結局日本の会社というのは

  結局日本の会社というのは犯罪でも起こさない限り滅多に人をクビにできない。で、そのかわりによくやるのが「異動」であって、こっちの部署で役に立たないならあっちで、それでも駄目なら子会社で、それでも無理なら関連会社にやってその関連会社は元々いた会社から切られて…ということらしい。いやはやまさにサラリーマン道でありますが、身近でそういうことをやられるとやはりこれは何と合法的で残酷な手段だろうかと思ってしまう。
 俺の担当業務の一つに各支店の×××をまとめるという作業があって、俺が担当をしてもう一年が経つ。そうなるといかに非人間的な俺とは言えやはり気の合う人もできるのであって、福岡支店の山本(仮名)氏と俺は気さくに話すことができる仲である。山本(仮名)氏は30前半の既婚で、高卒の工場採用から支店に来た人であるが腰が低く酒が飲めないこともあって俺とウマが合い、東京に出張に来た時は必ずどこかへ食べに行っていたものである。その山本(仮名)氏が7月1日付で同じく福岡にある子会社に出向になって俺と彼の接点はなくなったがまあ仕方ないのだろうとのほほんと考えていたら、ある確かな筋から「×××(山本(仮名)氏が出向している会社)はウチから手放すことに決まった」との情報が入ってきた。何でも名前も聞いたことのないファンド会社がくれと言ってきたらしく、昔はともかく今はそんなに当方と接点のない×××(山本(仮名)氏が出向している会社)を子会社にするメリットはないのでそう決めたとのことらしい。うーむ。そうすると山本(仮名)氏は捨てられたということではないか。ただでさえ高卒の安月給で子供二人抱えて大変そうな山本(仮名)氏を思うと何ともやり切れなく、ああこれがサラリーマンというものかと今更ながら大人になってしまった我が身を思う。
  

「赤灯えれじい⑨/きらたかし」(講談社:ヤンマガKC)

 7月7日19時7分に古本市場AKIBAPLACE店で購入。諸君の中には秋葉原にある古本市場を利用する者も多いであろうが実はあそこに俺はよく出没するので俺のサインが欲しければ土曜の19時か20時に古本市場で待つことですな。しかしこれで本作品の5・7・8・9巻を古本市場AKIBAPLACE店で買ったことになるのか。あそこは品揃えがあまり良くないんですが、なぜか赤灯えれじいはいつもあるんですな。そういう風に「この作品はこの本屋でしか買わない」という限定をつけて購入計画を練るのもまた楽しいものです。
 それにしてもう9巻まで行ったのか。この作品には強い思い入れがあるのでできる限り長く続いてほしいものだ。「日本ラブコメ大賞2005」一般部門第2位という輝かしい功績を持つ本作品は俺が社会人になってはじめて見つけた「本格大型ラブコメ」であって、学生時代より続く「ふたりエッチ」や「月姫」とは明らかに違うものである。「ふたりエッチ」「月姫」は学生時代の混沌と躁病の中で見つけ出した偶然と幸運の産物であるのに対して、「赤灯えれじい」は明らかにラブコメを目的化した上で見つけ出したものであり、方法論が違うのである。極端に言えば「ふたりエッチ」「月姫」は古き良き時代のラブコメであり「赤灯えれじい」は新時代のラブコメなのであって、「ふたりエッチ」「月姫」を読んでいる時は兵庫県の糞田舎を思い出すが「赤灯えれじい」を読んでいる時はここ東京の記憶しかない(上京し社会人となった2005年から買ったのだから当然だが)。作品だけではなく買った人間にもそれなりのドラマが存在するのだ。
 で、肝心の中身と言えばヘタレ男にキツめ女の相変わらずの泥臭いラブコメで非常に良い。キツめとは言え常識はあるし可愛げもあり世界設定も無理なく三次元的でしっかりしてるしこういうのが正しい漫画及び二次元世界というものではないですかな。