Ⅴ 荒野の変態


 というわけで日本ラブコメ大賞成年部門の発表である。成年部門というのはつまり俺の主観が恐ろしく如実に反映されるというか性癖を暴露されるというかとにかく大変恥ずかしいものであるからして一般部門のように真面目に語るのも気が引けるのでここは勢いだけでいってみようではないか。ちなみに俺が好むエロというのは何度も言うように女性がそれはもう盲目的に男を愛し男はその愛にあぐらをかいて快楽を貪りでも女はいつまでもそんな男を盲目的に絶対的に愛するというやつで、ええととにかく俺がラブコメだ。うわははははははは。
     
第15位 まままま/さかき傘[キルタイムコミュニケーション二次元ドリーム文庫

 盲目的に愛す、ということで手っ取り早いのは母性本能である。本作は母性過剰症云々でとにかくまあ都合よく快楽の世界が待っているのである。主人公がナヨナヨし過ぎでちと気に入らぬが学校では氷のように冷たい美人教師が主人公の前では従順なママ奴隷(うわ言ってもうた)となるところはいいですな。これは本当にいいもんですな。そうですな。
  
第14位 神明 御先祖賛江/梶島正樹・西木史郎[オークス:OKS COMIX]

 ああ懐かしいな。本作は6年前のアダルトアニメ作品のコミック版であって、どうして6年も経って出版されたのかわからんが実は俺がはじめて買ったアダルトアニメが本作なのである。その時俺は、ああ高校三年生。まだ三宮に行くのが怖かったあの頃、まるで犯罪を犯すような恐ろしきタブーの扉を開けるようにして三宮駅高架下の中古ビデオ屋で本作を買った俺をつい昨日の事のように思い出せるがそれももう6年も昔の話。あの頃も現在も病気に震えおののく俺。何ということだ何も変わっとらんではないか。本当にもう俺という人間はどうしようもないな。なに。本作の内容が知りたいと。知るかそんなもん自分で読め。
   
第13位 はれ☆ゆき/島本晴海。ワニマガジン社

 本作は3月19日にはじめてまんだらけ中野店に行ったときに購入されたものである。駅からしばらく歩く風景といい店内の光景といいかつて俺が支配していた大阪・梅田のまんだらけそっくりで俺は随喜の涙を小便した(意味不明)。大体俺はいつも梅田梅田と豪語しているが梅田といえばまんだらけ梅田店の思い出しかないのである。就職活動中毎日のように梅田経由で本町や谷町に行っていたがやはり梅田駅または十三駅というのは「まんだらけへの道中」というイメージしかない。で、本作であるがラブラブエッチでオーケーオーケー。そう言えば俺がはじめて読んだエロ雑誌は快楽天である。
 
第12位 艶の情景/ゆうきともか富士美出版:富士美コミックス]

 作者は今は亡き和姦雑誌「ファンタジイカクテル」の常連である。同じく常連であった田中ユタカほどではないにしろその安定感(鬼畜凌辱ホモレズサドマゾは一切なし)は抜群であるが何の冗談か本作にはレズものが一本は入っているので12位となった。作者の一貫した和姦純愛ラブコメ志向そして俺との長い付き合いから考えて編集サイドから無理やり作らされたと考えるのが妥当であろう。何ということか。やはり俺が音頭を取ってホモレズ排斥運動せねばなるまいか。まだまだ俺の戦いは終わらんのだ。
 
第11位 いぢめないでね/みやもとゆう晋遊舎晋遊舎コミックス]

 んな事を言われてもそんな気持ちよさそうにされたらついいじめてしまうではないか。ぬわはははははははははははははは。作者は女でありながら男の俺をそそらせるなかなか作りこんだ(俺の性的嗜好にあった)和姦を描いており大変よろしい。いじわるされると感じるなどと言ったらちょいサドである俺はどうなるかわからんぞ。いじめても存分に愛してくれる女性。何とまあ母性本能旺盛な女性か。素晴らしいぞうわははははははははははははははは。
  
第10位 放課後まで待てない/成田香車コアマガジンメガストアコミックス]

