結局日本の会社というのは

  結局日本の会社というのは犯罪でも起こさない限り滅多に人をクビにできない。で、そのかわりによくやるのが「異動」であって、こっちの部署で役に立たないならあっちで、それでも駄目なら子会社で、それでも無理なら関連会社にやってその関連会社は元々いた会社から切られて…ということらしい。いやはやまさにサラリーマン道でありますが、身近でそういうことをやられるとやはりこれは何と合法的で残酷な手段だろうかと思ってしまう。
 俺の担当業務の一つに各支店の×××をまとめるという作業があって、俺が担当をしてもう一年が経つ。そうなるといかに非人間的な俺とは言えやはり気の合う人もできるのであって、福岡支店の山本(仮名)氏と俺は気さくに話すことができる仲である。山本(仮名)氏は30前半の既婚で、高卒の工場採用から支店に来た人であるが腰が低く酒が飲めないこともあって俺とウマが合い、東京に出張に来た時は必ずどこかへ食べに行っていたものである。その山本(仮名)氏が7月1日付で同じく福岡にある子会社に出向になって俺と彼の接点はなくなったがまあ仕方ないのだろうとのほほんと考えていたら、ある確かな筋から「×××(山本(仮名)氏が出向している会社)はウチから手放すことに決まった」との情報が入ってきた。何でも名前も聞いたことのないファンド会社がくれと言ってきたらしく、昔はともかく今はそんなに当方と接点のない×××(山本(仮名)氏が出向している会社)を子会社にするメリットはないのでそう決めたとのことらしい。うーむ。そうすると山本(仮名)氏は捨てられたということではないか。ただでさえ高卒の安月給で子供二人抱えて大変そうな山本(仮名)氏を思うと何ともやり切れなく、ああこれがサラリーマンというものかと今更ながら大人になってしまった我が身を思う。