2 マニフェスト解散(25→21)

 
 なあにが平和か。なあにが平和か。ひどい目に遭った。ひどい目に遭ったわい。今年も終わろうとしている12月後半にまさかの大どんでん返しはやってきたのである。この3日間俺は死ぬ思いをした。その苦痛たるや第二次大病戦争の比ではない。あの第一次大病戦争の最も激化した2001年11月に勝るとも劣らないような、ああ、ああ。驚愕した。憤怒した。やはり俺は今すぐ死んだほうがいいというのか神よ神よ神さんよ。ようやく死の淵から生還し自殺しなくて本当によかったラブコメじゃラブコメじゃもう俺には怖いものなんて何もないのだラブコメ原理主義者となれ政局亡者となれ風俗に行けエロゲーを買い漁れ。
 
25位:プリプリ/千明太郎秋田書店少年チャンピオンコミックス]

プリプリ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

プリプリ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

 俺は24歳である。もはや社会人も3年目となり大人の階段を登り何が言いたいのかというと一昨年より昨年、昨年より今年と時を経るごとに「高校生」に対し感情移入できなくなっているのである。一昨年より昨年、昨年より今年と時を経るごとに自らの高校時代に対する憎しみはなくなっているというのにこれはどういうことか。近頃ノンフィクションや社会事情に興味を持ち始めたところを鑑みるとそろそろ俺も「現実ではありえない」妄想一色世界を再構築する時期に来たということかもしれぬ。しかし一方で俺は未だにエロゲーの男一人対女三人とかに(要はハーレムね)精を出したりしているからやはりいつものように「自分は高校生活をエンジョイできなかったからそのやっかみ」から高校生が主人公だとちょっとむかつくのだと結論付けておいた方がいいのかな。
 というわけで本作の主人公は高校生である。しかも神父になることを夢見る純粋真っ直ぐ青年でありまあ世の中にはそういう奴もいるのだろうが俺のような下賤の者には所詮下賤な欲望しか頭にないのでどうぞ他のところでその立派な思想とやらを広めてくださいませということでここはお引取り下さいと言うところではあるがそれはそれで少々ひねくれすぎのような気がして購入し読んでみればそれほど「純粋真っ直ぐ」な点は強調されず、俺も「こんな純粋な奴に比べて俺は」と劣等感を感じずにすむので見事入賞したというわけである。全く俺って奴は本当に器の小さい人間ですね。ま、そんな自分が好きだったりするわけですが。
 舞台は女子神学校でありそこに主人公が放り込まれることからはじまる。お決まりの主人公を追い出そう作戦が阿呆女どもによって開始されいきなり読む気がなくなってしまうが(そんなもん金出してまで読みたないわい俺はマゾちゃうぞボケ)それを乗り切れば後は個性豊かな女生徒たちに振り回されながらもそんなにひどい扱いを受けることなく学園生活をエンジョイする姿が描かれておりなかなかの良作である。ただし1巻・2巻を読む限り明確なラブコメ描写もないのが惜しまれる。
 本作の1巻は1月3日に、2巻は9月15日に古本市場AKIBAPLACE店で170円で購入されたものである。まだ記憶に新しい「秋葉原古本市場撤退」だが、そういえば本シリーズは極力古本市場AKIBAPLACE店で買うよう計画していたのだ。失ったものは二度と取り戻すことはできずもはや俺の思い出の中にしか存在しない。特に1月3日のことはよく覚えていて、この日乗車率200%の新幹線に西明石駅から乗り込んだ俺はもちろん立ちっぱなしで東京まで3時間過ごしたのであり東京駅に着いたときには頭が朦朧として倒れそうなところをどういうわけか秋葉原まで行って本書を買ったのである。そして来年こそは指定席を取ろうと決意したわけであるがしまったまだ取ってないではないか。
 
24位:おたくの娘さんすたひろ角川書店:角川コミックスドラゴンJr]
おたくの娘さん 第2集 (角川コミックス ドラゴンJr. 100-2)

おたくの娘さん 第2集 (角川コミックス ドラゴンJr. 100-2)

