脱走と追跡の読書遍歴1001
さて中間小説誌と言えばオール読物か小説新潮か小説現代か、であるが、それぞれの出版社、文藝春秋、新潮社、講談社のうち俺としては何となく講談社の方が性に合っている気がする。講談社には昔から勢いのまま「やってしまえ」的な感覚が結構感じられるから…
派閥 (ちくま新書) 作者:永森誠一 筑摩書房 Amazon もちろん派閥は政治だけのものではない。例えば会社にも「社長派」「副社長派」というものがあろうし、大学にも学閥(「東大閥」「京大閥」「早稲田閥」「慶応閥」)というものがあろう。人はその数が増え…
新潮現代文学 (35)点と線・渡された場面・火の記憶・張込み・一年半待て・証言・天城越え・凶器 作者:松本 清張 新潮社 Amazon 今更「点と線」だの「張込み」だの、超有名な作品を読んでもしょうがないというか、松本清張と言えばメジャー中のメジャーなので…
下戸列伝 (集英社文庫) 作者:鈴木 眞哉 発売日: 2000/06/20 メディア: 文庫 この世に酒というものがある限り、トラブルは尽きる事がない。酒を飲み酒に酔う事で人々は泣き、喚き、怒り、憎しみを他人にぶつけ、ぶつけられた他人もまたやり返す。ああ、なぜ人…
闇の流れ 矢野絢也メモ (講談社+α文庫) 作者:矢野絢也 発売日: 2014/01/10 メディア: Kindle版 本書は五十五年体制下の政治の物語であるが、では五十五年体制下の政治とは何か。一つは自民党が常に政権を握り続け、自民党総裁=内閣総理大臣は自民党の紅白…
決断するペシミスト わが上司 後藤田正晴 (文春文庫) 作者:佐々 淳行 発売日: 2002/06/07 メディア: 文庫 世界に冠たる大日本帝国のエリートと言えば内務省官僚である。彼らは「護民官」として、視野狭窄に陥った軍人やその場限りの選挙対策に血眼になる政治…
評伝 筒井康隆 作者:八橋 一郎 メディア: 単行本 高校2年の頃だ。今も俺を巣食う耳の病気を抱え、また進学への不安を抱え(貧乏なので学費の高い私立大学には行けない)、そのぐらいの年齢にはよくある事だが将来に絶望し小説を読むようになった。当時の小…
64万人の魂 兵庫知事選記 作者:勝谷 誠彦 発売日: 2017/08/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) 果たして本当に知事になる気があったのだろうか。 知事は大変な権力を持っている。行政の全ての事柄が国政または中央省庁で決まるわけではないから、都道府県…
大日本帝国の民主主義 作者:潤治, 坂野,総一朗, 田原 発売日: 2006/03/31 メディア: 単行本 大日本帝国にも民主主義はあった? あったに決まっとるだろう。何で大日本帝国議会ができたんだ普通選挙を採用したのだ。民主主義があったからだ。昭和20年までに…
日本政治の決算 (講談社現代新書) 作者:早野 透 発売日: 2003/12/21 メディア: 新書 2003年。「自民党をぶっ壊す」と言いながら自民党総裁となった小泉は自民党政治、日本政治、いや日本そのものを変えつつあった。軽武装経済重点主義、政・官・業の癒着…
それでも田中角栄は不滅である 作者:内海 賢二 メディア: ハードカバー さて皆さんもお気付きの通り俺は親・田中角栄、田中シンパである。なので田中角栄と名のつく本はついつい買って読んでしまう。とは言えあからさまに田中礼賛本ばかり読んでいると飽きて…
本のリストの本 作者:南陀楼 綾繁,書物蔵,鈴木 潤,林 哲夫,正木 香子 発売日: 2020/08/27 メディア: 単行本 生活や仕事で必要となる以上の本を読む人、いわゆる「度を越した読書家」「本の虫」「書痴」等々、言い方は色々あるが、そういう種類の人が世の中に…
レファレンスと図書館 ある図書館司書の日記 作者:大串 夏身 発売日: 2019/11/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) 何度か書いたが高校生の頃は司書になりたかった。なぜかと言うと図書館でただ本の整理だけすればいいと思ったからで、そのために大学は司書…
【中古】 性摩訶不思議 おとなの雑学 / 石浜 淳美 / 彩図社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】価格: 235 円楽天で詳細を見る そうは言っても多くの日本人にとって、セックスとは後ろめたい事である。少子化がこれだけ深刻になり、高齢化がこれだけ深…
昭和の宰相 (第1巻) 犬養毅と青年将校 作者:戸川 猪佐武 メディア: 単行本 1926年(大正15年)12月25日、大正天皇が47歳で崩御した。「大正」が終わり「昭和」が始まり、時の首相は若槻礼次郎、政権与党は憲政会である。昭和元年が6日で終わり…
やはりマニアとかオタクだけのための雑誌が世の中には必要なんである。限られた人間だけがその面白さをわかる空間というか世界というか、そういうものが必要なんである。なぜかはわかりませんがそういう狭い世界って楽しいじゃないですか。老若男女誰もが楽…
少女探偵は帝都を駆ける (講談社ノベルス) 作者:芦辺拓 発売日: 2013/11/29 メディア: Kindle版 1936年の大阪の人々は現代文化を謳歌していた。ジャズに映画にラジオに地下鉄に漫才、連載小説がひしめく娯楽雑誌、芸能スキャンダルの載る新聞、朝に妻と…
ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫) 作者: 半藤一利 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2002/08/02 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 18回 この商品を含むブログ (6件) を見る 日露戦争後の「大日本帝国」の国策は満州の発展と不可分であった。満州は大…
中国笑話集 (1978年) (講談社文庫) 作者: 駒田信二 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1978/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る さすが中国、4千年の歴史を誇り世界に冠たる大帝国を築いただけあって、ユーモアの数も規模も日本とは一味も二味も…
戸隠伝説 (1980年) (講談社文庫) 作者: 半村良 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1980/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「戸隠ってどこか知っとるかね」 「知らない」 「長野県にあってね、まあ山が多いところらしいけどね。聞いた事はあるだ…
言うまでもないことだが俺は下衆である。いや違う。小市民である。いやこれも違うな。特にこれと言って特徴のない一般大衆であります。なので有名人の噂話には当然興味がある。「○○と××が泥沼不倫」とか「△△が金と権力にモノを言わせて接待漬け」とか「※※が…
海軍よもやま物語 (1980年) 作者: 小林孝裕 出版社/メーカー: 光人社 発売日: 1980/03 メディア: ? この商品を含むブログを見る 軍人になるのであればやはり、「無敵の大日本帝国海軍」がいい。何が無敵かはさて置いて、世は軍国主義華やかなりし大日本帝国…
気弱な芸能記者 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: ケヴィンオールマン,Kevin Allman,鈴木啓子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1999/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 誰しも一度はジャーナリストになりたいと思った事があるはずだ。世の中は…
野中広務 権力の興亡 90年代の証言 作者: 五百旗頭真,伊藤元重,薬師寺克行 出版社/メーカー: 朝日新聞社 発売日: 2008/03/21 メディア: 単行本 クリック: 6回 この商品を含むブログ (7件) を見る 「政治家の自伝は難しい」と前回書いたが、では政治家のオー…
YKK秘録作者: 山崎拓出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/07/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る しかしながら政治家の自伝は難しい。俺も普通の読書家以上に政治家の自伝を読んでいる方だが、何せ政治家とは自分を正当化する、自分を有…
一老政治家の回想 (1969年)作者: 古島一雄出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1969メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る さて古島一雄という人物がいた。子どもの頃は非常に激しい性格の持ち主で学校に入っては放校されまた学校に入っては放校され…
公共図書館の冒険みすず書房Amazon 何度か書いた事だが俺は司書になって図書館で働きたかった。そのため大学はわざわざ司書資格課程のある大学を選んで、司書資格を取るために夜間入学のくせに昼の授業にも出てずいぶんと嫌な思いもした。とは言えその図書館…
罠から逃げたい (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: パーネルホール,Parnell Hall,田中一江出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2001/11メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログを見る「おいでなすったな」スタンリー・ヘイスティングズは俺の顔を見るな…
「反」読書法 (講談社現代新書)作者: 山内昌之出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/05メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る 昔は作家や学者の「読書法」「読書日記」等を読む事を意識的に避けていた。生意気なことに、若い頃(特…
協奏曲 (講談社文庫 え 1-18)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 講談社発売日: 1979/05メディア: 文庫この商品を含むブログを見る まず読む前に「この小説は中間小説である」と意識した方がよいわけだが、では「中間小説」なる言葉の意味をまず解説しなければ…