20位:天使のキュッ/朝森瑞季[竹書房:BAMBOO COMICS]
天使のキュッ (バンブー・コミックス VITAMAN SELECT)
- 作者: 朝森瑞季
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2006/06/07
- メディア: コミック
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だが何度も言うように本書では登場人物の日常生活描写が非常にきっちりと描写され(社会人であればその職場風景等)、ただのエロ漫画にはない深みが出ている。このような深みが出てこそ性交渉も燃えるし俺のラブコメ世界も広がるというものだ。俺もこんな簡単に彼女をゲットしてえなあ。最近こういう愚痴が多いな。
19位:ぶっ★かけ/松山せいじ[グリーンアロー出版:グリーンアローコミックス]
- 作者: 松山せいじ
- 出版社/メーカー: Bbmfマガジン
- 発売日: 2008/05/26
- メディア: コミック
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女社長の方はよい。主人公が秋葉原で最新ゲーム機購入のため徹夜で並んで云々でとにかく女社長とは知らず顔見知りになり会社に来たらあれま社長でおはしましたかということで女上司の方もお前なんでうちのオカン知っとんねんしかもゲームの話で盛り上がっとるやんけという話の展開も無理がない。問題はこの女上司がツンデレであって、とかく主人公に厳しく当たるということである。もちろん女上司がそのように厳しく当たるのは主人公だけであり実は女上司は主人公に心を許しているのよということでまさしくツンデレ風味が効いているが、困ったことに俺はツンデレには何の魅力も感じないのである。
「ツンデレ」がラブコメ上非常に有効なアイテムだということは俺も理解している。しかし「ツンデレ」の「ツン」の部分が強調され「デレ」が出てこない場合それに俺が耐えられるかというとこれは申し訳ないが耐えられない。というよりそれがラブコメだと認める気もない。ラブコメとは俺のような平凡でおとなしい青年が活躍する物語であって、耐え忍ぶ物語ではないはずだ。いや本当に風雪に耐え忍ぶ姿であれば俺も真剣に読むが、ただ無目的に「ツン」部分だけ強調してマゾが多いオタク向けに安易なパフォーマンスをしたところで俺の琴線に触れることはないのである。このあたりは断固として譲らない。
もちろん本書とて無目的に「ツン」を描写しているのではなく、時折女上司は弱みを見せたりもするが結果的に「主人公に対し無理難題を言う嫌な上司」という印象が強く残り、主人公がまた「いつもみたいに叱って下さい」などと人間味の無い良い子ちゃんぶりを発揮するものだからどうも調子が狂うのである。そう言えばこの主人公は女社長と裸でベッドに入ってしかも媚薬まで飲まされるのに結局ヤらない(「頑張ってあなたと釣り合う男になるまで待って下さい」などと言う)のであり、思わず阿呆かと口に出してしまった。少年誌じゃあるまいし、立派な大人の男が何をしておるか。読者が何を期待しているかをよく考えてもらいたい。しかしこの爆乳はたまらん。
18位:恋するお姉さん/黒河澪[双葉社:ACTION COMICS]
- 作者: 黒河澪
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/05/28
- メディア: コミック
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作者が描くのはもちろん平凡な男と美人な女が都合よく好き合ったことによる性交渉であるが、その性交渉シーンはどれも清潔であり、それはもう「エロ」という言葉が浮かばないほど綺麗にまとめられているのである。また平凡な男と美人な女との出会いや性交渉へと流れるストーリー展開が淡白であることがまたその清潔さを保つ補強の役割を果たしているという点で非常に完成されていると言えよう。言わば「小さくまとまっている」のであり、殺し合いや戦いといった非日常な展開はもちろん嫉妬や病気や生活苦といった日常生活の様々な厄介事などが全く連想されない、いや本作ではありえないことが読む者に自然と了解させてしまう世界観の上に作者の作品は成り立っているのであって、もちろんこれらは狙ってやっているわけではなく偶然、作者の小さくまとまった(平凡な男が都合よく女をゲットして都合よくヤれる、しかもその一連の描写が非常に淡々と展開される)世界観と俺のラブコメ感性がたまたま一致しただけに過ぎないがそれで夜寝る前に本書を読めばぐっすり眠れるのだからいいではないか。
性交渉は扇情的なものではなく男と女の愛のコミュニケーションの一手段であることを教えてくれたのは「ふたりエッチ」だが、本作はそれを淡々と、平然とやってのけているのであり、その「軽々とした平然さ」の波に乗って読んでるこちらも実にスムーズに作品世界に没頭することができよう。作者はもっともっと評価されていいはずだ。しかし俺もこんな彼女が欲し(以下略)。
17位:7COLORS/板場広志[竹書房:BAMBOO COMICS]
