2008夏

 であるからしてお前はこれからの残り少ない少ない人生で何を望むかと言われても困るわけだが、とりあえず健康な身体とそれなりのお金さえあれば十分であって、別に東京にこだわる気は全くないのである。しかしまあ東京にいる以上は東京人としての旨みをたっぷり堪能してやろうということで今日も自転車に乗って永田町神保町そしてあの秋葉原へ行くのである。かれこれ3ヶ月ぶりでありこの3ヶ月というものの「春の大海戦」をはじめとする種々の大トラブルに巻き込まれ生きた心地がしなかったが最近ようやく落ち着き出したので今日はまた大いにハメを外そうではないか。
 というわけで銀座を抜けて一路永田町日本の中枢へ殴りこむわけである。写真は参議院であります。

 問責決議案は可決され、参議院はもはや福田首相を認めないという宣戦布告を行ったのである。対する衆議院は信任決議案を可決し、これはもう自民党民主党の我慢比べ勝負である。どちらが敵と世論の抗議にじっと耐えられるかという我慢大会であり、「解散しない」権を持つ福田首相が野党の攻撃やマスコミの批判に耐えかねて解散を強行した時にこそ一気に勝負は決まるであろう。今、永田町を覆っている奇妙な静けさは、結局のところ福田がいつ解散するのかを政界の住人が固唾を飲んで注視しているからに尽きるのである。何という不気味な静けさか。ワクワクするなあ。
 と、まあそんなことを考えながら国立国会図書館に着きます。毎度のことながら写真は外から撮ったものです。

 まあ別に俺はね、テロリストに建物の内部構造を教えるつもりで写真を撮りたいわけじゃないしさ、盗撮のために撮りたいわけでもなくてね、俺そっちの趣味はないからさ、ただ俺は東京で国会図書館に行きましたその証拠にほら写真がありますよと記念に2、3枚撮れたらそれでいいわけなんだけどね。こちとらいつ東京を離れるのかわからんのだからさ。暇な国家公務員が何や言ってきて阿呆くさいことになるからもう面倒くさいんで中の写真をのせることはせんけどよ。まあ撮るには撮ったからねうわははははははははははは。はは。
 で、新館の喫茶室でカレーライス(ミニサラダ付)とコーラ(180円!)を食べていると俺の前のテーブルに50代前半の大学教授と教え子と思われる女が座っていて、その大学教授がでかい声でやたらと喋っているわけである。しかし何を言っているのかよくわからず断片的に「よく利用して」「難しい問題は」「かなり調査したけど」と聞き取れるのだがそれに女の方は大げさに頷いているのである。これはあれか教授と教え子が不倫の関係にあるとかそういうことかとも思ったがそこでカレーを平らげてしまったので、ええとお前はいつもそんなしょうもないことを考えとるのかと呆れるのはわかるがまあいいじゃないですか。本人はわりと楽しんでるんで。
 新聞資料室で昔の新聞を読んで(今日は93年8月の、ちょうど細川政権誕生前後の経過を読んだ)、その後新館の奥にあるフカフカのソファーで読書をするが大抵の場合眠ってしまって16時になるといういつものパターンは今日も踏襲されました。いや俺だけじゃなくて他の人も寝てるということはこれは俺が阿呆とかいう問題ではなくソファーの問題なのである。
 国会図書館から最高裁判所の方へ出ると社民党本部があるが、16時過ぎにそこを通ると50人ぐらいが入口から出てきていて、ほほうこれが左翼系市民派の人たちかと思わずじっと見てしまうのである。いやまあ俺はあなた達のことそんなに嫌いじゃないけどね。少数派は少数派で大事にしましょうというのが俺のスタンスだからね。それに社民党が騒いだところでもう政局・政策に何の影響もないからねえ。そういう少数派の人たちの意見発表の場として社民党は細々とやっていくだけだろうねえ。
 皇居をぐるっと回って東京FMや大英帝国大使館の中を通り抜けて靖国神社で右翼にドロップキックをかましてあっという間に神保町であります。今日はいつもより人が多いような気がするが、それは俺が来るという噂が流れたからだということにしよう。本当にもう、お前はいつもそういう誇大妄想をして一人で愉しんでいるのかと言われたらまあその通りですと答えるしかないですな。
 小宮山書店のガレッジの方で相変わらず100円の文庫本コーナーのみ物色する。ハードカバーの、「1〜3冊で500円」の方には見向きもしない。うーん、そろそろ俺も「ハードカバー嫌いの文庫びいき」をやめた方がいいのかねえ。しかし100円で売っている本があるのにわざわざ500円を出してしかも文庫より場所も取ってかさばるハードカバーを買うというのがどうもよくわからんのだ。まあ貧乏苦学生だったらそれでいいんだろうけどね、そろそろ余裕のある大人になってもいいんじゃないのと思いながらも100円の文庫本を買う。まあ反骨心というやつですよこれは。


