5 所得倍増解散(成年部門 15→1)

第15位:ギュッとしてね/みやもとゆう[MAX:ポプリコミックス]

ギュッとしてね? (ポプリコミックス 38)

ギュッとしてね? (ポプリコミックス 38)

 世の中の成年漫画の8割は鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾであり、それが俺の苦悩の年鑑の最たるものであるが、こちらは安全・安心・いつもニコニコなポプリクラブ系なので俺の頬もゆるむのである(太っているからではない)。しかしながら俺のターゲットはラブコメであるから、男がスポーツマンや茶髪や自分から女に告白するような、つまり「女にとって理想的な男」であってはいかんのである。何度も言わせるな。そんな男が女にモテたところで鼻白むだけだ。本作の最大の欠点は作者が女であることで、出てくる男たちはスマートで理想的過ぎ、読んでもどうも面白くない。和姦でラブラブな雰囲気が漂いそこに出てくる女たちがM系というのは非常に良いが、成年漫画でこれからも食っていくつもりなら是非その「読者が求める男の姿」というものを研究してもらいたい。
 
第14位:すてっぷ・あっぷ!/由雅なおは[MAX:ポプリコミックス]
すてっぷ・あっぷ! (ポプリコミックス 48)

すてっぷ・あっぷ! (ポプリコミックス 48)

 さてこちらも安全・安心・いつもニコニコなポプリクラブ系で俺の頬もゆるみっぱなしであるが(太っているからではない)、なにぶんツンデレ要素が濃いのでうーんどうだろうというところである。特に最初の方ではヒロインの一人である姉の暴虐の狂気っぷりがひどく、またそんなキチガイ女に罵詈雑言を浴びせられても「トホホのホ…」ですましてしまう主人公には閉口してしまう。「このキチガイ貧乳女め」とか「お前なんか10年経ったらオバハンじゃ」ぐらい言ったらどうなのだ。
 もちろんツンデレであるから後半になると素直になったりするが、やはり今まで罵詈雑言を浴びせられた女が風邪をひいたぐらいで看病するのはおかしくないか。風邪ごときで死にはしないし、もう一人のヒロインである妹がそれはもう主人公に従順でそのくせラブハート一直線なのだからそれでいいではないか。来る者拒まず、去る者追わずである(意味不明)。絵も自慰に使えるような肉感的なものとは言い難く、どうも読み終わっても不完全燃焼気味であるが、本作もまた、鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾが隆盛を極める昨今にあっては貴重なものであり、特に俺とポプリクラブの信頼関係も考慮して14位となった。反省し、教訓とするように。
  
第13位:てぇいる・ちぇいさ〜/真鍋譲治富士美出版:富士美コミックス]
てぇいる・ちぇいさ~ 第2巻 (富士美コミックス)

てぇいる・ちぇいさ~ 第2巻 (富士美コミックス)

 繰り返し述べているが、ラブコメの主人公は読者が同一化できるような人物でなければならないのであって、本作の主人公がフリーターなのは構わないが、それにしてもチャラチャラし過ぎではないか。ノリが軽すぎるように思われる。住むところがなくなったからといって元カノの家に転がりこんだり金持ちの友人に頼んで高級ホテルに泊まるなど、いかにも派手な感じを与える。主人公とヒロイン(宇宙人)の出会いが秀逸なものであるだけに(何せ突然訪ねてきてトイレ借りて出て行ったと思ったらそのヒロインの敵が主人公の家を破壊していやどうしようと思う間もなくヒロインに押し倒され更に惚れられる)残念だ。また主人公とヒロイン1(宇宙人)とヒロイン2(元カノ)の立ち位置も三角関係の修羅場シーンが展開されるのかと思ったら妙に仲が良くて中途半端なのが残念。他の作家ならいざ知らず、一般部門でも3位を射止めた作者の作品であり、読む前の期待と読んだ後の残尿感が響いてこの順位になりました。
  
第12位:恋するウシチチ/真鍋譲治富士美出版:富士美コミックス]
恋するウシチチ (富士美コミックス)

恋するウシチチ (富士美コミックス)

