ロマンチックはままならない/鏡貴也[富士見書房:富士見ファンタジア文庫]

 わはははははははははははは。「反ライトノベルスの巨頭」とは俺のことと呼ばれる俺でありますが、誤解してもらっては困るのだが俺は「反ラブコメ」ならどんなジャンルであっても容赦なく攻撃するだけであって別にライトノベルス自体に憎しみを持っているわけではないのである。誰でも最初から難解な純文学を読むわけではなく、俺とてこの富士見ファンタジア文庫の「天地無用!」を読み出してからこうして日本ブログ界最低にして最悪の読書青年になることができたのだ。であるから俺もラブコメならどんどん読むわけである。
 で、昨今のオタク界ではホモとレズが花盛りである。だから俺に憎まれるということがまだわからん阿呆はさておき本書であるが、いやあ花も恥じらう乙女なヒロインが好きな男(主人公)を想って一喜一憂妄想爆裂する姿はいいものですな。それもいわゆる直球ラブコメみたいに「セックスしよう」とか「あなたの子供が欲しいの」とかは恥ずかしく言えず(当たり前だ)、それでもけなげに化粧に服装に気を遣う様子は胸キュン何とかである。俺ももうすぐ26歳でこういうノリにはついていけないかもしれぬと危惧しておったがまだまだヤングということであります。というわけで本書がどんなに素晴らしいかを抜粋して今日はさようなら。
  
「そのね、ウィン。もうお昼も近いことだし…その…」
 ああ、そこから先が言えないなんて、なんてかわいい私!
 やっぱりデートってのは、女から誘うものじゃないものね〜!
 さあもうここまで言ってるんだから、私を昼食へ誘いなさい!もうすでに新しくできたレストランの席を予約してるんだから!
 さあ!
 私はウィンの顔を見つめた。
 さあさあ!
 なのにウィンはにこやかに笑って、
「ああ、もうそんな時間か。昼休みに新規の依頼者でも来たら困るから、僕は出前を取るけど、君はどうする?」
 その言葉を聞いた瞬間、が〜ん!なんていう、信じられないほど月並みな効果音が、私の頭に鳴り響いたような気がしたのは、きっと気のせいじゃないと思うのよ…うう。
  
「仕事でパーノル海岸のそばにいくけど、ここのところ休みもとってないし、二日くらい海岸近くの宿でもとって、遊ぼうか?」
 なあああんて言葉以来、毎日の仕事のあと、水着屋さんに通い詰めること三日。
 閉店だから帰ってくださいという言葉も無視して、
「や、やっぱり、おしとやかに、ワンピースの水着のほうが…ああでも、いまどきあんまりワンピース着てる人もいないわよね…っていうか、もしも露出度の高いビキニの女がいて、
『じゃあミア、僕はあそこの大人な女と用があるから、一人で遊んでおいで』
 なんてことになったらいやあああああ!?
 ああもう、どうすればいいの!?私はどうすればいいのよっ!!そりゃ、確かに胸はその、あんまり発達してるとは言えないけど…(長いので省略)うう…やっぱりここは、最終兵器を使うしか…で、でもこんなの着れない…だけど」
 と、迷うこと三日。悩みに悩んだ末に着た、ビキニ。それも、胸のところが、少し小さめにできていることによって、胸がちょっぴりと大きく見えちゃったりするやつ。
 私にしては、露出度がすごいことになっちゃってたりして…もちろん、恥ずかしくて、上にタオルを羽織ってるけど…
 でもでも、乙女がこんなに頑張っちゃってるわけよ!!こんなの着たことないのに、ウィンのために、この健気な乙女心はどう?
 なーのーにー!!(長いのでもう省略。続きは読んで下さい)