7 colors (バンブー・コミックス NAMAIKI SELECT)
- 作者: 板場広志
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2007/11
- メディア: コミック
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またしても「ラブコメにおけるハーレム」の問題となるのだが、当然そこには優越感に訴えるものがある。平凡なただの男がなぜか美女数人から言い寄られ或いは肉体関係を持つことで「こんな美味しいことができるのは俺だけ。金持ちでもイケメンでもできないことを俺だけができる」と快楽の極みを疑似体験できることがラブコメの最大の強みと言っていいが、よりその優越感を持続させるには「ハーレムを構成する女たちは社会的・経済的地位が高い」ことが重要である。ハーレムの女とははっきり言えば奴隷であり、自分の奴隷の社会的地位が高ければその奴隷の主人である自分はもっと高い地位にいると錯覚できるのである。それによる精神的優越の快楽は恐るべきものがあり、本作ではスッチー・ナース・女教師らが酒の酔いも手伝ってキチガイ痴女顔負けの誘惑合戦を繰り広げるという大変ありがたい作品なのである。逆にこのようなハーレムものであれば淡白さではなく扇情的な描写が求められ、作者の描く超スレンダーな巨乳女たちはまさにピッタリである。いやあ使わせてもらいました。
16位:E−コミュニケーション/えむあ[少年画報社:YC COMICS]
- 作者: えむあ
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2007/09/28
- メディア: コミック
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その後主人公と金髪ブロンドと主人公の幼馴染の女との間で一悶着あり結局男1人に女2人でラブコメ万歳なわけであるが、ここで俺が言いたいのは主人公とヒロインのきっかけである。この外人ヒロインは幼い頃泣き虫であり、そんな泣き虫を慰めていたのが主人公でそれで主人公を好きになったという。ではこの主人公は俺が蛇蝎の如く嫌う「人間味のないいい人、平凡とは相容れない漫画だけの人間」なのだろうか。それは違うのであって、幼い頃の振る舞いというのはその平凡性の判断外に位置するのである。幼い頃、特に小学生低学年であれば自我など発達せず周りの目を気にせず行動するのであり、そんな子供が「泣き虫の外人の相手をしてやった」ことはこの我々現実世界でもままあることなのだ。これが高校生大学生という自我の発達した周りの目を気にすることのできる社会性を身につけた人間であるにもかかわらず何のためらいもなく外人に話しかけたり泣いてるのを見て慰めたりすればそれは「平凡でおとなしくてどこにでもいる普通」な人間ではない、よってそのような人間が主人公ならばラブコメではないとなるのである。
このように俺の通りにすれば世間で流布されているほとんど全てのラブコメは問題ないはずなのだ。それを大学生や大人にもなって見知らぬ女に話しかけたり困っていそうだからと言って軽々と話しかけたり道端に倒れていてほっとけない等からきっかけを作り、その後も人間味のない不気味なほどの「いい人」ぶりを発揮して無理やりヒロインと主人公をくっつけようとするから俺の反発を食らうのである。そのあたりを考慮した本作は立派である。外人の女はやっぱりアナル(以下略)。
15位:僕と彼女のホント/みた森たつや[秋田書店:ヤングチャンピオン烈コミックス]
- 作者: みた森たつや
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2008/05/20
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小学生高学年の一時期妹の部屋にあった「りぼん」を毎月読んでいて、妹は「ちびまる子ちゃん」を読むためだけに買っていたのであるが俺はそれこそ掲載されている作品ほとんど全てを熟読していた。今でもその時読んだ「姫ちゃんのリボン」や「マーマレード・ボーイ」等はよく覚えているが、そこには教室や図書室や下校時を舞台にした甘酸っぱい恋の話が盛りだくさんであった。やがて中学生になれば俺もこのようなドキドキでワクワクな世界の住人になれるのだと胸が高鳴り、中学生ではそんな漫画のようなことは起こらないとわかるとでは高校生かと期待は倍増し、高校生になって第二次大病戦争に遭遇してこのような天下に唾を吐く糞人間となってそんな胸の高鳴りは川の向こうの方に置いてきたわけであるが、ああ俺は実にこんな青春を送りたかった。