 またしても真鍋譲治である。もはやベテランというより大御所であるが、今年は新人顔負けのパワフルなご活躍でありました。というわけで本作も色々と話題になったものであるが(編集のミスでモザイクがかかってなかったんでしたっけ?)、こちらも読む前の期待と読んだ後の残念な感じが響いてこの順位になったものである。もちろん悪くはないのだが、事前に過大な期待を寄せてしまうのでね。
 どう残念なのかというと、2巻(コミケで買った)を読むとそうでもないが1巻だけの印象では主人公がぞんざいに扱われている感じがして残念というか腑に落ちない。「リン×ママ」(一般部門3位)であれだけ都合よく素早く主人公を物語の中心に置くことに成功しているのに、1巻では時に邪魔者扱いされ馬鹿にされたりしているのであって、快楽の実現を最大の目的とする成年漫画でそんなことをされてはたまらんのである。2巻でやっと主人公を中心に物語が動き出して(ウシチチたちにモテモテ)満足はしたが、俺はそのあたり一切妥協しないからね。
 しかしこの牛のようにどでかくむしゃぶりつきたくなる乳とスタイルのいい肉感的な身体は何度見てもたまらんですたい。
  
第11位:さよなら、おっぱい/青木幹治コアマガジン:ホットミルクコミックスシリーズ]
さよなら、おっぱい (ホットミルクコミックス 302)

さよなら、おっぱい (ホットミルクコミックス 302)


 成年漫画のヒロインは所詮読者に快楽を与える道具であるが、その「快楽を与える道具」が道具ではなく生身の人間であるところにミソがある。成年漫画でよく見られる、棒ならば何でもいいような人外の女はもはや人間ではないからそんなものを見ても興奮するわけがない。
 「生身の人間」であることを印象付けるためには、やはり女が意中の男のことを想って色々と煩悶し、迷ったあげくに突飛な行動を起こすことにミソがある。そうして男にその身体を預け、男(読者)はそれを優越感を持って見ることにもミソがある。本作に出てくる女たちは貧乳について悩み巨乳について悩み、あまり構ってくれない男に怒り嘆き、時に雄弁となる。女たちをそこまで駆り立てるのは平凡でどこにでもいるような男(=読者)のせいであり、そんな女を見て俺や読者はニンマリしラブコメとしての義務を果たすのである。ただし絵自体は淡白なものなので自慰に使用するのは不向きであります。
  
第10位:むちプリ/有間侭[茜新社:TENMA COMICS RiN]
むちプリ (TENMAコミックス RiN)

むちプリ (TENMAコミックス RiN)

 内容は典型的なバカップルのいちゃいちゃな日常であったり相思相愛なカップルのいやそんなとこ攻めたらいやんなものであり、肩の力を抜いて気楽に読めます。やはりこういうのも必要ですな。ムチムチとした女の身体も非常にいやらしく文句のつけようがないが、何せバカップルがただ日常的にヤるだけなのでいい意味でも悪い意味でもインパクトがないのが惜しくもある。ただし本作では性交時も非性交時もその「バカップルさ」を維持できており、且つその日常の「バカップル度」を成年漫画特有のフェロモンを出さずに発揮しているところが珍しくもあり秀逸でもあるが、いかんせん目立たないところがこれまた惜しい。とにかく非の打ちどころがない作者の次回作に期待でありますな。
 
第9位:処女絢爛/西川康富士美出版:富士美コミックス]
処女絢爛 [限定版] ドラマCD付き (富士美コミックス)

処女絢爛 [限定版] ドラマCD付き (富士美コミックス)

 成年漫画のほとんどが20頁前後の短編をただ漫然と載せる形式を取っているので、優れた短編もあれば大したことない短編もある玉石混合なものとなる。そしてその中に一つでも鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾが混じっていれば俺は断固として拒否するが、困るのは本書のように「男の方から積極的に女に自らをアピールしたり告白したりリードしたりする」という非常にわかりやすく阿呆らしくお子ちゃまなお話が紛れている一方で「高嶺の花の女生徒会長がこれといって特徴のない男に告白、しかも普段強気なのにアッチの時は攻められて感じちゃう」というラブコメ的にも俺の性癖的にもこうグッと来るものがあったりする場合である。
 結局お腹いっぱいになる短編と腹が立つ短編を同じテーブルにのせ、料理全体を味わって順位をつけるしかなく、まあ9位となるのでしょうなあ。前回(2007年7位「恋するコンビ」)の時もそうだが、作者の漫画は「普段は強気なのにアッチの方は攻められる」女性の方が非常に良い効果を出している。エキゾチックな鋭い切れ長の瞳が印象的な女性キャラが乱れる姿はガラスの破片が壊れるその一瞬の美しさを思わせる。
  
