新婚旅行は命がけ 新婚物語1/新井素子[角川書店:角川文庫]

新婚物語〈1〉新婚旅行は命がけ (角川文庫)

新婚物語〈1〉新婚旅行は命がけ (角川文庫)

 何から話を始めようか。要するにここに今から書く事は、というより今までここに書いてきた事は、自分が読んだ本についての感想という非常に個人的なものであって、ではどうしてそんな個人的なものを世界中に公開しているのかと言えば、よくわからない。控え目に言って、いや違う、正直に言って、俺の文章はそんなに上手なものではない。ん。「そんなに」上手ではないというのはどういう事だ。「そんなに」とは何だ。何を取り繕っとるんだ。アホかお前は。
 大体俺が読む本というのは乱脈を極めていて、ラブコメ云々は置いておくとしても、近現代史を読んだかと思えば筒井康隆を読みSFアドベンチャーを読み、昭和40〜60年代の週刊誌を読み、毒にも薬にもならないミステリーを読み、真面目な政治学の本を読んだりする。次に何を読むかは全くの気まぐれで、向こう3冊ぐらい何を読むか決める時もあれば、積み重なっている未読の本の下から4番目の本を読む時もある。ん。だんだん自慢めいてきたぞ。自慢したいのかお前は。文章が上手くないとさっき言ったばっかりやないか。下手な文章の気まぐれな読書感想文を読まされる方はたまったものではないぞ。すみません。
 前置きが長くなりましたが本日の「脱走と追跡の読書遍歴1001」は「新婚旅行は命がけ 新婚物語1」でありまして、内容はまあ…めでたく新婚となった(婚姻届は作中の中盤で出したので、前半はまだ同棲カップル状態なわけですが、それはともかく)二人のほのぼの且つドタバタなエッセイ風ユーモア小説?なわけですが(最近「ユーモア小説」なんて言葉は聞きませんな)、この文章と言いますか文体と言いますか、非常に特殊なもんでして、
 かくて。
 とか、
 でも。
 とか、
 で、さて。
 等の言葉を使って強引に改行しちゃうんである。あげくの果てには
 で。
 とか、
 が。
 なんていう感じで改行しちゃうもんだから読みにくい…ってわけではないけども…これに慣れちゃったら他の小説とか評論とか読めるんだろうかって不安になっちゃったりするもんで、読むのやめようかなー、でもこういうのも読んでみたいじゃん、たまには。そう、たまにはいいじゃんって事で、最後まで読んだのであった。
 ところが。
 読み終わって気付いたんだけども…読んだ後に感想を書かないといけないって事で、でもこの本って…もちろん難しい政治課題とか悲痛な純文学的苦悩なんて露ほどにも感じられないお気楽な本で、そりゃ正彦君も陽子さんもそれなりに苦しんでるけど(いびきがうるさいとか寝相が悪いとか、朝食の時間は戦場とか、正彦君がクーラーを強めに設定して寝るもんで陽子さんは寒いとか)、まあいい話ですねって事で終わっちゃうわけね。あ、それが悪いって話じゃなくて、世の中にはそういう、お気楽な本って絶対必要だって思うから、それはそれでいい事なんだけど…困った。ただでさえ文章書くの下手なのに、こんな特殊な(悪口じゃないですよ)小説について書くって言ってもねえ…。
 
             ☆
 
 で、まあ。
 このお話なんだけど。
 これは、えーと、何て言うか…ごく普通の結婚をした(と、当人達は思っている。ま、見方によっちゃ、結婚するまでが大変なカップルだったりしたんだけどね)お二人が、果たしてどんな新婚生活を営むのか、そもそもまとまな新婚生活が営めるのか、ただ、それだけの、お話である。
 あるいは。
 新婚、なんて言うと、ま、一種独特の、甘い雰囲気が漂っちゃったりするじゃない。けど…実際、新婚(というよりは、結婚)って、そんな甘いもんなの?恋愛と違って、結婚っていうのは、感情や情緒の問題じゃなくて、もろ、生活だったりするじゃない。で、生活は生活なんだもん、好きで一緒になった人だって、いざ、一緒に生活してみると、意外なぼろが次々出てきて、まあどこの家でも、とんでもないお笑い(はたから見ればね。当事者にしてみれば、それどころじゃないんだろうけど)になっちゃっているはず。
 これはそういう――ま、その、結婚っていうか、生活っていのは、お笑いですねっていうお話である――。