図書館雑誌 2014年1月号〜4月号[日本図書館協会]


 今回の「図書館雑誌」のトピックスは何と言っても社団法人日本図書館協会が「公益社団法人」として認定された事であって、これによって日本図書館協会は常に「公益」を意識して、つまり「世のため人のため」に組織を運営しなければならなくなった。これまでのように図書館関係者と図書館愛好家達だけの狭い世界で居心地のいい暮らしに邁進することは許されず、図書館が国家と国民のために何をすべきか、図書館の事をよく知らない人達からの批判を受けながらも試行錯誤を繰り返していかなければならず、図書館関係者の迷いと決断が徐々に誌面に表れてきている。
<2014年1月号>
・世界図書館情報会議(WLIC)・国際図書館連携(IFLA)年次大会で「The Librarians of Fukushima(福島の図書館員達)」が「Best IFLA Poster 2013」を受賞。ある図書館から避難所に届けられた本のラインナップは「やりたくてもできなかった料理や園芸の本ではなく、目の前の現実以外の何かを考えられるような内容の本が届けられ、(避難者達に)大変喜ばれた」。避難所に本を送った図書館長は「『死』を感じさせるような本は選ばなかった」。また避難した生徒を受け入れた学校の図書館では「原発資料のコーナーを設ける・設けない」、「震災関連資料を目立つところに置く・置かない」は、生徒達の状態や反応を見て行った。
日本十進分類法第10版試案より。「007」は「情報学」で、「.3」が「情報と社会:情報政策,情報倫理」、「.35」は「情報産業.情報サービス」。「.353」で新たに「ソーシャルメディア:電子掲示板,ブログ,ウィキ,ソーシャルネットワーキングサービス[SNS]」を設定。
<2014年2月号>
国立国会図書館の2014年度予算(概算決定額)は197億円。内訳は国会サービス経費4億円(2%)、資料費23億円(12%)、情報システム経費(基幹システム等の運用経費等)32億円(16%)、東京本館業務経費17億円(9%)、国際子ども図書館業務経費2億円(1%)、関西館業務経費9億円(5%)、人件費92億円(47%)、施設費(庁舎整備等)16億円(8%)。なお、誌面では(%)表示はなく金額だけ書いていた。%ぐらい書けや…。
公共図書館では2005年から2012年の間に正規職員が48%から32%に減り、非正規が52%から68%に増えた。特に市町村では非正規率は70%。大学図書館は正規40%、非正規60%。学校図書館は正規31%、非正規69%。特に小学校の非正規率は82%。頼むよ本当に、何とかしてくれよ。
<2014年3月号>
・特集は「東日本大震災から3年」。新館整備、移転開館、BMの巡回場所の増設等、復興に向けての取り組みやサービスの拡充は進んでいるが、多数の非常勤職員によって運営されているところが多く、研修や人員確保の措置が課題。仮設図書館では書庫の確保も課題。
・3年目を迎える現在、図書館活動を支援する団体と図書館との関係をどう整理するかも課題。各種支援団体による活動の終息をどう意識するか。支援活動は始めるよりも良い形で終わらせる方が難しく、地域にとってより良い状況で終えるための支援が必要。またニーズの把握や情報収集のためには、普段から顔が見える関係を築いておく必要がある。「非常時に安心して話ができる関係」は非常時に作られるのではなく、平時に作られる。
・今年度決算の見通しは「赤字にはならないが、余裕はない」。「来年度予算へ繰り越せる余剰金は見込めない」。
<2014年4月号>
・特集は「公益社団法人日本図書館協会スタート」。お題目は以下。
オンブズマンとしての役割の強化」
「行動する協会への回帰(公共図書館学校図書館の活動を後押し)」
「連携・協働する協会(読書関連団体との協働、図書館情報学関係学会・研究機関との協働、世界へ向けて日本の図書館文化を発信)」
「21世紀型図書館運営の模索(よくわからん…)」
「協会の内部管理(当たり前じゃ)」
アメリカ図書館協会(ALA)は会員6万人、職員250人以上、年間収入5,000万ドル(50億円)。日本図書館協会は会員6,500人、職員14人、年間収入3億5千万円。
・ALAの収入源は①「大会・会議」②「会費」、その次に「刊行物」「宣伝」「補助金」。JLAは「出版物」と「会費」が同列に並び、「大会・会議」の収入は5百万円程度。過去にALAの開会式がスポンサー企業の会場のようだと批判された事がありましたが、日本も外部資金の導入に積極的になる必要があるでしょう。