特別編 裏博多毒探偵突撃古本屋(2)

 3時、5時、7時と起きるたびに喉の奥が痛い気がして洗面所でうがいをしてまた寝て、はて大丈夫だろうかと心配になったものの8時過ぎにはっきりと起きた時には喉の奥の痛みはピタリと止んでいた。ほほう、そういうこともあるのだなと思いながら1階のレストランで朝食バイキングを頂く。一昔前の俺ならば「バイキングこそ贅沢の極み、大人の特権」と大騒ぎするところであるが、ここ1〜2年で出張の数が飛躍的に増えたのでホテルの朝のバイキングごときでもう騒ぐことも馬鹿のように大食いすることもない。大人になったのかねえ。その後ロビーで新聞を読むと「今日は9・11テロから10年、東日本大震災から半年」と書いてあった。俺はこんな時に何をしておるのかと一瞬考えたが、考えたところでもうどうにもならんお前は既に博多に来とるやないかと我に返った。部屋に戻って「ホテルに泊まる楽しみはBSを自由に見れること」なのでBSを見るも、民放はショッピング案内ばかりで最後の砦のはずのNHKも「外国人から見た日本のクールさ(かっこよさ)」を紹介するという実に平和的でどうでもいいものをやっていた。外国のニュースとかドキュメンタリーとかはないのか、ないな、そんならもうええかとまた寝て11時頃に起きて部屋を出て受付で昨日やたらとでかいペットボトルを渡しよった女に部屋の鍵を渡して(ニコッと笑って「いってらっしゃいませ」と言われて惚れそうになった)、博多駅まで歩く途中で大きなホテルの前を通りかかったらウェデングドレスが3〜4着ほどショーケースに並んでいて、結婚予定のカップル2組がそれぞれ従業員と話しているらしかった。恐らく結婚式の打ち合わせか何かであろうが、スタート早々何というものを見せるのだ、俺を鬱にする気かと思いました。
 というわけで500円の1日乗車券(エコちかきっぷ)を買って地下鉄空港線博多駅から西新駅へ移動して、地上に出るとやたらと人だかりが多いので何事かと周りを見渡すとどこかの学校が運動会をやっているようであった。何という微笑ましい光景だ、俺を鬱にする気かと思いながら西側に歩いて、明治通りの裏に入ってBOOKOFF西新店。

 巣鴨あたりにある寂れたラブホテルのような外観であるが(そんなことを言うのは日本広しと言えどもお前ぐらいじゃ)、輝かしい俺の偉業の輝かしい第一歩だと輝かしい目をして本棚を物色する。などと言って悦に入ってどうするのだ、俺はもう28歳なのだと思いながら12時42分、350円。

ハッピーネガティブマリッジ 1巻 (ヤングキングコミックス)

ハッピーネガティブマリッジ 1巻 (ヤングキングコミックス)

 今日が「日本ラブコメ大賞2011」選考用の作品を買う実質的に最後の機会なので俺の輝かしい(以下略)を存分に発揮してくれよう。店を出て脇目も振らず西新駅に戻って赤坂駅へ移動して、地上に出て東側に歩けばまんだらけ福岡店。

 このまんだらけ福岡店に天神駅からではなく赤坂駅から向かったのはなぜかというとこれから天神界隈を歩き回るからで、こうやって赤坂→天神へと歩くことで天神内をグルグル回ることを防ぐのです。何のために。ひとえに俺の輝かしい(以下略)。13時53分、367円。
妹だ~りん (ヤングコミックコミックス)

妹だ~りん (ヤングコミックコミックス)

 店内は明るく清潔感があっていい感じで、それなのに昔の「ガロ」や「週刊マガジン」が置いてあったり文庫やハードカバーが置いてあったりしてラブコメよりそちらの方に気を取られてしまった。ここはいつか、もっとゆっくり来たいですな。
 その後まんだらけを後にして北側の昭和通りに出て、東に歩いて県道602号線に突き当たって左側を歩けばメロンブックス福岡店。


