特別編 裏広島毒探偵突撃古本屋(3)

 8月24日日曜日の東京は雨が降っていたということだが、広島は爽やかな晴れであった。俺が泊まったビジネスホテルは安くて部屋も狭かったがテレビがBS・CS見放題でありもちろんアダルトチャンネルも見放題であったがそんな実写のブサイクな女の厚化粧なヤリマンコを見てもしょうがないのでありそれよりは二国語放送のCNNニュースで民主党副大統領候補が決まったとしてずっと特別番組をやっておりこちらは大層面白かった。寝たのは2時前であり普通なら8時間は寝るはずの俺が8時にははっきりと起きていた。どうも興奮しているようです。それもそのはず、今日は俺の人生史上でも特筆すべき「一人旅」且つ「裏広島毒探偵突撃古本屋」が行われるからである。
 社会人となって時々ホテルに泊まるようになってまず驚いたのが、朝食食べ放題ということである。おにぎりやパンから味噌汁、牛乳、オレンジジュース、コーヒーとまるで喫茶店のようでありながら食べ放題なのである。それはまあ朝食代もホテル代に入っているから当たり前と言えば当たり前なのだが貧乏人の田舎者気質丸出しで言ってしまうと何とゴージャスなことか。というわけで8時に1Fのロビーでおにぎりを8個食べオレンジジュースを4杯飲み、9時に最近よく見るようになった「ゲゲゲの鬼太郎」(猫娘かわいいぜ)を見、10時に「サンプロ」を見て11時45分にホテルを出発したわけである。ここはどこか?広島であります。
 さてここで一人旅第一弾となった新潟編を思い起こして頂きたいが、あの時まず最初にどこへ行ったかというとジュンク堂書店に行ったのである。何事も前例を踏む、という二級官僚並みの保守人間である俺はやっぱり前例を踏んでまず向かった先はジュンク堂書店広島店である。

 上の写真はジュンク堂書店が入っている「福屋」に行くための広島駅からの地下通路である。しかしこれは…。ちょうどGAMERS三宮店へ行く時に通る地下通路にそっくりではないか。いや確かに俺は三宮びいきでしょっちゅう三宮と比較するが、これはもう本当にそっくりである。それで思い出したがここは広島であって、広島の隣りは岡山、その隣りは兵庫ではないか。いかんいかん帰りたくなってきたということでジュンク堂書店へ。デパートの10階にあるというのはジュンク堂書店三宮駅前店を…やめとこう。

 さて上の写真は店内のものである。やっぱり撮っちゃいかんのかなあ。公共の建物じゃなくてただの民間施設だからねえ。でも記念に一枚ぐらい撮りたいしなあ。別にこれを使って儲けようとかじゃないからねえ。しかしこの天井まで届きそうな本棚を見たまえ。まるで図書館のようではないか。「広島県最大って言っても大したことないのでは」という俺の危惧を見事取っ払ってくれました。他にも文房具店や喫茶店やなぜか歯医者まであってさながらジュンク堂書店明石店の今のダイエーに入る前の…もうええっちゅうねん。というわけで基本的に俺はサラ本は買わんのだが記念に買ったのはこちら。

昭和二十年の「文藝春秋」 (文春新書)

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 ウォーミングアップはこれで終了であり、いよいよ本番となるのである。向かうはJR海田市駅であり、ここでBOOKOFFと古本市場を同時襲撃するのである。そして呉線ということで何も考えず快速に乗ってのっけから失敗してしまう(快速では海田市駅には止まらんらしい)。あわてて矢野駅で下りて海田市駅へ。おお人がほとんどいない。暑さもなく、いい気持ちだ。

 このあたりは広島県安芸区であり、何か聞いたことあるんだよなあと思いながら改札を出るとさっきサンプロで見たおっさんのポスターが貼ってあって、ここが広島4区であり中川秀直の地盤であることを思い出す。これはまたえらい所に来たものである。そうして駅を出るとSATYの看板と同じくらいの大きさで「本」と書かれてある看板のあるBOOKOFF広島海田店へ明神橋を通って行くわけである。駅から徒歩4分と書いてあったが、どう見ても10分はかかる。俺の足が遅いだけか?