 その驚異的な思考と発想で全てをラブコメ的に斜めから見ようとする俺であるから、最初本作(というかあらすじ)を目にした時「ほほう近親相姦の父娘ものか。なかなか大胆なことをやりおるな」と何の疑念もなく思ったものである。病気かお前は。
 1巻をBOOKOFF雪が谷大塚店で4月14日21時16分に、2巻をBOOKOFF246駒沢店で7月21日20時22分で買ったことは本作にどことなく健康的なイメージを持たせている。我が第二次大病戦争が完全に停止状態で小康状態を保っていたのが3月・4月そして7月だからである(だが12月にえらい目に遭った)。ということは驚くべきことに本作の内容とは全然関係がないのだがもちろんそのような買い手側のドラマもまた一つのドラマであることを半狂人の諸君はおわかりのはずである。で、本作の内容であるが驚くべきことにラブコメではない。いきなり26歳の身の上に9歳の娘がやってくる(17歳の時に出した種が見事咲いたらしい)というのも驚くべきことだがしかしその後色っぽい話は全く出てこず26歳オタクお父さんは父親として服を買ったり授業参観に出たりしてその度にあたふたするのみである。それはそれで非常に好感が持てるし主人公がただのオタク(大人用抱き枕所持)でありながら非凡な事件に巻き込まれること(自分で種を蒔いておいて「巻き込まれる」とは言わんか)からラブコメとしての要件は満たしているがやはりそれだけでは物足りないのであって、管理人(老け顔高校生)なり母親(つまり主人公の妻になるのか?)なりをもっと動かせと言いたいのだが2巻まで読む限りそのあたりを描く気はないようなので俺も上位に挙げる気がなくなったというわけである。ああ惜しいなあ。俺とて9歳の女の子が「お父さん」と言って慕ってくれるのは悪い気はしないが(俺はロリコンではない。念のため)人生の羅針盤はただ一つラブコメなのであって、このような変則的なホームドラマもいいがやはりラブコメがほしいのである。ここで主人公に思いを寄せる女でもいたら本作は5位以内には入り賞金2億円(株式会社はてなより)がもらえたというのに。
   
23位:しずみ荘UPUP/みやもと留美双葉社:ACTION COMICS]
しずみ荘up up (アクションコミックス)

しずみ荘up up (アクションコミックス)

 2007年2月24日・25日・28日は俺の人生史では「2月の動乱」と呼称される。まだ「裏東京毒探偵突撃古本屋」作戦から半年しか経過していないこの時期に、俺は乱射銃のごとき情熱を持って東京23区のBOOKOFFを回り回ったのである。その時の情熱がいかに巨大であったかは28日が水曜日でありわざわざ有給を使ってまで徘徊したことからも証明されよう。それにしてもあの有給というのはいい制度ですな。まさにあれこそ社会人の醍醐味というやつです。
 この3日間で俺は20冊の本を買い5928円も出費している。電車代も含めれば8000円近くを浪費しているのであって、これほどの豪遊は大学生時代以来である。そしてどうしてこのような豪遊をしたのかと言えばそれはもうラブコメ王として久々の総指揮を見せようと地上に下りたというのが公式見解であるが実際は会社で糞面白くない嫌な嫌なことが立て続けに続いたからであって、しかしよく考えれば豪遊したところで俺の心は晴れるかもしれんがその後も執拗に会社は俺を苦しめるのであり現在に至るのである。何だそれは。
 しかしこの「2月の動乱」は日本ラブコメ大賞2007を語る上で非常に重要な役割を果たすのであって、これから後述する作品群のうちかなりの数がこの3日間で発見されているのである。あの3日間はまさにあの三宮梅田青春時代2002−2003を彷彿とさせるほど俺のラブコメアンテナが研ぎ澄まされた3日間であったが、その最終日2月28日の最終訪問先であるBOOKOFF中延駅前店で18時33分に買ったのが本書なのである。
 双葉社で俺が買うものと言えば当然アレな作品であるが本書は一般部門と認定した。なぜかというと全然エロくないからである。いやまあ内容としては手当たり次第あらゆる女とヤルのだが何というか読んでも全然エロさが感じらず性交描写も非常に淡白なのである(作者の本は全部そうだ)。しかし俺が求めるのはエロではなくラブコメなのであって、これといって取り柄のない青年が自分からは何もせず棚から牡丹餅的に次々と女とヤってしまいその上好意を持たれるこういう話は何度読んでも飽きませんなあ。しかしこのように「自分からは何もしてないのにいつの間にか女は自分に好意を持ってくれている」のにそれが何の違和感なく読み進むことができる作品というのは非常に珍しく素晴らしく、作者は俺にとって「何も考えずに買うことができる」非常に稀有な存在なのである。
 
22位:お肉でCHU/真鍋譲治竹書房:BAMBOO COMICS]
お肉でchu (バンブー・コミックス NAMAIKI SELECT)

お肉でchu (バンブー・コミックス NAMAIKI SELECT)

