コミックマーケットに行くため朝8時に起きるはずが

 コミケに行くため朝8時に起きるはずが時計を見れば9時半であった。わはははではない、聞くところによれば会場に入るまで2時間は待たされるというではないかこの炎天下2時間も待たされては熱中症になるぞでは帽子とかタオルとかを持っていけばいいだけの話ではないかそれもそうだと思いながら特に何もせず愛(自転)車「クイーン・ウィルコム」を走らせ東京ビッグサイトへ着く。自転車で来るような奴は俺ぐらいではないかと思っていたが甘かった。おびただしい数の自転車である。

 しかし更にすごいのが人・人・人の大群である。思わず「えーっ!」と口に出してしまった。そして俺は6年前の2001年6月3日に大阪で行われたコミックコミュニケーションを思い出した。おおそうだ昨日俺は「コミケに一度も行ったこともない」と言ったが、コミケに劣らないほど大規模な同人誌即売会であるコミコミに行ったことがあったではないか。なぜ忘れていたのだそうだあの時俺は手当たり次第に同人誌を買ってそれらのほとんどが鬼畜凌辱強姦輪姦だったことに怒髪天を突くほど憤怒し俺の記憶から抹消したのだ。では、では今日俺はここで復讐を果たすのかそうなのか。いかんテンションが上がっておる。

 これはかなり待たされるだろうがこういう時のためにちゃんと本を持ってきておるのだ。このあいだ五反田遊古会で買った「SFアドベンチャー1984年1月号」である。2007年8月に23年前のSF雑誌を東京ビッグサイトで読むというのはわけがわからんが面白いですな。この号ではかんべむさし特集をやっていて、ああこれだけの人数の中でかんべむさしを知っている奴は何人いるのだろうかと思いながら前にならって歩いていると、何とすぐに中に入ってしまった。いやいやまだ5ページも読んでないっちゅうねん。
 入ってまず驚愕したのがあまりの人の多さであり、ひどい暑さだった。それもジワリジワリと頭にくるようないやな暑さである。これでは熱中症になってしまう。そして俺は大きなミスをしていたことに気付いた。あらかじめ何を買うか決めておこうと幅が5cmもある分厚いカタログを買い、目当てのサークルのページに付箋をつけておいたのだがこの尋常ではない人ごみのなかでこの分厚いカタログがどれだけ邪魔であったことか。メモ帳に書いておけばよいものをいかにもコミケ初体験でござんすというように分厚いカタログを持ってウロチョロしていたのは実に俺であります。
 しかし即売会とは言っても所詮は素人の集まりであって本屋でも何でもないのだから、手にとって見るわけにもいかんではないか。いきおい目当てのところに行ってブースの人の目を極力見ないようにして中味を確認せず急いで「あああの、こ、これ、一部下さい」と言いながら震える手で金を出すわけである。いかんこれではいかん。6年前のようにまた表紙買いをして失敗する気か。事前にインターネット等で調べているとはいえそんなものがあてにならんことぐらいわかっておるだろうが。しかし俺には6年間の研鑽がある。星屑の如き大量の漫画群の中からラブコメだけを発掘してきた俺の選択眼を今こそ我に力を。
 しかしあれだね、最近風俗の女と会社の女以外まともに見てないからか割ときれいな女の人もいてびっくりしたね。目当てのブース以外の同人誌も一通り見ていると、突然「どうぞ見てください」って言ってパッと見たらえらいきれいな女だったから思わず買ったからね。いやそんなことでいいのか選択眼はどうした。
 肉体の疲労と反比例するように時間が経つにつれ楽しくなってくるのが自分でもわかる。会場全体にある「我らはオタク、普通の若者ではなくオタク。今日は半年に一度のオタクの祭典を楽しもう」的熱狂が渦を巻いているのである。1時間も経つと選択眼はかなり怪しいものになってきたが、買ったのは17冊。レシートがもらえるわけではないから正確な出費はわからぬが9000円ぐらいだろう。写真は家に帰って買ってきた同人誌を並べて撮ったものです。

 正直かなり不安だったが強姦輪姦凌辱な作品は一つもありませんでした。いずれもラブな和姦であります。さすがは俺である。しかし質の低いものもかなりあります。まあそれはしょうがない。いわゆる大手サークルのものは一つも買ってないからな。買ったもののジャンル詳細は以下であります。
・エウ゛ァ(LAS) 2冊
キミキス 2冊
・To Heart2 1冊
天地無用! 1冊
ながされて藍蘭島 1冊
シスタープリンセス 1冊
君が望む永遠 1冊
水月 1冊
・人妻かすみさん 3冊
・Canvas2 1冊
・痕 1冊
・その他オリジナル 2冊
 「人妻でブルマ」は何か知らんがいいなあ。
 で、頭はフラフラとなり体力も限界なので結局14時頃帰ることにする。さすがに他の人も疲れたのか、そこかしこで座り込んでいる。

 外は炎天下であり、途中アイス棒キャンディーを買ってみるが口がひんやりするだけで少しも楽にならない。更に朝は東口から入ったのに閉鎖されておりわざわざ西口までまわってそこから東口へ向かう。自転車のあるところに着いた時にはもう疲労困憊であり、そこからどうやって家まで辿り着いたのか覚えておりません。急いでクーラーをつけて横になるとすぐに寝てしまう。起きれば18時半、コンビニで飯を買って家に戻れば19時でありNHKのニュースでは内閣改造が27日にあることが確定したという。よろしい。戦いの休日は終わり日常がまたやって来るのである。そして俺はまたコミケに行くでありましょう。
 どうでもいいがこれが今の俺の部屋の書斎というか本棚であります。もう溢れかえって手のつけようがない。