 パッと見た感じではBOOKOFF板橋成増店を思い出すが中に入ってみると新潟紫竹山店みたいである。一体お前は何の話をしておるのかと言われそうだがとにかくスタートというのは肝心であるからここで何を買うかは俺の華麗なる購入術の腕の見せ所である。
今日からヒットマン 8巻 (ニチブンコミックス)

今日からヒットマン 8巻 (ニチブンコミックス)

 とうわけで日本ラブコメ大賞2006・第1位のこちらをぶつけたわけである。いかに本作が過去の大賞1位作品と比べて軽量と言ってもそこは大賞1位なのであるから、それをわざわざ広島で買うというのは俺の意気込みのすごさがわかるというものである。まあ品揃え的にあまりいいとは言えなかったのでやむなくこれを買ったというのもあるが(なんじゃそら)。さてそこから県道164号線を引き返し、区立図書館や中川秀直事務所や安芸区役所を歩くこと10分ぐらいで次なる目的地へ着く。

 古本市場安芸店である。そこはかとなく古本市場竹の塚店へ似ている気が…などと言うのはもうやめよう。いやそれにしてもこのような至近距離(歩いて10分)でBOOKOFFと古本市場があるというのは我が兵庫県糞田舎の古本道場愚痴店(仮称)とブックインザスカイ(仮称)のよう…やめろというのに。とにかくなかなか便利な環境でありまするな。こちらは品揃え的に可もなく不可もなくというところであって、買ったのはこちら。
月姫コミックアンソロジー 24 (DNAメディアコミックス)

月姫コミックアンソロジー 24 (DNAメディアコミックス)

 月姫。たった今思い出したがこれ日本ラブコメ大賞2002・第1位ではないか。何と未開の地であるこの広島で日本ラブコメ大作2作品がひっそりと大胆に購入されたのである。これは我が購入戦術の中でも異例中の異例であって、この先どうなる事かと諸君は手に汗を握っておるだろうがひとまず海田市駅に戻ることにする。なるほど早足で歩けば駅まで徒歩7分と言えなくもない。しかし駅から来る奴など俺ぐらいなのだろうなあ。
 海田市駅から山陽本線にて広島駅経由で向かうは西広島駅である。このあたりは住宅街と中小ビルが乱立していてBOOKOFF浅草稲荷町店の周りのよう…さっきからえらいしつこいがこれほどしつこいということはやはり俺の中の無意識からの重要なメッセージ、などと書いておるからもう2時間が経ったではないか。とにかく西広島駅に着いてここからは宮島街道を西へ西へと歩けばいいのであり5分も歩けば「本」の看板が見える。BOOKOFF広島己斐本町店。

 何というか「洋服の青山」みたいな外観である。1階部分が吹き抜けの駐車場になっていて自転車も多く止まっており、そこにたむろしていた女子中学生と思われる数人が俺をギョロリと睨んだ。広島まで来て何で睨まれなあかんのだと睨み返し(たつもりである)、入ってこの店は当たりだなと確信する。なぜって言われてもわからんが。でも諸君なら大体わかるでしょう。ということでこれを買う。
ガールズザウルスDX 9 (サンデーGXコミックス)

ガールズザウルスDX 9 (サンデーGXコミックス)

 おお。今日からヒットマン月姫・ガールズザウルスDXと重量級を惜しげもなく買うとはどういうことか。いやまあ俺が聞きたいくらいだが、とにかく盛り上がっていることは確かである。これぐらいレベルが高いとこっちの方が引いてしまうくらいであって、天候も申し分なくこれぞ戦士の休暇というものだと意気揚々と宮島街道を歩き、西広島バイパスの交差点を右折して広島電鉄東高須駅へ向かう。