 本書は、バリバリのハードロックとでも言おうか。ぬるいゆるい甘い俺のラブコメ世界で一番激しい部類に分類されるのは間違いない。とにかくその性描写が濃くエグイのである。確かにこの方が一時の劣情はそそられるかもしれぬが俺の目的はラブコメにあるのでそんなことはどうでもよく、和姦の雰囲気を醸しながら黒いアレと黒いアレがレスリングするのが俺にとって大変珍しくまた非常に参考になるのである。参考になるというのはつまりその、オカズになるということですね。実にそうですね。ほら見ろやっぱり劣情じゃないかだと。失礼な。劣情は五反田のヘルスで処理しておるわ。いや違う違う今のなし忘れてくれ。
 
第9位 おいしいシスターズ/しいら・さら[蒼竜社:プラザCOMIX]

 うへえ小さい。こちらも「ファンタジイカクテル」常連の作者によるものであり大変おいしい作品である。これでもかと繰り広げられる甘き愛の交歓に血湧き肉踊る俺と夢。しかしながら本書を購入した2月19日といえば営業部の仕事が完全に行き詰まりこれでもし事務部への異動が先延ばしになったら(異動の話は1月ぐらいから内々示が出ていた)どうしようと不安に震えていた頃であり、本書はその甘い愛と苦い当時の俺の状況がミックスされた忘れられない一冊なのである。
  
第8位 となりのとなりのお姉さん/艶々・みなみかゆう[双葉社:ACTION COMICS]

 本書は双葉社の成年マークのついてない一般コミックだが、内容からしてどう考えても成年部門だろうと判断した。棚ボタ式・ご都合主義的・もてない男の妄想などなど何を言われても構わぬがまあそんな感じで両隣りのお姉さんと関係を持つのは平凡な大学生。やはりこういうありえない妄想の世界にどっぷりと漬かるのが俺の真髄。前年12月30日に実家へ帰る途中寄った三宮のエンジョイスペースギルドで買った本書は実家に帰る喜びと快楽まみれの悦びを与えてくれるのである。
 
第7位 DUAL GIRLS/Lapis Lazuli[晋遊社:晋遊舎コミックス]

 作者は去年の日本ラブコメ大賞にも13位でランクインしており、今や立派な常連と言える。やはり男が考える「都合のいい女」は男に描かせるのが一番であって、積極的にアレに導いてくれる女には脱帽である。万事こうでなくてはな。そうだやはり女の方から積極的に出てもらわないといかんよ。何で自分から合コンに行って一生懸命話さないといかんのだアピールしないといかんのだおかしいぞお前ら。は。おかしいのは俺だと。うわははははははははははははは今すぐここから出て行けさもなくば死ねいや俺が殺すうわはははははははは。
 
第6位 十人吐色/問合来人竹書房:BAMBOO COMICS]

 さて本書も成年マークのついていない一般コミックであるが成年部門で登場である。いやもうこの絵柄はエロ以外の何物でもないと思うのだがなぜこれが小学生でも買えるのだろうか。9月19日にBOOKOFF代々木駅北口店(近くに日本共産党本部と代々木アニメーション学院があった)で購入された本書は男と女(ムチムチ巨乳)が初対面なのになぜかアレをやるのだがそれにはちゃんと理由があり(出会った瞬間にお互い好き合うのである)ので問題はない。出会ってすぐアレをしてしかも心も結ばれるというこの完璧主義こそラブコメの特徴なのである。諸君が呆れるのも無理はない俺も呆れてしまった。なにはともあれラブコメ万歳。
       
第5位 リビング・デート/佐藤茶菓子マイウェイ出版:MWコミックス]

 さて佐藤茶菓子と言えば「ほ〜むめいどしすた〜ず」という作品が2002年度日本ラブコメ大賞成年部門の2位でありその印象から本作を成年部門に認定してしまったが、むしろ一般部門にノミネートすべきだったのではないかと思わないでもない。例によって棚ボタ的に気持ちよくアレをするのであるが、それよりも作者の描く性描写は実に清潔でさわやかであり、この清潔感は克・亜樹に次ぐほどのものである。やはり二次元なのだから極力生々しい感覚を忘れ去らせてくれるのがよい。とは言え生々しい感覚もまた劣情には必要不可欠なのだが、いや劣情劣情うるさいわいぬわはははははははははははははははははははははは。
 
