日本の「神話」と「古代史」がよくわかる本 (PHP文庫 に 12-55)
- 作者: 日本博学倶楽部
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/06/02
- メディア: 文庫
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まあそんなわけで本書もまた俺の短い少ない小さい侘しい人生の中で読まれたのであるが、後半の「古代史」については非常に面白く読めたが前半の「神話」については若干読みにくいというのが正直な感想です。人、じゃなかった神さんの名前が非常に覚えにくく読みにくいのであって、イザナキ・イザナミぐらいならいいがアメノミナカヌシだのソコツワタツミだのヒノカグツチノカミだのスセリビメだのコノハナノサクヤビメだのカムヤマトイレハビコだのオキナガタラシヒメだの列挙されても何のこっちゃわからん。昔「罪と罰」を読んだ時にそのあまりの登場人物の多さと人名の親しみにくさにメモを書いていった記憶があるが、もし今後本格的に神話を勉強するならこれもメモが必要になるでしょうなあ。
あまり神話とか神道方面には詳しくない俺であるが、日本のように憎しみあったり殺しあったり乳房や腰をあらわにして踊るような神々(八百万もいる)というのは世界でも例がないのではないか。ああギリシャ神話というのがあるのか、しかしそれもよくわからんのでとにかく英雄だったり引っ込み思案だったり極悪非道だったりする神が時に成功し時に失敗し、もちろん人間ではないから盛大に死んだり生き返ったりする様は非常に興味深いものがある。そしてそのような物語は千年、二千年を経てなお語り継がれ、神々は永遠に生き続けているのである。まさしく神秘ですな。
しかし不思議なのは、「古事記」「日本書紀」は天皇家による日本支配の正統性を明らかにするものであったと言いながらこのようなお世辞にも高貴とは言えない神々のすったもんだを書き綴った話を並べ、且つ人間として(大和朝廷の長として)この国を支配するようになった後も騙しあいや殺し合いや嫉妬や傲慢な振る舞いを繰り返し繰り返し行いそれを客観的に書いていることである。そんなものは「天から降ってきたのが天皇でこの地をお造りになられた。アーメン」と言えば済むだけの話ではないのか。いやそれは21世紀的考え方であって8世紀の考え方ではないのかもしれぬ。おお。我が神国ジャパンは実に二千年の歴史を持つのです。
で、やはり一番面白かったは古代の政治史なのであって、「磐井の乱」「白村江の戦い」「壬申の乱」についてはその経緯から軍事的な攻防が地図入りで解説も行き届いている。特に壬申の乱というのは天皇の座を巡って朝廷に内乱が起こるという古代史上の大スキャンダルであって、俺としては非常に興奮するわけである。なあにが万世一系か。所詮権力欲をたぎらせた奴らの華やかにして百鬼夜行魑魅魍魎な地獄絵図の積み重ねの上に歴史があるのではないか。そしてそれこそが人間というものだろう。政治は聖人君子の高邁にして神聖なものでも何でもないのである。といつもの愚痴を言うわけである。
でも俺、白状するとね、どうも天皇制というものに懐疑的なのですなあ。おおそんなことを言ってしまったら右翼に狙わ