 さて上は広島電鉄東高須駅の写真であるが、バスのように整理券を買うやりかたのようである。つまり路面電車であって、もちろん俺はそういう田舎っぽいものは大好きである。無人駅で俺以外誰もいないというのがまた粋ではないか。俺は本来こういうところにいるべき人間なのだ。誰が東京に住みたいなどと言ったか。
 東高須駅から鈴峯女子大前駅まで行き、向かうは古本市場五日市店である。お前はBOOKOFFに行ったり古本市場に行ったりと無節操だとよく言われるが俺は私情としてはBOOKOFFより古本市場の方が好きなのでありしかし世界のラブコメ王としてはBOOKOFFを尊重するのである。

 上の写真は宮島街道に出て八幡川橋を通っている時に見えた広島湾の様子である。普段俺は風景に心奪われることはないがこれはなかなかきれいであった。
 古本市場五日市店は橋を通ってすぐのところにあった。

 あのう、言っときますがね、別に俺はBOOKOFFとか古本市場に何か思い入れがあるわけではないですからね。ただ古本屋をまわることが好きなだけですからね。別にフタバ図書だろうがまんだらけだろうがラブコメさえあればいいしなければどうでもいいというそれだけなのでしてね。だったら何で写真を撮るのだと言われたら、もうそんなの俺が聞きたいわい。
 ちなみにこの店も品揃えは悪くないのだが少々食傷気味且つちょっと抑えておいた方がいいと判断し買ったのはこれである。105円。まあラブコメと言えないこともないか。夫婦ものやからな。 ところで俺が本棚をウロチョロしていると4歳ぐらいの女の子が「ねー、パパー、早く帰ろうよ。帰ろうよ」と父親のズボンの裾をつかみながら言い、対する父親というのがこれがもう俺と同い年ぐらいで漫画本を立ち読みしているらしく「うーん、うーん」と言っていたのである。それを見た時の俺の何とも居心地の悪い気まずい感じはどう書けばいいだろう。まあ、考えたってしょうがないわなあ。俺は一生結婚せんし子供も作らんだろうからなあ。
 さてそこから宮島街道を西へ歩けば今度は五日市駅へ着くわけである。ここらへんでわかってきたのだが宮島街道沿いを右折すれば線路があってその線路を追っていけばどこかの駅には着くので地図などいらんのである。というわけで広電五日市駅から楽々園駅へ行き、そこから向かうはBOOKOFF広島隅の浜店である。ホームページには「駅から徒歩5分」と書いてあったが地図を見る限り到底5分で着くようなところではないのであり俺は15分歩くはめになった。まあ結局駅の近くにあったって駅から歩いてくる奴など俺ぐらいということですな。駐車場があるということはそういうことであって、やっぱり車は必要かなあ。しかし東京で住む分にはいらんしなあ。バイクでも買おうか。想像つかんだろうがその昔俺は新聞配達のバイトでカブを乗り回しておったからな。

 これは広島に限ったことではないが地方ではこのようにTSUTAYAとココイチと一緒の複合ショッピングモール型の一角にBOOKOFFがあるケースが多いのであって、俺の田舎のBOOKOFFも新潟のBOOKOFFもそうだった。そうしないと今は成り立たないんでしょうなあ。
 さてこちらの店の品揃えは悪くない、というより良い方だが時刻は18時過ぎであり少々疲れ気味の俺はその少ない小さい脳味噌汁をフル回転させて次のような作戦を立てていた。既に重量級のラブコメを買っている以上、今度は新作、つまり日本ラブコメ大賞2008にノミネートされるようなニューパワー作品を買うべきであると。そうすれば日本ラブコメ大賞2008を通じてこの広島旅行は歴史に永遠に残るであろう。ということで買いました。日本ラブコメ大賞2008の、うーん下位かなあ。どうかなあ。
ももいろミルク (バンブー・コミックス VITAMAN SELECT)

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 店を出たのは18時半過ぎであり、ここから住宅街を通って山陽女子大前駅まで歩いて五日市駅でJRに乗り換えて横川駅に着いた時には19時を過ぎていた。向かうは本通駅近くにあるとらのあな広島店である。BOOKOFFも近くにあるということだがもはや体力も限界であり、この後アストラムラインに乗って安東駅まで行くことを考えるとここはとらのあなだけにしておこうということで7番系統(横川駅〜広電本社前)に乗るが、こちらは道路を通るまさしく路面電車でありしばし窓の外に心を奪われてしまう。ということでとらのあな広島店である。

