週刊現代 1995年12月2日号[講談社]


 「週刊誌は時代を移す鏡である」と21年後の俺が言おうが言うまいがどうでもいい。まずはその時に売れなければならない。とは言っても売れるために何でも書いていいというわけでもなく、「社会の公器」であるから政治・経済・社会の現実、問題点、隠された真実、対策等を掘り起こさなければならず、だからと言って堅苦しい話題ばかり続けるわけにはいかないのでゴルフ・パチンコ・野球・競馬・将棋・囲碁等といった娯楽記事も載せなければならず、美女達(?)のグラビアも載せなければならない。更に記事と記事の間には雑誌・書籍の広告から車・時計・ビール・タバコの広告、そしていかがわしい薬の広告(「飲むだけで、口臭・体臭、ウンチの臭いまで消えてしまうという話題の…」)もある。それらを当時の人々は斜め読みして読み終わった後はほとんどの内容は忘れてまた次の週の週刊誌を買っていったのであり、その混沌さこそが時代の生の姿なのだ。俺はその混沌とした姿を遠目からゆっくりと見たいのであり、1995年当時中学1年生12歳だった俺がわからなかった大人達の世界も今読めばわかるのである。生きてて良かった、こうして過去を楽しむ事ができるのは生きている者の特権ではないか。
    
・「問題は村山首相を擁する社会党である。護憲・平和の党という基本姿勢を貫くなら、今度の(日米安保)再定義問題でも安保条約のなし崩し的な役割拡大、安保変質の危険性などを厳しくチェックするはずだった。ところが、社会党の内部を覗くと、今や護憲・平和の党の『なし崩し的変質』が進行しているかのような印象である」「批判勢力としての役割やチェック機能まで捨ててしまっては『社会党は死んだ』と言わざるを得ない」…。その通り、翌年の総選挙で社会党はミニ政党へ転落、ただの「批判勢力」となった。
オウム真理教の「女帝金庫番」石井久子容疑者が逮捕されてから二ヶ月余。検察はエース検事を投入したが、「完落ち」までの道のりは遠そうだ。「第一は彼女の妥協しない性格。敵には決して心を開かない。第二は自我崩壊に対する恐怖。オウムを大きくしたのは自分だと考えている彼女にとって、オウム否定を意味する自供は、自我の崩壊につながる。第三は麻原。ヨガをやっていた石井は、麻原とのセックスで相当激しく深い性的満足を体験しており、そのセックス・コントロールから逃れられない。他の女性幹部へのライバル心もある。『麻原を最後まで守るのは自分だ』という強い思いがあるのでしょう」。
自民党は、7月の参院選比例区新進党を第1党に押し上げた創価学会の集票力を削ぎ落とすべく、宗教法人法改正案の参考人招致池田大作創価学会名誉会長を国会へ引っ張り出そうと画策。2年後に新進党が解体し、4年後に自民党公明党と連立を組むとは夢にも思わない。
・「政府を去って、一番困るのは何か」。連邦政府に奉職した事のあるビジネスマンにこう質問したら、こう返答するに違いない。「毎朝、CIA(中央情報局)が開く世界情勢についての最新情報ブリーフィング(事前説明)を受けられない事だ」と。CIAのブリーフィングで提供される情報の種類の多さと正確さは、我々の想像を超えるものである。経済一般、最新技術開発、ビジネス界の噂まで、驚くべき量の情報が提供され、そのほとんどが、トップ・シークレットと言えるものである。
・女性器研究の成果を開陳するある大学助教授の医学博士。産婦人科医の立場から、30年間にわたり女性の外性器を観察、コンピューターで分析し、その集大成として、「日本女性の外性器 統計学的形態論」を出版。「時々困ったのが、ニオイですね。とにかく鼻が曲がるようなニオイを放つ人がいる。というのも女性の体は、膣を通じて腹の中につながっているので、食べ物の影響があるわけです。前日にニンニクを食べた場合などは…」。ペニスへのまとわりつき方、また性交時の当たりの柔らかさを考えると、小陰唇、大陰唇とも厚めの方が男性にとっても快感が増すわけだが、(中略)ヒップが垂れるにつれて小陰唇、大陰唇ともに厚めの割合が少なくなり、逆に薄めが増える。クリトリスも、ヒップの垂れが進むにつれて、包皮に包まれたままという傾向が見られるという。ヒップは女性器の鏡というわけだ。