特別編2014(上)

 八方塞がり。四面楚歌。給料微増で仕事の量は激増、自らの仕事をやりつつ後輩新入社員の指導を行いつつ上司の顔を立てなければならず工場現場の顔色を窺わなければならない。大株主と主要銀行から派遣された役員達は自分達がいた会社のレベルの高さと今いる会社のレベルの低さに愕然としヒステリーを起こす。一昔前ならば外野から物見遊山で見物できたものの齢31となり中堅となり後輩新入社員の目を意識せざるを得ず今までのようにのほほんと仕事をするわけにはいかずしかし残業はするな休日出勤はするな家にデータを持ち込むな流出する危険があると言われ会社を辞めていった先輩同期後輩達の顔が脳裏に浮かぶもある者は成功しある者は失敗しある者は誰も消息を知らない。仕事は色々ありますわそれよりも土日を堪能すればいいのですと本屋古本屋図書館へ赴き本を買いアニメを見て変態的同人CGをダウンロードして堪能しつつも読んでいない本がどんどんと積まれここ半年ほどは平日いつも22時か23時に会社を出る生活が続いているので土日はゆっくり寝ていたいので更にどんどんと本が積まれていきもしかすると俺は一生積まれていく本を横目に見ながら後悔と罪悪感に苛まれて生きていくのではないかと恐怖に慄きじゃあもう本を買うのは一切やめようと決意するも会社があんな調子なので金があるうちに本を買っておこう一旦買ってしまえばいつ読もうがこっちのものだいつか買いたくても買えない日が必ず来るはずだと自分に都合のいい言い訳をして今まで生きてきてあまりにも格好悪いからこんな事を書くのはやめようやめようと筆を断とうとしてしばらくするとこうして書きたくなるのだから馬鹿は死なねば治るまい。しかし死んでしまったら書く事もできないのでやはり書くしかない。
 というわけでいつものような意味不明の前置きも終わったので家を出たのは2日(土)の8時前で、曇りなのに蒸し暑い東京の街を歩いて幸せそうな恋人達に唾を吐いて熱中症対策で帽子をかぶったはいいが先週土日もずっと帽子をかぶっていたのでそこはかとなく汗臭い、まあ自分の汗だからそんなに苦にはならんが他の人がこのそこはかとない匂いをかいだら嫌やろうなあと思いつつJR新橋駅。

 さてここからどこに行くのでしょうという事ですがまずは「青春18きっぷ」にハンコをもらって駅内に入って、これから長い旅になるので自動販売機で「オロナミンC」を買って飲んで、東海道線に乗ると幸いな事に座れたので先週日曜日朝に「ジョナサン」に行ってモーニングを注文したら付いてきた「讀賣新聞」を広げて読み始めるも眠くなったのですぐ寝て、隣の中年女性二人が「そろそろ決めなあかんねん」「前に、カンツウしたって言ってたで」「ホンマにカンツウしたん?」と言っている。

 上の写真の通り小田原駅に着いたので新幹線に乗り換える…ような事はしない何せ「青春18きっぷ」があるのですからな在来線であればどこまでも行けるのです、若い頃は体力がなかったからすぐ新幹線を使っておったが今や俺はそれなりに経験を積んだ大人なのだ俺とて成長するのだと更に東海道線を乗り継ぐ。



 静岡だ。もしここまで「18きっぷ」を使わずに通常通りの切符で来ていれば3,350円かかるところが2,370円(11,850円÷5回)でいいわけだ。この余った金で本を買えばいいのだと元気が出てきた俺はトイレに行って小便を盛大に解き放って、浜松行きの電車に乗ろうとするとホームで5歳くらいの男の子が大声で泣いていて、5メートルほど離れたところで母親らしき顔が白い女が「うるさい、うるさい」と叫びながら走ってきて男の子の手を取り、そのまま改札口まで走って行った。怖い怖い、俺は一人で気ままに旅を続けようと浜松行の電車に乗って席に座れなかったのでドア付近に立って「讀賣新聞」を読みつつ窓の外の風景を見れば家・アパート・学校・マンション・オフィス・工場・森・山などが横切っていって、一昔前は電車に乗っても本を読むだけで窓の外の風景にほとんど興味なかったが最近は電車に乗って風景を見ていると何となく満足する。行けども行けども家があって会社があって娯楽施設があってそこに人間がいて、1億人以上の人間がこの狭い土地に住んでいるのだなあ俺は1億分の1のどうでもいい存在なんやから小さなことで悩んでどうするのだと感傷的になるも1時間以上立ち続けていると腰が疲れてきてそんな事はどうでもいいから早く着け或いは誰かどけとカッカしてきたのでiphoneのエロ2次元コレクションを見て心を落ち着かせよう。

 浜松駅に着いたのは14時頃で、朝は7時半頃に大きめのクッキーを2枚食っただけなので昼飯にしようと立ち食いそば屋でかけそばとミニカレー丼を食いつつ名古屋に着くのはいつかと路線情報を調べると14時20分の電車に乗れば15時53分には名古屋駅手前の金山駅に着くと出ていた。それでは遅い、まずは名古屋駅でも金山駅でもどこでもいいが一旦改札外に出てゆうちょATMに行って金を下ろして、それから鶴舞駅金山駅の一つ先)で下車して名古屋古書会館に行って古書即売会に突撃せねばならんのだが即売会は17時で終わってしまうのだ、即売会に行くなら1時間は古本を物色したいのだ、何でお前はいつもこう行きあたりばったりなのだ、ええやろが仕事はいつもきっちりしとんのやからプライベートは気ままな方がええんじゃ、仕事でもないのにわざわざ「○○時○○分の電車に乗って、○○時○○分に××駅に着くからそこで△△線に乗りかえて…」などと事前に準備するかアホが(以下略)。

 というわけで新幹線を使いました。まあいいでしょう新橋から浜松まで4,430円ですが俺は2,370円でここまで来る事ができたのです。実は3月に同じく18きっぷを使って甲府に行った時も東京→甲府までは在来線で行きましたが帰りはしんどくなったので甲府→立川まで特急あずさ2号で帰った事があって、18きっぷの素晴らしさを俺に力説してくれた鉄道オタクな先輩にこの事を話したところメチャクチャ怒られました

 さあ名古屋に着いたわけでここからまた18きっぷを使わなければならないので一旦改札を出て、改めて18きっぷを使って入り直して中央線金山駅で下車して改札を出て1分もしないところにあったゆうちょATMでうら若き乙女を脅して金を引き出して、また金山駅に入って(駅員の姿が見えなかったので18きっぷを提示もせずに入った)、すぐに鶴舞駅

 実家に帰省する途中でたまに名古屋に寄る事はあるが今日のように本格的に名古屋で暴れるのは2008年以来6年ぶりだ。あの時25歳、今は31歳。続く。