 あまり広くはないが、ここが広島在住のオタクにとってはまさしく聖地なのだろう。1階は一般コミック、3階は成年コミックエロゲーが置かれてあり2階は同人誌売場であった。「夏コミ同人誌入荷!」と書いてあったがその夏コミに1週間前俺は行ったのだよというか俺は東京の人間なのだよとなぜか優越感を感じてしまう。いかんあれだけ東京を罵倒しておきながらこんな時だけ威張りくさってはどこかの誰かみたいではないか。つくづく自らの器の矮小さにうっとりするがそれはともかく何か買おうと3階エロ漫画コーナーに行って見本を読もうとするも、何と、途中までしか読めないではないか。ということは中身を確認できないということでありそれでは鬼畜凌辱強姦輪姦ホモレズサドマゾをこの俺の手で買うかもしれぬという神をも恐れぬ行為に手を染めてしまうではないかそれだけは阻止せねばならぬここは広島なのだもしかしたらもう二度と来ないかもしれないこの地で失敗すれば俺の人生の永遠の汚点だということで安全安心なポプリクラブ系で攻めることにする。

 ふむ。2006年12月発行の本の新装版か。もしかしたらまんだらけで500円ぐらいで売っているかもしれんがまあいいだろう。要は俺が俺を裏切らなければいいのだ。
 というわけで最後はアストラムラインである。やはり広島に来たからにはこちらも制覇しなければならんのであって、地下に下りて本通駅から向かうは安東駅である。3駅ほど通過すると地上に出るが、既に20時過ぎであり外は真っ暗である。これは大学時代毎日通っていた阪急梅田−三宮の光景そのものではないかと、ああやはり俺は昔の面影から逃れられんのよなあ。ちなみにアストラムラインの各駅は東京のゆりかもめにそっくりな造りである。下の写真を見て下さい。そっくりでしょう。

 安東駅を出て向かうはBOOKOFF広島相田店である。駅から徒歩5分ということだが周りは外灯もほとんどないただの住宅街であって、これはアレやBOOKOFF北烏山店のようなと、もうええっちゅうねん、とりあえず安川通りというところに出ないかんと不安を押し殺しながら南へ歩いて5分ほどでセブンイレブンが見えてそこを突っ切るとありました。いやあ良かった良かった。

 時刻は20時半過ぎであり、既にホテルを出発してから8時間以上が経った今のここが長き広島遠征の最後である。そして品揃えというのが今までで一番良かった。嘘みたいだが本当なのだから仕方がない。というわけでこちらを買う。前々から目をつけていたものであり日本ラブコメ大賞2008の上位は難しいかもしれんが中位が予想される本作を記念すべき広島の地で購入し終わり良ければ全て良し。
ニッポンのワカ奥さま 1 (まんがタイムコミックス)

ニッポンのワカ奥さま 1 (まんがタイムコミックス)

    
 さてそのようなわけで常人なら理解不能キチガイならもっと理解不能という広島の旅はこうして終わりを告げたわけである。この後すぐ安東駅へ戻って大町駅でJRに乗り換えて無事広島駅に着き、予想通りホテルにもどって泥のように寝たのである。
 翌25日は朝から快晴であった。9時間ほど寝た俺は8時にすっきりと目覚め、1階のロビーでおにぎり9個オレンジジュースを5杯飲んでホテルをチェックアウトし、広島駅へ向かった。

 広島駅へと歩きながら、今度また広島に来よう、いや来るべきだと強く思った。俺はまだ若いのだ。新潟、広島、仙台、名古屋、京都、福岡、その他色んな地方へ行けばいいのだ。理由などいらぬ、まだ見ぬ地へ行きたいというそれだけでいいではないか。よく「若い頃は海外旅行や世界一周で見聞を広めた」とかいう奴がいるが所詮俺のような器の小さい人間には日本で十分である。日本のあちこちを地味に渡り歩けばいいだけだ。それで俺が満足するのならいいではないか。