SFアドベンチャー1984年1月号[徳間書店]

 そんなわけでやってきました現実地獄三丁目五番地糞たわけ。7月28日の五反田の風俗店(ヘルスだよソープはないからねあそこには)ではなく遊古会で買った本書はその名の通りSF雑誌である。やはりこの頃のSF雑誌を見ているとほとばしるパワーが感じられる(もっとも当時はSF冬の時代と言われていたが)。今のSFマガジンや名前は忘れたが徳間書店から出ているSF雑誌を手にとって見る気にもならないのは星・小松・筒井ほどではないにしろ読者に衝撃を与えるようなストーリーテラーがいないからであって、これは何もSFに限ったことではなくミステリーや純文学にも言えることであるから俺も最近はノンフィクションを好んで読むようになった。もうかなり長く続いている新書ブームの原因はそこじゃないのかね。
 どういうわけかミステリーは海外のものをよく読むがSFは国内のものをよく読むのでそうなるとSFアドベンチャーは格好の風俗嬢である。長編短編エッセイ何でもござれでその時代の空気や風潮を1冊に濃縮しているのが雑誌であり今や完全に浸透し拡散したSFがこれほど濃く1冊にまとまっていては俺などすぐ酔っ払ってしまう。横田順彌の駄洒落にひっかけたユーモアSFや眉村卓不定エスパー」のようなロマン溢れるスペオペは特に俺の好むところだがこういうのは最近ないよなあ。物理学や生物学を駆使したハードSFもいいがやはりワクワクドキドキする興奮がほしいわけですよ。風俗に行く時みたいに。