政局好色

常に「現場が優秀」な国

卑近な例を出す。「この会社の部長は役立たずばかりだ!現場のことを何にもわかっとらん!」と激怒した我が社の社長が大幅な人事異動を敢行して、工場や営業所や支店の部長・所長クラスと本社の部長クラスを入れ替えたのは1年前であった。そして1年が経っ…

「天罰」ではない

地震が起きてから1週間も経たない時に石原東京都知事が「この震災は我欲に溺れる日本人への天罰だ」と言って激しい反発を呼んだ。被災地で苦しんでいる人たちが天罰のせいで苦しんでいるとは俺は思わないが、政府や与野党やマスコミの混乱ぶりについては「…

シンプルな話

相変わらず「日本の政治はわかりにくい上にレベルが低い」「首相がコロコロと代わって情けない」「政治家は国民の声を聞かない」というそれこそ低レベルな不満ばかりを垂れ流すマスコミによって日本の政治は誤解され続けている。「首相がコロコロ代わる」に…

期待すること

「政策論争を期待する」はずのマスコミが連日連夜「政治と金」について叫び、それを後ろ盾にしたい、或いは金を集める能力もなく、選挙に強くもない、ただ耳障りのいい言葉を発するだけの人達による政権によって通常国会は既に末期症状である。毎度のことな…

参議院を忘れるな

去年の秋に書いた通り、この国は「スキャンダル狂い」の国である。マスコミも国民も血に飢えた鮫のようにスキャンダルに飛びつく。ウィキリークスがまかり間違えれば世界を混乱に陥れようとしている時に歌舞伎俳優の酒乱による事件について連日放送され、来…

官僚の敵

インターネットの発達によって新聞やテレビを介さずにニュースと接することができ、社説・論説に対しても個人ブログなどで堂々と異議を唱えることができる時代になった。そのためマスコミは人々の関心を繋ぎ止めるために、興味をそそるような刺激的で露悪的…

汚名、拭われず

検察の前代未聞の不祥事が新聞テレビ雑誌をにぎわしてもうだいぶ経つが、いまだにほとんどのマスコミが「最強の捜査機関に何が起こったのか」「巨悪を暴いてきた検察の失墜」と過去の検察が正義の味方であったかのような言い方をしているので毎度のことなが…

「クリーンな政治」の結末

「鉄のカーテン」演説によって米ソ冷戦の到来を宣言したチャーチルに、あるジャーナリストが尋ねた。「ではイギリスの仮想敵国はソ連ですね」。チャーチルは答えた。「仮想敵国?イギリス以外の国全部だよ」。このエピソードほど国際政治とは何かを端的に表…

民主党代表選挙と「スキャンダル狂い」

民主党代表選挙の結果は今現在の日本政治の実態を極めて正確に表すものだった。「政治は選挙が全てではないが、選挙には政治の全てがある」というのはなるほどその通りだと納得させられた。 蓋を開けて見れば結果は菅721ポイント・小沢491ポイントで菅…

続々・日本のゆくえ

この国では選挙をやるかやらないかという話になると必ず「選挙で政治空白を作るのは良くない」と言われる。国政選挙にしろ党首選にしろそれは国民が自らの権利を行使して政治に明確な「YES」と「NO」を示すことができる数少ない機会であり、やらないよ…

反小沢派、アメリカ、参議院

連立にせよ部分連合にせよ、参院選で過半数割れしたその時から動き出さなければ政権の求心力はなくなる。国政選挙でノーを突きつけられた政権が生き延びることなど通常なら「ノー」だからである。衆議院ではなく参議院だからという理屈は関係ない。繰り返し…

政治の本質

7月11日に行われた第22回参議院選挙の結果は実に複雑なものだった。民主党は比例区で第一党を維持したのに一人区では8勝21敗とボロ負けとなり44議席しか得られなかったが、51議席を獲得して勝った勝ったと喜んだ自民党は非改選議席を合わせると…

参議院を制する者

何度も言っているが、政治家にとって本当に大事なことは「政策」ではなく「政局に強いこと」である。理想的な「政策プラン」は官僚や学者や専門家でも作ることができるが、反対する野党や外国やマスコミや、「味方と見せかけて実は敵」を説き伏せ、アメと鞭…

もう戻れない

鳩山首相が普天間問題で迷走したことは間違いない。或いは平野官房長官が「総合調整役=官房長官」としての役割を果たさなかったことも間違いない。しかし鳩山が辞任することだけは避けた方がいいと俺は考えていた。別に現政権を支持しているからではないが…

続・日本のゆくえ

以前「選挙で選ばれた政治家」と「東大卒の勉強ができる頭の良い官僚たち」のどちらに国を統治してもらいたいかと書き、当然「選挙で選ばれた政治家」であると書いたが、それは大多数の日本人が「選挙に選ばれようが選ばれまいが、頭が良くて金に清潔でマス…