第8位:プププププリンセス!!/ゴージャス宝田ヒット出版社:SERAPHIM COMICS]
プププププリンセス!! (セラフィンコミックス)

プププププリンセス!! (セラフィンコミックス)

 えー、本作についてはあまり説明したくありません。というのも本作は見ての通りロリっ娘ハーレムものでありまして、金持ちの家庭に生まれ親にせがめばいつでも金を出してくれると勘違いしている生意気なクソガキを蛇蝎のごとく嫌い母子相姦を好物とし今時珍しいオーソドックスなおっぱい星人でもある俺が唯一拒否反応を示すのがロリものなのである。
 いくら俺が和姦なら来る者拒まず去る者追い出すなが信条だとしても、ロリヒロインと繰り広げられる小便飲みや肛門何とかにはやや食傷気味であるが、ヒロイン(前世の主人公の恋人)の真剣な想いやただの成年漫画とは違うことをしようと冒険しそれを成年漫画の範疇に収めようとする作者の努力は買うべきと判断し8位となった。この作者の作品(2005年1位「妹ゴコロ」、2008年5位「お兄ちゃんクチュクチュしすぎだよっ」)はいつもそうだが、作中人物たちの心理描写が非常に荒々しく、その荒々しさをロリコンというまだ未発達な身体でぶつけるものだから読む者にとっては登場人物たちの想いの交錯に重点がいって身体的な刹那的な快楽に結びつかない(要はオカズになりにくい)ところが面白いところでもあるということでもう勘弁して下さい。
  
第7位:お姉さんじゃダメかしら?/いとうえいコアマガジンメガストアコミックス]
 「姉と弟」(または擬似的姉弟関係)ものは「兄と妹」ものに比べ徹底的に少ない。それは読者(男)にとって「妹」とは精神的にも肉体的にも下位に位置し既に封じ込められている状態であるから、その後の性的封じ込めに至る描く側と読む側の共同作業が非常にスムーズにできるのに対して、「姉」となればまず性的でないところから関係性の封じ込め(いわゆる性格的なSとMのことを言っているのではなく、入れる男と入れられる女の関係性)を行い且つ性的な場面へ転換するわけで、「妹」の倍のパワーを使うからである。言わば中途半端な力量ではできないのであり、「俺は姉が好きじゃああああ」という熱意がなければまず姉ものはできない(仮にできても大したものはできない)。その点、本作は最初の短編からいきなり地面におでこをごっつんさせて「男を婿に下さい」ということによってそのような「姉と弟」が抱えるモヤモヤを一気に吹き飛ばすことに成功しているばかりか、姉特有の「押しの強さ」を読者にほとんど意識させることがないのに、話の展開はその「押しの強さ」に拠ってトントン拍子に進めているという巧いものになっている。言わば「姉」の持つスピード感としたたかさで一気に勝負を決めているのであり、そのテクニックには思わず唸ってしまいあっという間に7位をさらわれてしまいました。
 
第6位:だってらぶなの!/雨部ヨシキヒット出版社:SERAPHIM COMICS]
だってらぶなの! (セラフィンコミックス)

だってらぶなの! (セラフィンコミックス)

