御石神落とし⑥/永久保貴一・増田剛[白泉社:JETS COMICS]

 さて本作に関しては以前に書いた通りである(http://d.hatena.ne.jp/tarimo/20070203#p1)が、繰り返せば「女がヤらないではいられない」という日本古来の性器の神にとり憑かれたうらやましい、ではなかった不運な青年とそれ故のラブコメと昔の日本の性風俗に関する薀蓄が織り成す大変微笑ましい作品であって、こういう肩の力を抜いて読めるがなかなか馬鹿にできない本(武器)をどれだけ多く持てるかがラブコメ野郎の腕の見せ所であり俺は本作品を大変重宝しております。
 ただし本巻ではヤらないではいられない脅威の誘惑材である御石神様が出てこないのでその点不満もあるが、代わりに明治初期の農村の性風俗をたっぷり味わうことができたのでこれはこれで満足である。そもそも本作は明治以前の性風俗の面白さを現代の一青年をもって体現させるという話づくりであるから派手さはないが、さりとて退屈するわけではなく現代と昔を対比させながらそこはかとなくラブコメもあるという点でなかなか良作なのでありこのことはもっと強調されていいはずである。第一あんなキチガイ一歩手前の阿呆な勧善懲悪危険思想を振り回す女が暴れまわるだけのくされ漫画よりこっちの方が百倍ええわい。
 まあそれにしても俺もラブコメや政治だけでなくこういう性風俗などの民俗学にも手を出したいが、いかんせんそこまで手が回らないですな。