「サンデープロジェクト」の終了とインターネット政治の不安

「サンデープロジェクト」が終わるというニュースを聞いた時、にわかには信じられなかった。ニュース番組は星の数ほどあるが、サンデープロジェクトというのは「(田原総一朗が死なない限り)終わるわけがない、終わってはいけない」番組であると思っていた…

自民党への嫌悪と期待

二大政党制とは何かと言えば、「二つの政党のどちらかが国民の選択によって選ばれ、政府を運営すること」である。つまり政府(=国家)の上に政党があり、更にその上に国民がいるということであるが、繰り返し言ってきたように我が国では長い間それが逆にな…

日本のゆくえ

第二次世界大戦で活躍したイギリス首相・チャーチルは「民主主義は最悪の政治体制だ」と言い、「それでも他の政治体制よりマシだ」と言った。なぜなら国民が選んだ政治指導者がどんなに最悪なことをしてもそれは自分たちのせいであるとあきらめもつくが、選…

大日本マスコミの試練

田中角栄の秘書を務めた早坂茂三は日本のマスコミの特色を「ドロドロとした現実から目をつぶる幼児性である」と喝破したが、最近のマスコミの有様は幼児性の更に幼児性に向かっているように思われる。マスコミの仕事は権力者の悪口を書くことであるが、一方…

政治権力の研究(2)情報とマスコミ

前回、「ビデオが壊れた」と書き、「真面目に慎ましく生きている俺がどうしてこんな仕打ちを受けなければいかんのだ」と憤ったが、今度はパソコンが壊れてしまった。これにはもう自失呆然である。思えば今年は8月に眼鏡が壊れ、9月にビデオが壊れ、11月…

政治権力の研究(1)人事と組織

ビデオが壊れた。 世にも稀なる真面目なアマチュア政局評論家である俺は合コンにも行かず風俗にもちょっとしか行かず選挙特別番組やニュース番組やサンデープロジェクトをビデオ録画しては繰り返し繰り返し見るというささやかな趣味によってこの世知辛い世間…

我々は変わらなければならない

今、NHKの新閣僚記者会見を見ながらこの文章を書いているわけであるが、一連の報道を見ながら、今がまさに「歴史が変わった瞬間」であると筆舌に尽くせない思いである。日本の政治史上はじめて「選挙によって」政権が作られたわけであり、見慣れた野党の…

政治の季節

「政治」は民主主義や選挙と関係なく行うことができる。いわゆる独裁者が元首となって行政権限を行使すればそれが政治である。そこまで極端な例を出すまでもなく、戦前の日本では天皇(や元老や重臣)による大命降下によって首相が選ばれている。 また「民主…

政局で選ぼう

「政策論争をしてほしい」「政策で勝負しよう」という言葉をよく聞く。「政局ではなく政策で、具体的に論争しよう。各党のマニフェストを隅から隅まで読み込んで投票しよう」ということがさも正しいことのように語られているが、万人が納得するような政策な…

自民党、公明党、官僚

今回の都議選の結果は予想通り自民党の惨敗で終わったが、最も強く印象に残ったのは公明党が候補者23人全員の当選を果たしたことだった。そして公明党が全員当選したのに自民党が10人も落選したということは、公明党の票を自民党にまわすことができなか…

暴走と迷走の政治

西松献金事件の衝撃で皆すっかり忘れているが、麻生首相は「郵政民営化には反対だった」と言った。これと前後して鳩山総務相は突如「かんぽの宿」問題で騒ぎ出し、小泉元首相まで出てきててんやわんやとなった。その後、西松献金事件の影響で内閣支持率が上…

政治は踊る2009

小沢一郎がニコニコしながら話し出す辞任会見を見て、やはりこの男は田中角栄の系譜に連なる経世会の人間だと思った。幾多の権力闘争を観察し、自身もそのど真ん中に身を投じた人間にしかできない芸当をやってのけたのである。年明け以来「民主党有利」だっ…

美しい日本の政治と醜悪な国際政治

非常に卑近な例を出そう。Aという会社員がいる。平々凡々、仕事はそれなりにこなすが優れた能力があるというわけではない。しかし社内での評判は良く、人脈も豊富である。なぜかと言えば簡単なことで、A氏はB部のB氏と飲みに行った時はB氏と一緒になっ…

官僚支配の国

残念ながらこの国の国家権力は官僚が握っている。今回の小沢公設秘書逮捕に端を発した西松献金事件から導き出される答えはそれしかない。官僚のトップである官房副長官は警察庁の人間であり、政治資金規正法という曖昧な法律を盾にして衆議院の任期満了から…

官僚との死闘がはじまった

「検察は国家権力・政治権力に左右されない。検察は時の政権から独立し、公平に捜査している」「官僚機構が、官僚に立ち向かう政治家を陥れるために事件を起こすことなどありえない」などと信じる者はこの国の政治も歴史もわかっていない者である。検察はそ…