 で、次はブックス@ワンダーである(写真)。もうそろそろ「ブックス@ワンダーでは新書を買わなければならない」というわけのわからん限定はやめようやめようそうしようと俺は叫ぶが俺が「いや何らかの縛りがないと。例えば俳句は五・七・五という決まりがあるから面白いんであって、無制限に何でも買ってもいいってなったらあれも欲しいこれも欲しいで結局わけがわからなくなるよ」と言うので俺は今日も新書を買うわけである。315円。あれ新書やなくて普通の文庫やったら210円ですんだんとちゃうんか。そこまでしてお前は新書にこだわるんかと俺が喚くが知らん知らん。 続く古書モールこそが100円のみとか新書のみとかいう縛りのない、自由に何でも買うことができるところである。ここでこそ俺の購入戦線の華であり、エレベーターで5階に着いたら店員が台車を押しながら俺を突き飛ばそうとするのを難なく避けて買うわけである。250円。「BOOKOFF等大型古本屋で売られてないような本」ではないですな。下手したら105円で売ってるかもしれん。まあでもしゃあないですわな。そら500円とか1000円出したら珍しい本も買えるでしょうけどな。そんなもんできまへんって。
開戦前夜 (文春文庫)

開戦前夜 (文春文庫)

 そして俺は秋葉原に行くのである。あの無差別殺傷事件が思い起こされ、いささか足がすくんでしまう。あの日あの時間あの場所に俺がいても全く不思議はないのだ。俺が殺される可能性は十分にあったのだ。つい1週間前に惨劇の場所となったところへ行く必要もないのだが、永田町神保町と行って秋葉原だけ行かないのも変である。少しの恐怖と少しの嫌悪を感じながらいつものように俺は秋葉原に着いた。いつものように土曜日の18時過ぎである。

 いつもと何ら変わることのない秋葉原である。もっと警察がたくさんいて物々しい雰囲気になっているかと思ったが警察の姿は全く見えない。全くあんな事件などなかったような錯覚さえしてくる。いつもの場所に自転車を止め、俺はメロンブックスへと入った。月の真ん中の一番新刊ラッシュの少ない時期だけに大したものはない。成年コミックにしても大したものはないが、なに駄目なら「ポプリクラブ」を買えばいいだけである。

 さてここから「とらのあな」に行くわけであるが、ということはまさにあの犯人が車で突っ込んだというソフマップ付近の交差点をいやでも見なければならないのである。というよりも、そちらを見てしまう。そしてそこにはテントが用意され、亡くなった方の冥福を祈ってであろう、おびただしい数の花束と飲み物が供えられてあった(写真)。ああ、やはりここであの惨劇が起こったのだ。もはや積みあがるようにして置かれてある何百という花束は人の命が失われたということを如実に表していた。圧倒的な事実を前に俺は足を止めた。俺と同じく足を止め、或いは合掌している人もいる。「死はいかなる場合も理不尽である」と思い続けてきた俺とて通り魔に襲われて死にたくはない。しかし実際に殺された人はいるのである。積み上げられた花束の足元には無数のジュースやお茶のペットボトルが置かれていて、これほど悲しい光景というのは見た事がない。時間にして十秒ほどであろうが、俺は合掌もせずただ立っていることしかできなかった。
 極めて不可解なことだがそんなこの世のものとは思えない光景を見たあとで俺は「とらのあな」へ行き、いつものようにエロ漫画を買ったのである。結局俺はこの糞のような人生を生きるしかないということか。「ポプリクラブ」でも買おうと思ったが、買ったのはこちら。945円。はて成年コミックと言えるかどうか…。
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 えーと、ここまで書くのに2時間かかってます。ああ土曜の夜という貴重な時間に俺は何をしているんだと考えるのが好きだったりしますが、次に行くのは秋葉原の救世主の呼び声も高いBOOKOFF秋葉原駅前店である。

 まあ2Fから6Fまであってなるほど都内最大級かと思ってしまうが、それぞれの階はそれほど広いわけではないから西五反田店や中目黒店と変わらんのではないかな。しかし何せ秋葉原という人も本屋も潤沢なところにデーンと店を構えるわけであるから品揃えもかなり期待はできよう。お手並み拝見と本棚を舐めるようにして見渡すとこれがあった。いいねえ。
うちの妻ってどうでしょう? 1 (1) (アクションコミックス)

うちの妻ってどうでしょう? 1 (1) (アクションコミックス)

 えー、ここまで書いて風呂に入ってきましたからもう2時間半が過ぎようとしていますね。どうですか皆さんやっぱりダラダラとして読みにくいですか。いや俺が醜いってことは言わんでもわかってますからいいですけどね。エスカレーターに乗ってふと横を見たら鏡に映った自分の腹が見事に出ていてああこりゃ完璧なメタボリックだ参ったなと思ったりしてこれでは新宿に女を連れて歩くなんてことはできねえなあなんていやまあ所詮二次元じゃ風俗じゃって言っても女をはべらしたい欲望というのはこれはもう男性共通のアレでしてね。などと書いておるからもうすぐ3時間になるではないかっ。それからいつものように神田や三越前を通って日本橋交差点を左折して永代橋を通って門前仲町、いつものフィリピン人とインド人のいる中華料理屋でラーメン半チャーハンセットを食って目指すはBOOKOFF江東門前仲町店。

 上の写真はもはや見飽きた感のあるBOOKOFF江東門前仲町店である(逆光で何のこっちゃわからんな)。そしていつの間にかCDの棚と105円コミックの棚が入れ替わっておったが買ったのはこちら。日本ラブコメ大賞2008の、うーんと微妙なところですなあ。
おまもりひまり 2 (角川コミックス ドラゴンJr. 101-2)

おまもりひまり 2 (角川コミックス ドラゴンJr. 101-2)

 というわけでいつものように尻切れトンボの如く今日も終わります。次回までごきげんよう