幻影博覧会(2)/冬目景[幻冬舎:幻冬舎コミックス]

幻影博覧会 2 (バーズコミックス)

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 ぬわはははははははははははははは。「死んでも誰も悲しまない男ナンバーワン」とは俺のことか。そうかそうかぶはははははははははははは。
 というわけでもはやクビになりそうなほど崖っぷちに立たされているので今回も幼稚園児の感想文でお茶を濁すことにする。まあ本作は厳密に言えばラブコメではない。しかし平凡な探偵事務所の男とそこへやってきた不思議な少女というのはやはりワクワクするではありませんか。それゆえ日本ラブコメ大賞27位として俺の人生史に刻まれたわけであり糞田舎帰省中の9月24日14時5分に古本市場魚住店で270円で購入されたのである。おめでとうありがとう。ちなみに本書の1巻は2006年4月16日に買ったのであり、シリーズものというのは本当はこのように1年以上間をあけて買った方がいいのだが(こちらのカードをその分温存できるので)なかなかできないのが実情である。反省しなければなりませんなあ。
 本作の舞台は大正12年であり、近代史では一番いい時代ではあるまいか。この時代の東京と言えばモダン文化華やかで景気はいいし言論の自由もあるしで世界有数の国際都市を謳歌していた頃であって、作品中にも重苦しさはなくもちろんインターネットも携帯電話もなく主たる通信手段が新聞や手紙や人から人であるがそれがなぜか牧歌的でうらやましいと思うのは俺だけか。俺だけなんだろうなあ。やっぱり昔の方がよかった気がするんだがなあ。
 警察が探偵事務所の人間とコンタクトを取るなど政治学・官僚制を齧った人間として断固受け入れられぬいやいや許しませぬと拒絶反応を起こす俺であるが(だから推理小説嫌いなのだ)まあ舞台が大正時代ならそれもありかなあとして読むが、まるでモノクロの上級な香りのする映画のようで大変気に入った。大体探偵事務所を舞台にした漫画作品というのは古今問わず事件とか犯人とか追跡とかで慌ただしいのだ。作品を展開させることが目的化してしまって落ち着いて魅せるということを失念しがちであるが、本作の場合その「落ち着き」は群を抜いており、主人公である探偵も奇抜な発想をするでもなく常識的な疑問に沿って事件をほぐしていくのである。こういう手法と描写の作品というのはなかなか貴重であり、むしろヒロインを「稀人」などとSF的に持っていくのはこの落ち着いた作品世界ではいささか無理があるような気がする。しかしそれよりも次巻以降主人公とヒロインと主人公の大学時代の友人(女)との三角関係の方が興味があります。ラブコメなら何でもいいんじゃこっちは。