いやもし送れなかったとしても本作をあの頃の俺が読めば狂喜乱舞していたに違いない。学校のプールに無断で忍び込んだり、図書室で自分に気がある女と二人っきりになってせまられたり、夜の公園で告白されたり、勉強を教えると称して二人の女からせまられたりしたかったのだ。実にこのような涙が出るほどおいしいシチュエーションを畳み掛けるように繰り出すのが本書の最大の特徴であって、何と甘美なことか。素晴らしい。これで主人公がお風呂の壁を乗り越えなかったらもっと良かった(それはさすがに活発過ぎる。こういう時はただあたふたしておけばええのじゃ。それが平凡な主人公というものだ)。また本書のクライマックスで明かされる(というほどのものでもないが)「実は本当の意味でおっぱい星人でした」など刺身で言うところのツマでしかないのである。ああ良かった、とにかくおっぱいおっぱいでたらふく楽しませて頂きました。今度は俺の番だ。いや言ってみたかっただけです。
14位:ヤンキーフィギュア/ミッチェル田中[秋田書店:少年チャンピオンコミックス]
- 作者: ミッチェル田中
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2007/12/07
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当然のことながらフィギュアヤンキーは暴力的で、あの手この手でフィギュアオタクぶりを発揮し着せ替え人形遊びをする主人公に殴る蹴るの暴行を加えるのだが、何せサイズがフィギュアサイズであるからあまり腹立たしい感じはしない。更にキモオタ主人公は天然ぶりも発揮して窮地に陥るヤンキーフィギュア(よけいな事をしとるだけだが)ヒロインを助ける際に手が滑ったり力の加減を間違えたりしてその度に全裸にさせてしまいヒロインから殴る蹴るの暴行を加えられるのであるがこれもそんなに腹が立たないのである。何たって小さくなってしもとるからね。こりゃ守ってあげないと、というより俺がいなきゃお前なんか簡単に死んでしまうよと、まあ主人公はそんなこと微塵も思ってないでしょうが楽しみ方は人それぞれである。
ラブコメの主人公には「おとなしい」「陰気」等の性格が求められるが、更に「キモイ」「オタク」が加われば尚よろしい。そうすることによって読む者(今時漫画を読むのはキモオタぐらいだ)は主人公とほぼ同一化できるのである。しかしそのような主人公がストーリーを引っ張るためにはその主人公を引っ張る活発な女が必要である。で、ここからが落とし穴であるがその活発さを表現するために手っ取り早く主人公に殴る蹴るの暴行を加える描写となってしまう事が多々あり(あの世紀の駄作「ラブひな」がそれに当たる)、それではただの犯罪者予備軍でしかないが本作ではミクロ化することによって殴る蹴るの暴行を許容させ、また主人公が身体のサイズ的には絶対的に大きいことから自分がこの女を守るのだという優越感も漂わせ、作品全体をコメディ色にすることで喋るフィギュアとフィギュアオタクの夢のような生活とさえ思わせるという完成度の高い作品なのである。これもまたいいだろう。しかしこう毎回毎回裸になられるとありがたみがなくなるというか、何というか。
13位:ケ・セラ・セラ/玉越博幸[集英社:JUMP COMICS DELUXE]
- 作者: 玉越博幸
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/12
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妹をヒロインとするラブコメにおいて重要なのは妹の可憐さ・清純さ・一途さである。妹をムッチリ誘惑体型にしてはいけないし、困った時は兄に頼る或いは甲斐甲斐しく世話をする可愛さを全面に押し出さなくてはならない。そして幼い頃から「お兄ちゃんと結婚する」などと言う一途さを兼ね備えなくてはならない。これが簡単なようで難しいのであって、普段からヤるヤられるのエロ漫画に日常茶飯事的に接する俺や諸君のようなディープなオタクにはそのようなライトな描写では歯止めが効かないのである。ストーリー展開上妹が乳や尻を使って兄の気を引こうとしてもその行為が「妹」の持つ清純さを失わせるものであってはならないのであって、その点長年に渡り少年マガジンという健全誌で様々な規制に縛られながら中高生を対象とした「甘酸っぱい恋愛」を描いてきた作者は見事その描写に成功しているのである。
とにかく作者の描く絵は他の作品群とは年季が違うのであって、告白シーンやお色気シーンを見せるまでの話の転がし方というのが実に絶妙であり、「これで主人公をドキドキさせるわけだな」とわかっていてもやはり読む俺もドキドキしてしまう。その上もうこんな妹に腕組んでこられたらそりゃたまらんわいと思ってもそれが全然いやらしく感じないのである。実によい。
結局ラブコメにおける男と女のコミュニケーションというのは「エロ」と「癒し」の双方によって成り立っているわけであって、本作の場合そのどちらかに偏ることなくバランス良く共存しているのである。そしてそれは繰り返すが「BOYS BE…」という健全だが年頃の少年たちをドキドキワクワクさせる恋愛漫画を長年描いてきた作者だからこそできる名人芸なのである。実にいいものだ。
12位:木造迷宮/アサミ・マート[徳間書店:RYU COMICS]
- 作者: アサミ・マート
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/03/25
- メディア: コミック