 去年に比べて今年はハーレムものが少なかった。複数の女にせまられるのがラブコメなのだから、複数の女と性関係を結びながらその状態に女たちが異を唱えないハーレムなど容易に作ることができるのであり、それはモテない我々にとって夢物語である。そんな夢物語を求めて何が悪い。若きオタクである諸君に足りないのは目の前の欲望処理ばかりにこだわり夢物語に無頓着なところだ。
 というわけで本作は主人公が小学生の頃に「23歳ぐらいになったら結婚しよう」と言ったのを真に受けるという阿呆女三人が主人公の家を訪れて「どういうことよ」、主人公がいやそれはあの子供の時のことやからそう深く考えずに言ったので正直なところそんな本気にされてもうるさいわねそんなの関係ないわよとなし崩し的に肉体関係へと流れそれでもまあいいか主人公は優柔不断だから私たちが実力で(身体で)ものにしてみせるというお話である。ラブコメの快楽成分の根幹である「積極的な女」を成年漫画で表現するオーソドックスな手法を使いながら、そういう場合主人公の存在感が希薄になってしまうが本作では主人公の存在感もちゃんと確保され、非常に手堅い作品に仕上がっております。こういう作品がどんどん増えてほしいですねえ。
  
第5位:妹のアレは気持ちいい/猫玄富士美出版:富士美コミックス]
妹のアレは気持ちいい (富士美コミックス)

妹のアレは気持ちいい (富士美コミックス)

 何度も言うが俺が求めているのはエロではなくラブコメである。エロはエロでいいがそれがラブコメに役立つものでなければ意味がない。本作を読んだところで自慰の道具にできない(それなら次に出てくる4位の作品で十分だ)が、これほど成年漫画上でラブコメ色を強く打ち出し、且つそれをエロで補強するものはなかなかないのではないか。
 ラブコメにおいて主人公とヒロインの距離は微妙なものでなければならない。それはよく言われる「友達以上恋人未満」というようなものではなくて、ストーリーがラストシーンに向かってラブコメとして転がろうとするのに対応して二人の関係性を平行して密着なものにしていくために(そして最後はくっつくために)用意すべき人物描写の妙であって、成年漫画だから裸と性交描写だけ出しておけばいいというのは大間違いである。本作は「くっつきそうでくっつかない」主人公とヒロインの関係性を徐々に徐々にくっつけるその様子が非常に巧いのである。しかしだからこそと言うべきか、ヒロインが妹であるという特殊性が活かしきれてない部分もある。そのあたりは難しいところですが、ベテランの作者の円熟味が冴え、寝る前に本書を読むとぐっすり眠れます。
   
第4位:ツンデロ/武田弘光コアマガジンメガストアコミックス]
ツンデロ (メガストアコミックスシリーズ No. 200)

ツンデロ (メガストアコミックスシリーズ No. 200)

 結局成年漫画を「ラブコメ」として語るのは若干無理があると感じるのは、所詮成年漫画なんちゅうのは若いオタク男子の劣情の解消手段でしかないからである。あるいは東京ビックサイトにまで足を運び大金をはたいて薄っぺらい鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾ漫画を嬉々として買い漁るオタクたちの欲望を満たすため、ひたすら鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾ漫画を生産する成年漫画界に俺のような極めて真面目に和姦を議論する奴の出る幕はないのかもしれぬ。しかし本作のようにその過剰なまでの「アヘ顔」によって鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾ漫画を望む人たちの要求に応える一方で、話は意外や意外和姦の外交官たる俺を十分満足させるものがあれば共存も可能ではないか。
 通常和姦をベースにすると性交描写はどうしてもおとなしくならざるを得ないが、作者は一見普通の和姦もので話を転がしながらお構いなく「アヘ顔」を連発しその興奮度は尋常ではない。考えてみれば和姦とは言えヤる事はヤるのであるからそこに「アヘ顔」を入れればいいだけなのだ。どうして今までそれに気付かなかったのだ。愛する男女がいやらしくまぐわい結果子供ができれば少子化問題も解消して万々歳ではないか(「出す時は全部膣内射精だからね」「責任はとるよ」)。しかしだからこそ鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾ漫画な短編が混ざっていたことが惜しい。それさえなければ楽々1位であった。とにかく本書で何度も自慰ができる(お前は何を言っとるのだ)。
  
第3位:はちゅえち/Rico[コアマガジン:ホットミルクコミックスシリーズ]
はちゅ えち (ホットミルクコミックス 308)

はちゅ えち (ホットミルクコミックス 308)

