ラブ・らっきぃ(1)/克・亜樹講談社ヤンマガKC]


アイドルである女と、平凡にして不幸な男が恋をしてラブコメ騒動を展開させるというこの筆者お得意のストーリーである。しかしこのようなストーリーを堂々とヤンマガに書けるのだから大したものだ。主人公の情けなさ、というより不幸加減が既に1ページ目から始まっている(美人局に遭う)のも素晴らしい。そのように主人公の不幸さを最初に強調しておいて何とそんな奴がアイドルと結婚する、となればこれはもう筆者のパターンにハマッているのである。現実の芸能人というのはよくわからないが、どうせ日夜乱交パーティーに明け暮れているのだろうが、とにかく作中のヒロインたるアイドル女の純粋さや一途さや慎ましやかさが完全に男の理想を、というよりは俺の理想に合致しているのでこれも大変よろしい。更にまた主人公たる男が「みんなに希望を与えてくれるアイドル」であるヒロインを自分のものにしてもいいのかいややはり今日もどこかで僕のような駄目男を癒してくれるこんな女を僕だけのものにしては駄目だと思うあたりなどは平均的な小市民性を醸し出していていいのではないかな。えっ。ただの意気地なしではないかと。おおそれならなおいいではないか。それにしても克・亜樹は「ラブコメ」ではなく「ハッピー・ラブコメ」の名手であったのか。どっちも捨て難いな。
      

ミステリー・イウ゛(1)/松本零士朝日ソノラマ


これは俺のラブコメ人生即ち「オールナイトラブコメパーカー」史上大変重要な作品である。どれくらい重要かというとこの本を買って以降俺は「そうか、男つまり俺に都合の良い女こそが俺に必要だったのだ。そしてそれを求めることは恥ずかしいことではないのだなぜなら俺にとってはそれこそが快楽なのだから」と誇りを持って思えるようになったからである。そんなことで誇りを持つのもアレだが、ともかくこれを梅田の本屋で買ったのが2001年の6月であり大学一年の夏であり、これにより以後の俺の青春の方針が決定したのである。とにかくこれでもかというぐらいご都合主義の作品であって、ある日失業中の平凡な男が山か森かで動物狩りをしていると宇宙人と名乗る美女がいたのでまあ困ってるようだからしゃあない助けてやろうと思って女の言うとおり進んでいけばあらびっくり本当に宇宙船がうわ何これアメザイクみたいにグニャグニャそんでまた女がわけわからんこと言うとるわもう知らん動物用の猟銃で宇宙船かなんか知らんものをはいどっかあんあはは夢だ夢帰ろう帰ろうさあ家に着いたうわあお前なに人の部屋に入ってんだえ帰るところがないだっていや俺失業してるんだよ困ったなあというのである。その後もヒロインの昔の恋人が出たりするがあっさりその女が殺したり主人公の頭脳は本人が知らない間にいつのまにか超人並みになっていたり宇宙からその女を追って刺客がやってくるが(何せ地球人たる主人公とくっついてしまったので)そいつらの身体というのがアメザイクのように簡単に破れるからつまり簡単に殺すことができるという展開が延々と続く。しかし一番重要なのは話の最後には必ず主人公たる男とヒロインたる女のベッドシーンで終わるということで、その後味のよさにまさしくぐっすり眠れるわけで精神衛生上大変よいと言わねばならない。こんなことを書いていいのかな。
       

おとぎストーリー 天使のしっぽ(1)/長谷川光司ワンダーファーム[GAKKEN:ノーラコミックス]


初めて俺がこの漫画というかアニメというかとにかくこの「12人の女たちが、報われぬ主人公の下へ」という世界観に触れたとき一番最初に感じたのは「シスプリの二番煎じだ」ということであったが、あちらの方の主人公たる男がひたすら「かっこいいお兄ちゃん」であるのに対しこちらの方は「未だに就職先の決まってない苦労人」であり、それはやはりこちらの方がいいに決まっている。だが主人公を助ける12人の守護天使たちがそれぞれ金魚だのカエルだのヘビだのが転生したというのではいくら俺が重度の二次元患者でもあまり楽しめない。だがこの作品にしろシスプリにしろ大事な点は作中のヒロイン、といっても10人以上いるが、その女たちというのが主人公たる男に極めて忠実であるということだ。いわゆる「口では主人公を嫌い嫌いと罵っても内心は気になっている」などという厄介なヒロインは出てこないのであり、この点は「オールナイトラブコメパーカー」を語る上で大変重要なことであります。確かに我が「オールナイトラブコメパーカー」リストにはあの恐るべきマゾ漫画である「らぶヒナ」も載っているが、あれはまだ俺が世間一般のいう「ラブコメ」に唯々諾々と従っていたからそう認定してしまったのであって、つまり若気の至りなのである。大体どうして読み手の俺が主に感情移入するはずの主人公があのように作中に登場する女性陣に冷たくあしらわれるのだどうして10巻以上の長きに渡ってあのような腹の立つ女の暴力に耐えねばならんのだなにそれはお前の被害妄想だとそれがどうした俺の感じ方考え方にどうしてお前がしゃしゃり出てくるのだ俺の人生においては俺が神なのだうわははははははははははははははははははははは。少し取り乱したがとにかくこの「天使のしっぽ」も良作なラブコメであることは確かだ。今日はこれぐらいで終わろう(収拾がつかぬ)。