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というわけで「世間の片隅で三文小説を書いて暮らす冴えない独身男の小汚いおっさん」の家には「可愛くて家事上手な女中」がいるのである。そんな二人の愛欲にただれた何とかとは無縁な、主従以上恋愛未満なほのぼのラブコメが本作である。好いた惚れたヤったヤられた正常位や騎乗位やと騒ぐのもいいがあまりやり過ぎると腹も一杯になってしまうのであり、こういうゆったりした作品が時々必要なのである。それに糞田舎の木造住宅で小説を書いて静かに暮らしているなんてのは理想の生活ではないか。ああ俺もそんな生活がしたい。一部上場企業のサラリーマンの何が楽しいか。全然残業なくならんやんけ今すぐ代われこの野郎(以下略)。
それにしても割烹着の和服美人がこんなにいいものだとは思わなかった(何を言っとるんだ)。俺の中に流れる原日本人の血が呼び出す懐かしき風景と最先端のラブコメ世界がガッチリと握手をした(だから何を言っとるんだ)「和風癒し系ラブコメ」の一つの到達点ではないか。柿をとったり捨て犬を見つけたり下駄の緒が切れてしまったりして二人一緒に喜んだり困ったりしてゆるやかに時間が流れる様子は非常に和みまた微笑ましい。そして普段は物静かなはずの女中が旦那が危険な目に遭うと激昂するところなど、またしてもこの言葉は使いたくないが「萌え」てしまった。ちなみに更に萌えたのは悪夢にうなされる旦那のおでこに手を当てて「ずっとここにいますから…」というシーンである。ぽっかぽかのこたつに入って思わず寝てしまう時のような快楽を感じたのは俺だけではないはずだ。いつもの俺ならば「何をカマトトぶっとるか。押し倒さんかい」と言うところだが本作についてはこれぐらいおとなしめでOKである。何度も言うがラブコメとは「平々凡々な男が主人公」というただそれだけが求められるのであり、平凡な男が主人公であれば自然と話の流れから女が出てくるのである。その女を現実ではありえない誘惑変態女として描くか、同じく現実ではありえない割烹着の和服美人として描くかが最大のポイントであり、割烹着和服美人の静けさと作品世界観全体の静けさを見事に一体化させた魅力ある本作がこのような順位となったのは道理である。しかしこの1巻で完結なのだろうか。是非続けてほしいものだ。
11位:School Days/酒月ほまれ・オーバーフロー[角川グループパブリッシング:角川コミック・エース]
School days 2 (角川コミックス・エース 178-2)
- 作者: オーバーフロー,酒月ほまれ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/11
- メディア: コミック
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主人公は毎朝電車で見かける同じ高校の女に一目惚れし、以後その女(言葉)を遠くから見つめる日々を送っていたのだがその想いを同じクラスでいつもつるんでいる女(世界)に知られたからさあ大変、世界が言葉と主人公の仲を取り持ってくれるというので告白したらあっさりOKで麗しき交際がスタートするのだが諸君も薄々わかっている通り世界もまた主人公の事が好きだったのでいや確かにその気持ちは嬉しいが俺には言葉がおるからなあ「本当の恋人じゃなくていいのっ。そばにいさせてっ」おやそんなに言うならまあええがなええがな、結局それが言葉にばれても「でも私、負けません」とか言うてハーレムになりましたで終わるんやろという俺のラブコメ脳は最後に崖から突き落とされるのであります。
しかし期待外れだったのが二つあって、一つは「主人公が二股発覚→女二人が醜く争う」という展開がなかったことである。主人公は言葉と付き合いながら世界へと心が傾くのであるが、言葉にそれは隠すのである。別に二人とも洗脳してハーレムにしろとは言わぬがそれでは「女二人に言い寄られている」という快楽より「どっちつかずの宙ぶらりん」という罪悪感の方が優先されてしまうのであって、それはそれでいいがやはり「友達だと思って信じてたのに…。ゆ、ゆ、許さないっ」とか何とか言ってそれで女の業を剥き出しにした闘争の果てに殺害、というのが修羅場を楽しむ上で一番理想的だと思うのだがその基本的なパターンを踏襲しないものだから結末での殺害シーンが唐突に感じられてあまり楽しめなかった。
もう一つは画力自体がこの狂気の物語に耐えうるものではなかったということである。人物が典型的・平均的な萌え絵であり、狂気の結末に匹敵するほどの絵ではないものだから慄然さが全然伝わらなかった。いくら俺が「ラブコメなら何でもいい」とは言えやはりこちらも自腹を切って買っているのだから評価は常にシビアである。
しかしこの二股状況は読んでいて非常に楽しかった。夏祭りに言葉とデートを楽しむ主人公だがそこに世界が乱入、言葉と手をつないで花火を見上げているとその反対の手には世界の手がさっと忍び寄る、試着室に言葉と世界が入り、その隙を盗んで主人公の頬にキスをする世界、と実にええがなええがなぬわははは。これこそ二股の醍醐味というやつで、いやあモテる男は困りますなあ。ということにしておこう。