ユーモア話術の本/福田健[三笠書房:知的生きかた文庫]

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 「知的生きかた文庫」。いつ見ても腹の立つ名前だがBOOKOFFに105円で置かれてあれば買うわけである。百万の敵に囲まれていた昔々の俺ならば「知的な生きかただと。クソったれめ。以上」と言って炎を放つところだが、もう俺は25歳になったのだ。
 本書は10年前発行のものだが、何でも作者は「話し方研究所所長」だそうである。まあ10年前だとそのようなちょっとアレな人間も街の片隅で生きていけるぐらいの度量はあった気がするが、とにかく本書ではお決まりの「ユーモアやジョークを身につければビジネスやプライベートは驚くほど充実!さあ、この本を読んで今日から君も話し上手で人気者に!」的美辞麗句が並べられているので無視し、紹介されているジョーク小話を楽しむことにする。確かにこれほど多くのジョークやユーモアを読むと俺もちょいと気の効いたことも言えそうだが、いかんせんここ東京で絶望的に人脈がないので(自分で作ろうとしないからやろが。ま、その通り)そもそも話すことすらないというわけですな。で、えーと、本書にあった面白いジョークを紹介して今日はもう終わり終わり。
<ジレンマ>
ゴルフをやるビジネスマンには、一つのジレンマがある。あまり下手だとゴルフをないがしろにしていると思われるし、あまりうまいと仕事をないがしろにしていると思われる。
<結婚>
 何はともあれ、結婚したまえ。良妻を得れば幸福になれる。悪妻にあたったら、哲学者になるだろうから。
<存在感>
「あなた、顔色が悪いわ」
「うん、気分がよくないんだ」
「そう、じゃ会社休んだら」
「うーん」
「休んだって、誰も困らないでしょ」
「それはそうだが、そのことがみんなにわかるのが困るんだ」
<お生憎さま>
 作家が、肉体美を誇りにしている女優からこう言われた。
「あなたのシャープな頭脳と、私の素晴らしい肉体が一緒になったら、どんな素敵な子供が生まれるでしょう」
「君の空っぽの頭脳と、私の貧弱な身体が一緒になったら、一体どんな子供が生まれるだろうね」
表現の自由
 旧ソ連。ある男がレニングラードから移住するとして移住の許可申請を警察に出した。
「移住先は?」
「イギリスです」
レニングラードで何か気に入らぬことでもあったのか」
「いえ、不満などありません。これっぽっちも」
レニングラードでいい仕事に恵まれなかったということかね」
「いいえ、そんなことは全然ありません」
「楽しい生活ができなかったとでもいうのかね」
「いいえ、そんな。楽しく生活できました」
「いったい、なぜお前はイギリスに移住したいのか!」
「はい、それはイギリスでは不満が言えるからであります」
<不利が有利に>
 アメリカのレーガン大統領。再選をかけた選挙運動中、敵陣営から「高齢すぎる」と攻撃された時。
「私は年齢のことにはふれないよ。敵の若さと経験不足につけこんで、点数を稼いじゃ悪いからな」
<倦怠期の夫婦に>
 ある夫婦。二人で外出する際、妻はいつも身支度に手間取るので夫はイライラしていた。そこでこう言うことにした。
「いいかげんにしろ。それ以上きれいになってどうするんだ」
<失恋>
「失恋したそうだな」
「うん」
「元気を出せよ。女なんかいくらでもいるじゃないか」
「それはわかってるんだが、どうしても月に一度は思い出してしまうんだ」
「見かけによらずロマンチストなんだな」
「いや、贈り物の月賦が残っているんだ」