2010春

 それだけは絶対に避けねばならない。去年の秋、あまりの仕事の多忙さに「永神秋門攻防戦2009秋」を中止に追い込まれたのは本ブログの汚点であり屈辱であった。「永神秋門攻防戦」こそこのブログの基本にして原点なのであり、いかに「脱走と追跡の読書遍歴」や「裏東京毒探偵突撃古本屋」の方が評判が良いとしてもこの「1日で永田町・神保町・秋葉原を自転車で駆け抜ける。国会図書館に行き秋葉原のエロ本屋でエロ漫画を買う」という行いこそ俺の恐るべきキチガイ人間性が明確に表れ自らの阿呆度を再認識できる大事な儀式なのであるから、またしても中止に追い込まれることは絶対に避けねばならない、しかし9月末(上期末)であれだけ忙しかったのだから年度末である3月が更に忙しいのは容易に想像がつき、案の定やはり急に福岡の工場に出張に行くことになったりしたのである。そのため先週も今週も東京にはほとんどおらずろくに仕事にならず(ちなみに工場の先輩に小倉の風俗に連れていってもらった。あの、NHKと朝日新聞が目の前に見えるところですね)、永神秋門2010春の陣についてもその開催が大いに危ぶまれたのであるが、そこは社会人生活丸5年になる27歳のバリバリ何とかサラリーマンぶりを発揮してこの危機を乗り切ることができたわけである。しかしあれですね、結構仕事が自分の思い通りにさばけるようになると残業するのが楽しくなってくるというか、いわゆる「仕事人間」の快感というのはこういうことなのかと思ったりしますね。それだと本を読んだりラブコメを見つけたり政治について考える時間が少なくなるんでダメなんですが、まあこういうご時世ですからやっぱり職があるというだけで良しと考えないかんのでしょうなあ。
 9時前に会社に出て12時には仕事を仕上げ、よしそれでは今から国会図書館に行っていつものようにカレーを食おう、昨日の夜もカレーを食おうと思ったが明日食べるからとハンバーグ弁当で我慢したのだからなと席を立とうとしたその時に同じく土曜出勤していた先輩二人がやってきて「昼飯、どう?」と誘いがかかり、もちろんサラリーマンにとってこのような付き合いは非常に大事であるから俺は即座にOKしたわけであり、うどん屋かそば屋に行って軽くうどんかそばを食えばカレーも食べれるであろう俺はデブの大食漢なのだと会社の人間がよく行くうどん屋に入ってきつねうどん単品を頼むと先輩に「あれ、そんなんじゃ足りないでしょ。いいよ、カツ丼セット頼んで。おごるよ」と言われ、もちろん常識的サラリーマンである俺は「あ、あのー、いいですか、それじゃあ」と意に反してカツ丼セットを頼んだわけである。まあ人生は楽しんだ者勝ちですから(意味不明)。
 きつねうどんとカツ丼をたいらげ、家に帰って自転車のパイロット室に乗り込んで銀座にたむろする着飾った老若男女に革命の鉄槌を降り注ぎ、向かうは国立国会図書館で恒例の道中写真。