 2枚のうちの下の写真を見ればわかるように消費者ローン会社が入るような若干いかがわしいビルの3階にメロンブックスはあって、もちろん俺はこういう薄汚れた雰囲気が大好きなので大いに満足する。3階に入ると壁全体に所狭しとポスターが貼ってあって、秋葉原も三宮もここも大して変わらんねえと思いながら物色、見本誌が秋葉原や三宮より充実しているようなので安心して買う。14時40分、1000円。
美人な義母と強気なクラスメート (TENMAコミックス)

美人な義母と強気なクラスメート (TENMAコミックス)

 三宮と同じくここでも「こちら成年コミックとなりますので、何か年齢を確認できるものを…」と言われたが、意味あるのかねこれは。俺が買ってそれを18歳以下の奴らに配ったらどうするんだ。まあ「企業の社会的責任」が問われる時代ですから形だけでもやらんといかんのでしょうが。
 続いてとらのあな福岡店。

 こちらの店も見本誌、というかビニールカバーがついてない本が多かったので非常によかったが、今年はまだエロライトノベルを買っていないので調子のいい今日に買ってしまおう。15時4分、662円。
デキる妹はイヤですか?2 (二次元ドリーム文庫 194)

デキる妹はイヤですか?2 (二次元ドリーム文庫 194)

 おおもう15時ではないか。これではあと5店ぐらいしか回れないのではないかと焦りを感じた途端に疲れが出てきて、こういう時はどうすべきか、まだ昼飯を食べていないので食べながら作戦を練ることにしよう、朝あんなにいっぱい食ったではないか、いや歩き回ったから消化してもう腹が減ったのだと自分に都合をつけて「松屋」で大盛りカレーを食べて、天神橋口交差点、天神交差点を抜けて向かうはジュンク堂書店福岡店。

 んー、どこからどう見ても見慣れたジュンク堂書店ですね。何となくホッとしますな。それにしても日曜の昼に本屋に行って本を買うとは何という贅沢なことをしとるんだろうね俺は。15時48分、693円。
キャサリン (富士見ドラゴン・ブック)

キャサリン (富士見ドラゴン・ブック)

 日本ラブコメ大賞は基本的に書籍に与えられるものであるが、書籍という形であれば原作がゲームでも問題ない。あらゆるラブコメを貪欲に九州、じゃない吸収するのが俺なのだ。ラブコメとは俺にとって希望なのだ。
 さてここから少し歩くことになる。まず602号線を南に進んで西鉄天神駅三越を突っ切ったら右に曲がり(右に曲がったら20人ぐらいの警官がたむろしているのが目に入ってきたので俺は思わずポケットに手を突っ込んだ。いや、ハンカチがあるだけです)、国道202号線を10分弱ほど歩くとBOOKOFF福岡天神店。

 店の外観を撮る時は極力周りの人に見つからないよう目立たないよう撮っているが、出稼ぎのベトナム人が着るようなヨレヨレのシャツを着たデブがそんなことをして目立たないわけがない。恥ずかしいなあもう。しかしその恥ずかしさすらもラブコメを探求する俺のパワーとなって光り輝くのだ。ここで(以下略)を使おう(以下略)。16時47分、350円。
魔界天使ジブリール4 (チャンピオンREDコミックス)

魔界天使ジブリール4 (チャンピオンREDコミックス)

 またしばらく歩きますが、南側を歩いて西鉄薬院駅まで向かう途中に擦れ違ったカップルの女が「いや、知っちょる。でも、どうしてもやれって言うたけん…」と言っていて何やこいつらと思うも、しばらくしてああそうかあの言い方がここでは普通なのかと気付いた。いかんいかん、メロンブックスとらのあなジュンク堂書店ブックオフと馴染みの店に行って自分が家からも故郷からも遠く離れた地にいることをすっかり忘れておるようだ。色々ありますなあ。
 西鉄大牟田薬院駅から高宮駅に移動して、若久川に沿って北東に歩いてまたしても602号線に出ればBOOKOFF日赤前店。