 さて4月7日20時41分にBOOKOFF綾瀬駅前店(土曜出勤で会社から直行)で買った本書は竹書房であるから内容は当然アレが中心である。かなりエロいが設定は凝っているし作者はかなりの大家でもあり過去日本ラブコメ大賞(日本ラブコメ大賞2001第19位「アウトランダーズ」、他に日本ラブコメ大賞2005成年部門第3位「お吟 美少女的淫魔獣人伝」がある)にも登場していることから一般部門となった。しかしこの喉がゴクリといいそうな肉感あるエロい絵が成人指定されず小学生でも買えるところを見るとまだまだ日本は大丈夫だ。
 最初は作中に出てくる「ウサギ」と「オオカミ」が一体何を指しているのか、比喩にしてはずいぶんと読みにくいなと思ったが実は物理的にそのままウサギ種とオオカミ種に分かれているとわかった時は驚いた。これはなかなかうまいなと思ったが所詮ラブコメであれば何でもいいのであり一つ屋根の下で四姉妹と男(主人公)一人であればやがてはじまる酒池菜林(肉ではなく野菜の菜)。性交へと至る必然性も「家族同然で一つ屋根の下で暮らしている」→「でも血は繋がってない」→「当然家族であるから慕っている」→「でも血は繋がってない」ということで無理なく無駄なくピストン運動へと至るのである。使い古されたラブコメ手法だが何度出てきてもいいものだねえ。まさにトップ10ものだが主人公がどうも元気印熱血臭がして(まあオオカミだから仕方がないか)怠惰と惰眠を貪る糞人間俺としては今一つ感情移入できず22位となった。他にもバイト先の色ボケ女や四姉妹の母がこれまた大層エロくてバラエティー豊かであり、何十回読んでも退屈しないこういう本こそエンターテイメントというのではないかな。
 
21位:武官弁護士エル・ウィン鏡貴也富士見書房富士見ファンタジア文庫
 さて本作は4月30日にまんだらけ中野店で、7月7日にBOOKOFF江東門前仲町店で、11月24日にBOOKOFF新潟紫竹山店でそれぞれ105円で購入したものである。2001年に発行されたものを6年後に買うわけであるから105円で買うのは当たり前なのだが何と俺は本作を6年も見過ごしていたわけである。
 どうも今年はやけに2001年と関わってしまうが、本作1・2・3巻の発行が2001年1月・6月・9月なのである。不思議だ。その当時も俺は血眼になってラブコメ捜索を命がけでやっていたのであり6月・9月など大学そっちのけで三宮のジュンク堂メロンブックスやエンジョイスペースギルドを彷徨していたのであり(とらのあな三宮店ができたのは2001年9月下旬である)当然本作も当時の俺の目に止まったはずなのであるが、全く覚えがないのである。本作が俺の手元に届くまで6年の歳月を経なければならなかった理由は永遠の謎であるが、まあ人生そういう不思議なことが結構あります。
 特に優れているわけでもないが出版界全体が低落した結果として相対的にライトノベルスが注目されただけなのだと俺は断言できる。ライトノベルスとは本来「権威化陳腐化マンネリ化した大衆小説の代わり」として用意されたはずだが今やすっかり「楽に読める小説」(字は大きいし改行だらけ)として昨今のオタク熱も手伝って人気を誇っているのであって、そんなものに「文学的価値」などあるわけがないとこれは確信できるのである。小難しい理屈だけ並べれば文学なのかね。そこらへんよく考えたらどうかな。という愚痴はもちろん本作には関係なく本作はラブコメなのである。一人称のストーリー進行は17歳のキャピキャピルンルン乙女なヒロインによって進められ、それによりいかにヒロインが主人公(俺)を好きかがはっきりとわかるので変態の俺に合うということですな。
 ラブコメの醍醐味の一つにヒロインたちの主人公への誘惑合戦があり、まあ女というのはすべからく淫乱というのが俺の持論であるがとにかくそれによってそのヒロインがいかに主人公に好意を抱いているかがわかるわけだが本作のように女の一人称つまり独白によって主人公への好意を表現するというのは一番わかりやすく安心できよう。いくら胸を背中に押し付けたりスカートをたくし上げたりしてもそれは主人公を篭絡させるもしくは単にからかっているという可能性は否定できない(何せ淫乱なので)しそのような行動も最初は刺激的で楽しいが日常茶飯事的に行われては飽きてしまうのであって、それよりは我ら男性陣にとって永遠の謎である女心とやらを覗き見る方がよっぽど刺激的で飽きないのである。
 ではなぜ21位なのかと言うと諸君にも大体想像できようが本作の主人公である男がかっこ良すぎるからである。武官弁護士として高度の魔法を扱うことができるというのはまだいいが、世界を支配する「司法庁」とやらに反抗し強力な正義感を秘めたキャラクターというのはやはり俺には受け付けられないのである。それはひとえに俺の矮小さから来るものであって、社会人として会社という一つの組織に属せばいやでも理不尽なことが起こるのでありそれに反抗して退職するということはもちろんできずむしろそれに迎合する俺にしてみれば本作の主人公はまぶしすぎるのである。もちろん本作は単細胞な何も考えてないだけの阿呆思考を正義感と勘違いしてしまうような作品ではなく(大体そんな作品を俺が買うわけがない)、組織の一員として組織と戦うという選択肢もあるということを明言したりする深みのある優れた作品なのである。こういうライトノベルスを増やしてもらいたいものですな。
   
 続くぞこの野郎。