 さて昼飯を腹にかきこんですぐに自転車を激しく運転したので胃がびっくりしているが、だからと言って「国立国会図書館で昼飯を食べる」というビッグ・イベントを省略するわけにはいきません。その昔、兵庫県の糞田舎で怠惰と惰眠を貪りただひたすら世間と社会に恐れ慄いていた自分に「君は土曜日に国会図書館に行って昼飯を食べるぐらいにはなれるんだよ」と言ってやりたいのであるが、俺以外の人間にとっちゃどうでもいいでしょうな、まあそうでしょうな、とにかくカレーはさすがに頼めないのでホットケーキとソーダを頼んで450円。いや俺はコーラよりサイダーのような辛口の炭酸飲料の方が好きなのでソーダにしたんですが、これは「サイダー」ではなく「ソーダ」なので甘かった。クリームソーダのアイスクリーム抜きみたいな感じでした。畜生め金返せこの野郎。
 ではいつもの通り4階の新聞資料室に入り、優しい過去の世界にタイムストリップしようではありませんか。今回は10年前の2000年3月でありまして、その時の俺は17歳の高校2年生でしたが第一次大病戦争の真っ只中で新聞を読む余裕がないどころか毎日死のうかでも死んだところで親が悲しむだけやしなあと不快極まりない日々を送っていたことが思い出されてきた。当時の政治状況を見ると2000年度予算案は2月29日に衆議院を通過したが財政状態は過去最悪、また新潟で9年2ヶ月も監禁されていた女性が救出された日に新潟県警本部長が警察庁幹部を招いて酒・マージャンをやっていたことがわかって大問題、警察庁長官国家公安委員長の辞任をせまる野党や世論の反発から小渕首相以下政府は対応に四苦八苦することになるのである。もちろん一ヵ月後に小渕首相が病に倒れることは誰にもわからない。他にもプレステ2が発売(3/4)、スーパーチューズデー共和党・ブッシュ、民主党・ゴアの一騎打ちとなることが決定(3/8)、とわずか10年前なのに実に冷静に楽しくこの時代を味わうことができたのは既に遠い過去のことだからか、それとも社会人となり世間や社会に対して恐れを抱かなくなったからだろうか。政治・国際・経済面しか読まなかったがあっという間に15時半となったので17日までしか読めなかった。もったいないなあ。今度平日に有給を取って一日中居座ってやりますかね。
 いつものように16時までは新館2階のソファーで読書兼昼寝をしよう。いや別に寝るつもりはないのだが、頁を開いて3分もしないうちに睡魔の誘惑に負けてしまっては言い訳すらできないのでまあ人生は楽しんだ者勝ちですよということにしておこう(意味不明)。ああ、この(意味不明)というのは大変便利なのでついつい使ってしますので注意せなあかんなあ。
 16時となり記者会見をボイコットして国会図書館を出て神保町に移動、社民党本部前を通ると黒塗りのワゴン型タクシーが4つぐらい並べられてあって運転手が誰かを待っているようだで、少し離れたところに警官もいたので福島大臣でも中にいるのだろう。詳しいことはまた「政局好色」で述べるが、今の社民党を見ているとさっきの新聞に出ていた10年前の自由党のようだ。自由党が自公連立派と離脱派に分裂したように、社民党も分裂するような気がして仕方がない。
 国立劇場の前を通ると桜が満開で、桜の写真を撮っている人が大勢いてああ去年もこんな光景を見たなあ、あれから一年が経ったのだなあと感慨深いものがあります。靖国神社も祭りをやっているのだろうかかなりの人の数であった。

 しかしこう人が多いといつもの「靖国通りの下り坂を猛スピードで下る」という永神秋門随一の見せ場がなくなってしまうと思うかもしれませんが、もちろん皆さんの期待を裏切る俺ではありません。(仕方がないので)車道の端に寄って時間を超えて走り抜け、下の写真にも見える大型バスと衝突事故を起こして多くの人命と引き換えに(意味不明、じゃなかった以下略)。

 そんなこんなで神保町であります。今日は天気が良くてようござんす。前回(2009冬)は雨で散々でしたからな。そう言えば最近は前回の「裏東京毒探偵」の時が風邪気味、前々回の「裏東京毒探偵」の時はやはり雨と今ひとつパッとしない日が続きましたので一つ盛大にぶち上げようではありませんか。折りしも今日は「神保町さくら祭り」でワゴンセールもやって人の数もいつもより多くにぎやかです。



 で、まあ出鼻をくじくようで恐縮ですが小生は「お祭り」的なものが嫌いなのですね。いや別に憎まれ口を叩くわけではないんですが、祭りにひっかけて普段神保町に来ないような奴を呼んだってしょうがねえだろうと思うのですね。まあそれは「陽を憎み陰を好む」俺の性格の問題でもあるのですが、そもそもBOOKOFFで105円で売られているような本を300円とか500円で売ってどうするんだといつもの愚痴になるわけで、その事に関してわりと俺に好意的な人からメールで「価格をBOOKOFFと比べるのは少々酷ではないですか」と言われたので答えておきますが、もちろん俺の言っている事は酷というより身も蓋もないことでしょうが、それが世間一般の考えだということを認識すべきだと思うんですね。BOOKOFFで絶対売られないような本ならどれだけ高くてもいいですが、雑然と置かれて汚くてしかも300円500円もするんじゃそらBOOKOFFの方がええわいと思うのは自然の成り行きだということを認識した上で、だから神保町はこれで勝負だ、という風に動いていかないと、5年後はともかく10年後も今の店が生き残っているとはとても思えないんです。あなたどう思いますか。
 というわけでいつものコースを回ることにしよう。小宮山書店ガレッジでいつものように100円の文庫本を買います。16時29分。