 さて時刻は17時半を過ぎ、俺の体力はというともちろん疲れております。ただし疲れにも良い疲れと悪い疲れがあって、仕事による疲れは後者ですがこういう自由気ままな遊びによる疲れは前者であります。つまりちょっとしか疲れていないということで、日本ラブコメ大賞2011のための活動は続くのです。ラブコメとは最後の希望なのだ。18時2分、350円。
つぼみな奥さん (アクションコミックス)

つぼみな奥さん (アクションコミックス)

 さてしつこいようですがまたしばらく歩きます。次の目的地は高宮駅の一つ先の大橋駅だが、たかが一駅のために電車を使うなど俺のプライドが許さんので県道602号線・国道385号線を南東に歩き、昼間の暑さはどこへ行ったか天気は見るからに悪くなっていた。これは一雨来そうですなあ。

 20分ほど歩いてさすがに疲れてきたところで南区役所前交差点が見えてきたので右に曲がって、雨がパラパラと降り出してきたので早足で歩いてまずは大橋駅のショッピングモールのようなところに入って小便を済まし、雨はすぐに止んだようなのでBOOKOFF大橋駅西口店。

 あのー、俺はよく「品揃えがいい」と言いますが、それは「日本ラブコメ大賞」の選考のために買おうと思っていたものやこれは買ってもいいなというものが豊富にあることを意味します。ですから「豊富」にない、つまり一冊や二冊ぐらいしか買うものがないのであれば「品揃えがいい」とは言いません。ですからこの店も品揃えは良くないのですが、それでも一冊は買いたいものが見つかりますから、結局問題ないわけです。19時18分、280円(350円の20%引)。
LOVE LOOP (ヤングコミックコミックス)

LOVE LOOP (ヤングコミックコミックス)

 ああもう19時を過ぎたか。腹減ったなあ(15時に昼飯を食べといて何を言っとるか)というわけで西鉄大橋駅から薬院駅に戻って、地下鉄七隈線に乗り換えて六本松駅へ移動して地上に出て目に入ったマクドナルドに入ろうとすると曇り空の天気がピカッと光るのがはっきりと見えた。これは必ず一雨来るぞさっさと次の目的地へ行った方がいいのではないかと思うも腹が減っては戦ができないのでマクドナルドに入ってチキンマックナゲットとポテトとシェイクのバニラとコーラを食う(だから太るんだ)。痩せないといかんのだがなあ、健康診断で血圧が高いって言われたしなあ、もう若くないんだからなあ。大食いの早食いなので10分ほどで平らげて外へ出ると雨がどしゃ降りであり、且つこちらは風邪気味であり明日は仕事なのだから近くのローソンで一番安いビニール傘(450円)を買う。どうせ通り雨なんだろうがなあ…。BOOKOFF福岡六本松店。

 時刻は20時半頃でありこの店で博多編は終了となる。ここまで見事に煩悩にまみれたラブコメばかり買ってきたので最後は真面目になろう、外はまだ雨が降っているのでゆっくり見て回ろうとねちっこくいやらしく本棚を観察してこちらを買う。21時5分、210円。    
 店を出ると雨はピタリと止んでいたので傘は六本松駅で捨てて、六本松駅から天神南駅まで行って地下鉄天神駅に乗り換えて博多駅まで移動する間にこの「博多・天神」というのは「神戸・三宮」みたいなものか、だからスイスイ歩き回れたのかなとふと考えた。ホテルに着いて早速今日の戦利品や着替えの服をリュックに詰め込んで、フロントに頼んで一足先に東京に送ってもらうことにした。その整理をしながらTVを見ているとアメリカの「9・11追悼式典」が同時中継で放送されていて、字幕で「黙祷」が「MOMENT OF SILENCE」と書いてあった。不謹慎ながら、「MOMENT OF SILENCE」という言葉は深みがあっていい言葉であると思った。
 次の日は7時に起きて朝食バイキングを馬鹿のように大食いして7時半にホテルを出て、俺は工場へ向かった。工場での会議は予想通り形式的なもので、その日の19時頃にはもう羽田空港に着いていた。急いで帰ってこのブログに文章を書かなければならない。楽しかった土曜・日曜を記憶が新鮮なうちに記録しておくのだ。そして「俺にとってラブコメとは最後の希望なのだ」と書くのだ。