特別編 裏横浜毒探偵突撃古本屋(1)

 大事なことは、自分がとんでもなく阿呆で救いがたい糞人間であることをよく自覚することであります。これだけ多くの恥をかいておきながら俺のプライドはなお空の上の遥か向こうまで垂直に伸びているのでありまして、それではいかん、金と健康と虚飾に恵まれた人間が好き勝手に好き放題に俺を怪しき道に連れ込もうとするが俺の人生は俺のものなのであるからこれはもう俺の好きなようにしなければならんのであります。
 ところで新潟、広島、名古屋と各地のBOOKOFFやら古本市場やらに行くことは俺にとって無上の楽しみであると同時に戦いでもある。いやそんな大げさなものではないが、本屋に行くことと本を買うことが俺のプライベートの最も根源的な行動原理であるからそんな自分の阿呆さ加減を再認識し今後もこれを一生の趣味とするかどうかの再確認をするためにも俺は時々こういう意味不明なことをやらなければならんのである。うーん、どうも大げさだなあ。まあいいか。
 とは言うものの車で行動するしかないような田舎に行ってもしょうがないわけであるから(新潟は散々だった)、公共交通網が発達した地方都市に行くしかない。しかし去年8月に広島、11月に名古屋と行っておりここで札幌だの福岡だの京都だのに行くのはさすがに財政的にきついので今回は横浜を選択することにした。関係ないが俺の会社もいよいよ社員削減に乗り出すようで、そうなれば真っ先に俺がスポットライトを浴びるであろう。
 そんなわけで3月21日、嫌がらせのように土曜日だというのに出勤させられたので全く何もしなかったり「風俗エステ」と呼ばれるマッサージ兼手コキ専門のところへ行ったはいいが案の定全く気持ちよくなかったりソースとしょうゆを間違えたりしてとにかく大変に変態な中を横浜へと向かったわけである。ちなみに我が犬小屋の最寄駅から横浜駅まで1時間もかからない距離であるから広島や名古屋のような道中面白体験はなかった(JR浜松町駅から横浜駅まで京浜東北線一本で着いた。その道中では寝ていた)。面白かったのは寝て見た夢であって、どうも俺は長旅から帰ってきた江戸時代の町人か何からしく、家に帰ると妻と思われる女が待っていて「あんた、風呂は入るかえ」となぜか京都弁で言われて一緒に風呂場へ行くがそこは普通の現代の風呂場であった。ああ、やっぱり結婚したいのかねえ俺は。
 ところで兵庫県の糞田舎で陰険に育った俺としては「横浜」と聞くと唾を吐きたくなるほどのイメージを持っていて、オシャレに身を包んだ頭の弱い人種がたむろする街にデブで愚鈍で頭の良い俺が来てはいかんのであろうが、金さえあれば横浜のビジネスホテルに泊まることもできるのであるから日本はまだまだ大丈夫なのである。ちなみに横浜以外にも今回の候補地としては千葉と埼玉があったが、横浜となったのは地下鉄があるのが横浜のみだったからである。
 18時過ぎに家を出て19時には横浜駅に着き、ホテルをチェックインしたのは19時15分頃であった。そしてまたしても30分ほど寝てしまい(そればっかりやないか)、横浜の夜の街へ繰り出すことにしよう。と言っても風俗関係には行かない(そのために事前に風俗エステに行ったのだ)。向かうは横浜のメロンブックスとらのあなである。お前は秋葉原でもメロンブックスとらのあなにしか行かんくせにこの上横浜でも同じとこしか行かんのかと言う奴は俺がいかにキチガイかをわかってない奴であるから今すぐホモとレズの世界へ帰れボケ。
 地下鉄横浜駅方面へ向かい、内海橋交差点・一の橋交差点を渡ればすぐ…ということであるが一向に看板が見えないので不安になるが、いかにも雑居ビルでございというような薄汚れたビルに小さく「メロンブックス」と「GAMERS」と書かれた看板があった。三宮や秋葉原のように露悪的なまでに自己主張する姿はどこにもなく、ビルの入口は真っ暗でこれは闇金融とか暴力団の事務所とかが入っているような感じではないか(昔新聞配達や郵便局のバイトをしていた時に何度かそれ系のヤバイ所に行ったことがある)。