 ワゴンセールも探せば100円のものがあるのだろうが、あいにく神保町に来れるのは3ヶ月に1回でしかも16時から18時までの間だけなので確立されたコースをまず回ってそれから時間が余れば他のところに回るのが一番安全である。最もいつも俺は安全優先でリスクを取りたがらないのでそんな自分を変えるべきなのであるが、今回もブックス@ワンダーでいつものように新書を買ったので(いい加減他のものを買えばいいのだが、どうしてもいつもと同じことをやりたがるのだよ俺はね)もうあきらめた方がいいのではないか。いや。まあ、頑張ります。17時10分、210円。
昭和の終焉 (岩波新書)

昭和の終焉 (岩波新書)

 神保町交差点まで引き返して岩波ホールの前で信号待ちをしていると横で40過ぎの異様に赤い唇をした女が30代前半のイケメン風の男(ネクタイ・スーツがまた決まっている)に「申し訳ありません、申し訳ありませえん、ほんとうにい」と言っていたが、どう見ても媚びている(性的な意味で)ようにしか見えなかった。なぜか俺も27歳なんだからいい加減落ち着いた方がいいのだろうかとふと思うが、そんなことをしたらこのように気ままに自転車で東京の中枢を破壊することはできなくなるだろうなどと考えながらすずらん通りを歩く奴は日本で俺だけではないか。

 12月に続き今回も三省堂古書館に寄ってみよう。ほとんどの文庫本が薄い透明カバーをかけていて(中は開いて読むことができる)、値段は300円〜800円のものがほとんどで(当然文庫本以外の単行本等はもっと高く1000円以上)机を蹴って出ていこうと思うも探せば100円あるいは150円のものもちらほら見えるのでまあ合格(つまり俺の神保町コースに加える)ということにしておこう。17時42分、100円。
誘拐 (1981年) (文春文庫)

誘拐 (1981年) (文春文庫)

 その後いつもの神保町古書モールへ行くが、時刻は既に17時50分頃であり、秋葉原には18時に出発しなければならずこの後三省堂書店のトイレに駆け込まなければならず(既に神保町コースの一部になっとるのだ)100円コーナーをパッと見てピッと買う。17時52分、100円。 そのようにして最高級有機質肥料をぶちかまし三省堂書店筒井康隆「アホの壁」が発売されているのが見えたので)、鼻水をぶちかまし(花粉症なので)、口笛を吹いて自転車を呼び、目指すは秋葉原であります。もちろん秋葉原に代表される「萌え」ジャンルとその名の下に集う諸君は「ラブコメ」のみを唯一絶対とする俺とは違う道を歩んでいるわけであるが、お互いが最も信頼できる同盟関係であることも承知しておるのであります。「日本ラブコメ大賞2010」は一日も休まる事なく動いているのです。


 まずはとらのあなに行き、3階の成年漫画フロアに行って試し読みをして今日買う本を決めよう。1階に売られている新刊も少し見てみようと思ったが、レジ待ちの列が棚を挟んで一周してコミケでよく見る「列の最後尾はこちらです」の紙が見えたので相手にしないことにしよう。半年もすればBOOKOFFで半額で買えるのに何をしているのかね君たちは。そんなんだからナめられるのだ。
 さて「エロ漫画情報ブログ」らしく今回も2冊買うつもりですが、毎度毎度用意されているエロ漫画群の中で3冊以上いいものがあった試しがない。もちろん俺が探しきれていないことが原因だろうが、「和姦でラブラブ」と言いながら「雨で子犬が濡れているからといって傘を差し出して自分はずぶ濡れ」に代表される阿呆たれや女に責められて喜んでいるマゾや「いいじゃん、キスぐらい。減るもんじゃなし」というスケコマシ(古い?)な漫画ばかりなのでもう疲れるよ。18時47分、1050円。
俺専彼女 (MUJINコミックス)