 何度も言うように基本的に作者が女の作品を俺は信用しない。ラブコメとはモテない男の心理を第一とし、成年漫画ともなればモテない男の性の捌け口を第一とするからである。だからこそ成年漫画を規制すれば性の捌け口を失った男たちの性犯罪率が増えると思うのだが、とにかく男の妄想を理解できない女が描いても意味がない。
 しかしながら俺は「いかに自慰の道具として優れているか」を基準に順位を付けているわけではない。ここは「いかにラブコメとして優れているか」を成年漫画に応用する神聖にして冒涜の場なのあり、本作も選考の俎上に上がって何と3位となってしまった。いかにも女が垂れ流す甘酸っぱさが全体の雰囲気を覆っていながらも相手となる男が「平凡で何の取り柄もない男」であり、女が描く男はどうしてもスポーツマンだったり目立ちたがり屋だったり短絡的で単細胞な思考を正義と勘違いする阿呆ばかりだが本作はそうではないからである。恐らく編集サイドが女である作者にあれこれと指示したのであろうが、そうであればいわゆるラブコメ空間にハリウッド的ハーレクイン的ラブロマンス、「永遠の愛を誓いますわ」に代表される甘い愛の交歓がミックスされああこういうのもあるのだねえ非常にいいねえということで気が付いたら3位にまで駆け上がってしまったのである。世の中何が起こるかわかりませんねえ。
  
第2位:あいらぶ!/槍衣七五三太コアマガジンメガストアコミックス]
あいらぶ! (メガストアコミックスシリーズ No. 230)

あいらぶ! (メガストアコミックスシリーズ No. 230)

 本作を1位にするか2位にするか非常に悩みました。本作の和姦描写の安定感やラブコメ描写の効果的な演出そして画力全てにおいてトップレベルであり3位以下の追随を許さないが、1位が主人公とヒロインをめぐる長編であるのに対して本作はあくまで短編集であるからそのインパクトが弱く、涙を飲んでもらった。しかし「限りなく1位に近い2位」であることをここに付言しておこう。
 タイトルにある通りヒロインの主人公に対する愛情表現たるや「和姦の鬼軍曹」と言われる俺も思わず姿勢を正してしまうものであり、3位と違って作者は男であるからちゃんと「男にとって都合の良い女」の行動というものをそのラブコメ描写の流れに乗せて表現している。成年漫画を読む者の要望、あるいはラブコメを求める俺の要望をちゃんと「わかっている」のである。もちろんほとんどの成年漫画家だって「わかっている」のであるが、それを無駄なく正確に簡潔に表現することは至難の業である。また完璧にそれらをこなしながらあくまで人物たちの顔や表情は「丸い」絵であるから読者は警戒することなく安心して読み進めることができよう。こういうのがあると日本の成年漫画のレベルの高さに関心してしまうね。文句のつけようがない一冊であります。
  
第1位:ハニーブロンド/フクダーダコアマガジンメガストアコミックス]
ハニーブロンド (メガストアコミックスシリーズ No. 215)

ハニーブロンド (メガストアコミックスシリーズ No. 215)

 ということで本作をもって日本ラブコメ大賞2009が終わり感無量でありますが、2位で言ったように本作も和姦描写の安定感やラブコメ描写の効果的な演出そして画力はひたすら感心するのみである。話が終盤に向かうにつれて主人公とヒロインの関係を強固なものに仕立てあげようと性交場面や非性交場面を問わず「ラブコメ臭」とでも言うべき濃厚な空間をずっと維持し続けているのには脱帽である。
 優れた成年漫画はラブコメよりもラブコメである。一般のラブコメが性交描写を淡白に、つまり主人公とヒロインの関係を描く上で二人が性交しようがしまいが基本的には変わらないのに対して本作の二人はまさに性交を重ねることによって絆を深くしてゆくのである。これはまさしく恋愛と人生そのものではないか。少し大げさかもしれないが、俺はそれぐらい感動したのである。成年漫画は性交シーンを描かなければならないのだから、それを利用して性交場面を描くことでラブコメ成分を補強し、従来のラブコメならばできなかったであろう主人公とヒロインのもっと深いつながりを本作は描き切ったのである。素晴らしい。これ以上の成年漫画がこの先現れるのだろうか。もし今後もこのような成年漫画がどんどん現われてくるのだとしたら、来年以降も生きる希望が湧いてくるというものである。