 5F(6F?)で下りると、すぐ左手に俺がよく知っているメロンブックスがあったので安心する。しかし階段の壁は一面ポスターの嵐である。こんなことをして大丈夫なのだろうか。

 やはりオシャレに身を包んだ頭の弱い人種が幅をきかせる街ではこのように薄汚い雑居ビルの中でコソコソとオタク趣味に勤しまなくてはいけないのでしょうね。そういうやり方は嫌いではありません。店も狭いが秋葉原メロンブックスだって狭いし秋葉原と違って客もまばらなのでゆっくりと見ることができました。そして買ったのはこちら。20時33分、1050円。

ギュッとしてね? (ポプリコミックス 38)

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 いやまあ、ポプリクラブ系で和姦Mっ子何とかで申し分ないんだけどね。しかし1050円も出してまで買うかというとちょっと戸惑うね。しかし気が付けば買っていたのでもう手遅れだね。
 薄汚い雑居ビルを出てしばらく歩き、目と鼻の先にとらのあながあるということだがこれまた看板が見えないので不安になるが、ふと横を見るとまたしても見つかった。夜だと本当に見逃してしまうよこんなの。

 またまた派手さも何もない入口を通ってエレベーターに乗ろうとすると「とらのあなにお越しの方は、奥の階段をご利用下さい」との貼り紙があって、なるほどやはりオシャレに身を包んだ頭の弱い人種が幅をきかせる街ではこのように薄汚い雑居ビルの中でコソコソと行動しなくてはならんのかしかしそういうやり方は嫌いではないぞそのような少数派の悲哀こそが一層俺のオタク魂に火をつけるというわけで突撃。

 こちらも入ってみたら何ということもないただの「とらのあな」である。既に20時半を過ぎているからかそんなに人もいないので広いぐらいだ。しかし土曜の夜遅くに本屋にいるというのは非常に興奮しますね。後述するがこの時の俺のコンディションはかなり悪かったのだがたちまち回復するに至り、買ったのはこちら。20時45分、920円。
恋するウシチチ (富士美コミックス)

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 おお。これ探していたんですよ。なぜか平積みではなく本棚の隅の方に置かれていたのがどうも色々と勘繰ってしまうが、なに買ってしまえばこっちのものである。俺は世界のラブコメ王なのだ。
 そんなわけで今日の支離滅裂なメニューは終了である。東急ハンズダイエーやドンキ・ホーテのある華やかな通りにはゆとり世代がこの世の春とばかりにたむろしており腹が立つことこの上ないが、まあこの不景気では楽しい時間は一瞬で過ぎてあとは辛い悲しい時間が延々と続くわけであるから頑張ってくださいということかねえ。

 その後はホテル近くの吉野家で牛丼の大盛りを食べ、熱いお茶しかなかったので「すいません、お冷下さい」と言ったところ「はい、480円になります」と追い返され、部屋に戻ってBSのドキュメンタリーを見て(韓国の雇用問題について放送していた)風呂に入って自慰をしたわけである。お前今日風俗行ったんちゃうんか。それはさておき23時半頃からだと思うがテレビ神奈川ではずっとアニメをやっていて、まあ俺とは永遠に相容れない反ラブコメの糞アニメであったので死にたくなった。よくわからんがいかにもレズ展開でございと言わんばかりに半チチの女が金髪の女に「私、あなたを失いたくない」と言っていた。もう本当に俺はいやになったが、いつものようにCDTVを見てその日は何とか寝ることができた。起きれば横浜BOOKOFF10連発が待っている。