俺専彼女 (MUJINコミックス)

 続いてメロンブックスに行き、とらのあなで試し読みして内容はチェック済みなのでさっさと買う。19時2分、1050円。 不満を二つ言おう。一つはいつも言っていることだが「たかがエロ漫画買うのに1000円も出さなければならない」ことであり、何度も何度も言うが昔は900円とか890円だったのにいつの間にそんなに高くなったのだ。世間はデフレと違うのか。君たちも怒れよもっとさあ。二つめはレジに女がいて、まるでスーパーのレジのように「次の方、どうぞー」「ありがとうございましたー」と言っていることである。あのね、こっちはエロ漫画を買うわけだからね、そんなハキハキとやられては雰囲気が台無しなわけですよ。もっとこう、「いけないことをしている」感じを出さないと誰も買わなくなるよ。あんなもん、男が黙々とレジを打っときゃいいんだよ。わからんのかなあそのあたりの機微が。君たちも怒れよもっとさあ。
 だいぶ饒舌になってきたがまだ終わりません。続いてBOOKOFF秋葉原駅前店へ向かい、俺の前を歩いている中国人または朝鮮人らしきカップルのうち女がいきなり走り出し、男の方は2〜3秒ポカーンとしていたがしばらくして女が走り出した方向と反対側に走り出した。まあ人生は楽しんだ者勝ちですよ(意味不明)。

 そう言えばBOOKOFFというか本屋に行くのは実は先月27日以来一ヶ月振りなので大いに立ち読みして「日本ラブコメ大賞2010」に備えることにしよう。棚に並べられてある背表紙をじっと眺め、目に止まれば手に取って読んで確認するという原始的な作業を体力の続く限り繰り返すわけであり、その単純作業と労力によって自分の納得のいくラブコメが手元に残るわけである。何度も言うが、俺の考える「ラブコメ」が世間で認識されている「ラブコメ」と違う以上、全ては俺の判断によって決めるしかなく、それは楽しい作業であると同時に戦いであり19時51分、350円。
れすきゅーME! 1 (チャンピオンREDコミックス)

れすきゅーME! 1 (チャンピオンREDコミックス)

 口笛を吹いて自転車を呼んで最後に向かうのは門前仲町、正直なところ門前仲町には何の興味もないというか我が自宅から一番近いのがBOOKOFF江東門前仲町店なのでコースに組み込まれているだけということだがここらへんで疲れがでてきて(今日の疲れプラス今までの仕事の疲れ。何せこの3日間自慰をする暇もなかったからね)特に何を考えることもなく日本橋茅場町永代橋を走り抜け、鼻水を飲み込み(花粉症なので)、鼻水をぶちかまして(花粉症なので)、いつものラーメン屋で半チャーハンラーメンセットを頼み、俺の斜め前にいたイタリア人らしき男と日本人女が一言も喋ることなくずっとTVを見ながらラーメンを食うのを見ていると突如日本人女が「ファ?ザファズフヒスグラフズムズ、ストムラヌクヌー」と言い、イタリア人男は外人特有の頭を横に振りながら肩をすくめる動作をして「オーマイガー」と言っているようだった。さっさと食べていつものBOOKOFF江東門前仲町店至近距離。

 まあここの品揃えは可もなく不可もなくというところですが、平均点は高い方だと思いますね。グルッと回りましたが特に書き記すこともありませんので(というかいつものように疲れたので)ペロッと買っちゃいましょう。21時11分、350円。
日々是… (ヤングコミックコミックス)

日々是… (ヤングコミックコミックス)

 えー、そのようなわけで今年1発目の「永神秋門攻防戦」は無事終えることができました。いやあ良かった良かった。やはり1年に4回行うこの「永神秋門攻防戦」をやらないと春夏秋冬を感じることができませんのでね。これをお読みの皆さんにも、少しでも春の訪れを感じて頂けたらと思います。それでは。