショック」、ボーナス袋は「ショーゲキ」で、これでは家庭は「わが壊体」…。どれも言わずと知れた1971年の流行語でありますが、今年はなんとなくヤケッパチな感じのものが多いんでありまして、「歩行者天国」で、「バンタロン」の女性が手にしていたカチカチ「クラッカー」。2〜3カ月は「バスに乗り遅れるな」とばかり、全ての女性が手にしていたが、「頭越し」の「ピンポン外交」で、「仮面ライダー」となって「バケラッタ」。
 どうも意味不明になってきましたが続けますと「自然保護」を「モクヒョー」にした「環境庁」が生まれれば、世には「ラブ・ストーリー」が生まれ、「ポルノ解禁」も「デノミ」され、トルコの「泡踊り」も「自主規制」して「アヒルの水かき」、若い者は「ジーンズ」はいて「緑色革命」叫ぶのも、つまりは「ゲバルト・ファッション」でイキがっている「長髪族」の「オナニスト」。「ススンデルーッ」と言われた国も「逆重要」で負けてから、「ミノベンジャー」の「ニアミス」で更に「国威失墜」、国民としましては「ドウスンダヨー、ドウスンダヨー」とわめいてみても「国益」のために「ディスカバー・ジャパン」してくれと言われりゃ、「キミのはフトーイ」と言うばかり…。
 とにかく1971年とはこのような年だったのであり、1983年生まれの俺は生まれていないがこうして生まれていない時の週刊誌を2017年に読む事ができて大変満足であります。そのようにして人々の汚点、週刊誌に書かれるような汚点は永遠に残り続け、昔も今も世の中は混沌として視界不良でその中でもがき続けるしかない事を改めて知るのです。
 
・さて、西のピンクエリアは神戸。今も昔も、「京都に住んで大阪で働き、神戸で遊ぶ」が関西人の理想らしい。
 三宮のなじみのクラブ・ホステスから「今夜、面白いゲームをしましょ」と誘われ(中略)、店がハネてからタクシーで行ったところが布引の高級マンション。
 男三人と女5人がくんずほぐれつの乱戦は、夜明け近くまで続いたという。
「会費は三万円で、月に一度くらい、女達のマンションをあちこち移動しながら開いてるって言うてましたなあ。言わば『移動快楽館』ですわ。私の連れのホステスが言うてましたが、十人ぐらいの女が、ズラリと全裸で迎えてくれるパーティーもあるそうですわ。
 帰りの道すがら、山陽新幹線新神戸駅のそば通ったら、もう工事関係の人達が働いてました。なんや、申し訳ないような気ィしましたなあ」
・今年末のボーナスの伸び率は、昨年に比べ12.1%増と、昨年同期の22.1%増と比較すると、大幅にダウンする事が予想されている。
 昭和41年から45年までの5年間、前年比は15%から20数%と大幅な上昇を記録してきた年末ボーナス伸び率だが、今年は一挙に、40年不況時の23.8%増、37年不況時の12.6%増をも下回るという最悪の事態を迎える事になったわけである。
・OKサインだけで、スキンレススキンがお求めになれます。この看板の出ている薬局・薬店でどうぞ。
・不況ムードの中で、今年の忘年会の幹事さんの責任は重大だが、ここに朗報あり。「是非お手伝いさせて」と甘い声でせまる若いポルノ娘さんがたくさんいるのだ。あなたが電話一本かければ、不景気顔の上司も思わずニタリとする事うけあい。レズ、サド、マゾ、何でもご注文に応じます、という最新情報です。さて、どうしますか。
サリドマイド被害児は、今ようやく、小学校の中学年から高学年に進もうとしている。自分を見つめる年齢になりつつある。
「4歳ごろ。『神様はいじわるだね、僕のような曲がった手の子を作るなんて』。
 6歳ごろ。『お母さんは、僕が生まれた時、本当に嬉しかったの?手が曲がっていてどんな気がした?』
 8歳ごろ。『僕は子供は欲しくないよ。僕のように曲がった手の子供が生まれたら困るから』
 現在、ほとんど手について申しません。ただ『お医者様は本当に研究をしていて下さるのだろうか。僕はもう治らないと思うよ』
 以上が、子供が『手』について申しました言葉です」
・(自動車)輸出は相変わらず好調だが、国内需要はそろそろ頭打ち。自動車業界の再編成も一段落、ビッグ3の上陸も一応の提携先を見つけ、ほっとした今年のモーター・ショーも自粛ムード。各社の主力車種のほとんどが、マイナーチェンジに終止。ところで男にとってクルマは魅力的である事に変わりはないが、もともと添え花でしかなかったコンパニオンが、ショールームでは今や「女性だけ見て頂いても結構」という華麗なる存在。彼女達は「ガラスの城」の中で企業の「真心を伝える」のが役割だ。その華麗な装いと、身近な微笑で、訪れた顧客につい価格まで聞かせてしまう。魅力の対象が、車から彼女達へ。ショールームの主役の座は変わった。