第4位 キスキス〜彼女は妹ウエイトレス!/青橋由高フランス書院フランス書院美少女文庫

 さて今やすっかり違和感なくオタク業界に溶け込んだフランス書院美少女文庫であるが、本作のようにきっちりと作り込まれた作品はフランス書院と言えど珍しいのではないか。作り込まれたと言ってもそれは劣情を(しつこいな)書き立てるスパイスでしかないのだがとにかく義理の妹2人と兄がアレをするのである。この義理の妹2人の兄への想いがハンパではなく(そこらへんがまたねちっこくいやらしく描かれているのだ)、読んでいて実に気持ちがいい。女が男に惚れている、ということはもうその女の支配権を握ったということでありこんなに愉快なことはないのだ。なるほど確かに俺は鬼畜だ。
 
第3位 The Hard Core/加賀美ふみお[平和出版:PEACE COMICS]

 うわもう3位か。ずいぶんと早いな。ハードコアって言っても作者が作者であるから安心して読める。しかしこんなに可愛い絵柄だとなかなか劣情も起きぬが(しつこいって)とにかくその愛の溢れっぷりには太鼓判である。こういうのを一般コミックとしてどんどん売るべきですよ。積極的な女もいいが本書のようにひたすら従順な女というのも大変いいものだ。にもかかわらず男がエロ本を持っていると嫉妬してしまうところが萌えではないか。うわこの俺が「萌え」などと言ってどうする。劣情じゃ劣情。ぬわはははははははははははは。
 
第2位 ラブシチュエーション/田中ユタカ松文館:ダイナコミックス]

 さあ来ました田中御大。日本で唯一、俺と双璧をなす資格のある作者の力作である。本書は復刻版であり絵柄も未熟だがその和姦にかける情熱は十分感じることができ、涙。俺がラブコメ業界に殴り込みをかける遥か昔から一人このような作品を作り続けてきた作者には賞賛の嵐である。しかし、ああ、こんな女が現実にはいないんだろうなあ。ところであの松文館ということで成年部門で紹介したが、本書は一般扱いなのだろうか。松文館でさえこれなのだから、今の子供たちはエロ本買い放題ということか。悔しいから何度でも言うがうらやましいなあ俺の時はこんなのなかったぞ。
   
第1位 ポプリクラブ[晋遊舎

 はいそのようなわけで1位の発表である。今年の日本ラブコメ大賞成年部門1位、異例中の異例ではあるが雑誌そのものに贈られることになった。この雑誌は収録されている作品のほとんどが和姦という、俺にとっては「第二のファンタジイカクテル」である。大学時代「ファンタジイカクテル」という安定的な和姦雑誌を確保し安心できた(世に氾濫する鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾから逃げることができた)ように、本雑誌を心の友とすることで心の平安を保とうという悪あがき…うわ何を言うのだ。とにかくそういう常に安心できるものを用意しておくことを怠らないのが俺なのである。なにを自慢しておるのだ。
 8月からはじまった「裏東京毒探偵突撃古本屋」により秋葉原に行くのは月に一回となり、その月に一回訪れるサラ本屋で買うのはポプリクラブなのである。それほど価値があるのだ。そう言えば2001年の第一次大病戦争末期もやはり毎月「ファンタジイカクテル」もしくは「オレンジクラブ」を買っていたではないか。歴史は繰り返すのだ(誰だ進歩がないという奴は)。やはり和姦を求める人々はいるということであり、ああ良かった誠に良かった。後は何とかして絶対的少数派である和姦純愛を広めていかなければ、また「ファンタジイカクテル」のように廃刊してしまいますぞ諸君。ラブコメと和姦の火を消してはならん、俺は死んではならんのだ。
 
 と、いうわけで日本ラブコメ大賞を終わり俺にとっての2006年が終わります。2006年という大激動の年を本書と共に振り返りながらごきげんよう。良いお年を。