特別編 裏広島毒探偵突撃古本屋(2)

 飛行機に乗ったことは25年の生涯で3回しかない。とは言えその3回とも仕事の出張で行ったのでありつい6月も飛行機に乗っているのであるがプライベートで乗るのは今回がはじめてである。いや俺としては新幹線の方がゆっくり本を読む時間があるので新幹線の方が性に合っているのだが今回は広島へ行くのであり、新幹線で東京から広島に行くということは途中新大阪、新神戸西明石、姫路を通るということで俺のことだから衝動的に降りてしまう危険が大いにあるので飛行機となったのである。
 もちろん航空券を予約するというような高度な技術を持たない俺は浜松町駅で買うことにしたのだが、新幹線で東京−広島が18,000円ぐらいであるから飛行機代は25,000円ぐらいであろうと予想していたのである。それがお前33,100円と来たわけで怒るというより呆れたわけで、これはさすがにひどいと一人旅計画自体が破綻しかけたがまあまあお前もいい大人なんだから我慢しようや帰りは新幹線で帰るんだからさあ要はまたBOOKOFFとか行って315円だか350円だかに反応するケチくさい感度というやつを維持できればいいわけであってねということで飛行機に乗ったのである。色々ありますなあ。
 唐突だが俺はスチュワーデスのコスプレにはあまり興奮しない。昔イメクラに行った時はセーラー服をお願いしたがそんな事はともかく飛行機に乗れば真っ白な見事な厚化粧をしたスチュワーデスが造形美とも言っていい笑顔を振りまいているのである。いつも思うのだがあれでよく顔が痛くならないものだが、その言葉遣いの丁寧さと愛想の良さは見ていて非常に面白いものがある。わずか1時間ちょっとのフライトで新聞はどうですか飲み物はどうですかお菓子はどうですかと聞いてくるわけで、それが全然鬱陶しくないところはなるほど飛行機代が高いのもこういうサービスが含まれているのだなあと感心してしまう。俺のようなキモオタに顔を近づけて「コーヒーのおかわりはどうですか」と聞いてくるんだからなあ。これでブサイクでなかったらなあ。
 というわけで広島空港に着いたわけである。何せ新幹線と違って外の風景というのが全く見えないものだから建物から建物へ移動したら広島に着きましたというようなもので全く広島に来たという実感がない。

 さて予約したホテルというのは当然のことながら広島駅近くであり、空港から直接広島駅行きのバスはあるもののそれでは面白くない、やはり地方の醍醐味は地方の鈍行電車に乗ってどんぶらこどんぶらこと移動することにあるとして白市駅行のバスに乗ることにする。バス内の電灯が暗く外灯がほとんどない道をバスは走り、乗客はというと俺を含めて4〜5人であるから怖いとは思わんが「世にも奇妙な物語」とかの主人公になったみたいで非常に不気味であった。最も15分ほどで白市駅に着き、こちらも無人改札で見るからに人気がないが外灯がさんさんと輝いているのでホッとする。

 白市駅に着いたのが19時半ぐらいであり、そこから広島行きの電車(四両か五両。兵庫県糞田舎時代に散々見た電車と同じタイプであった。まあどちらもJR西日本だからな)に乗って広島に着いたのは20時半頃である。

 さすがにここまで来ると人もたくさんいて「地方都市」という感じである。すぐにホテルへチェックインして今日は明日の攻撃に備えて休むかというとそうはいきません。実は上の写真を撮って周りを見渡すとすぐに「本」という文字が見えたのである。BOOKOFF等は明日行くとして恐らく広島限定であろうと思われるこの「フタバ図書」に行くことにする。

 中に入ると壁に「リサイクル図書」と書いてあるではないか。なるほどここはいわゆる広島限定の大型古本屋というやつで、我が兵庫県糞田舎で言うところのブックインザスカイ(仮称)みたいなものであろう。それならばますます期待できよう、大手チェーン店ではできない地方ならではの展開というものがあるはずだ。しかし入ってさすがの俺もぶったまげたのだが何と同じフロアに新刊と古本が売られているのである。ということはここに来る人は古本で売られているかどうか見て、なければ新刊を買うわけか。まあ買う側にとってはありがたいが、東京のやかましい古本何とかに反対する会が見たらどう思うかな。まさに地方の醍醐味である。
 ちなみに品揃えとしては可もなく不可もなくというところで、我が兵庫県糞田舎の古本道場愚痴店(仮称)に似ているかな。「初版3ヶ月以内コーナー」というところにこれがあったので買うことにする。367円。BOOKOFFなら350円であり、価格体系はまんだらけと同じようである。

ケ・セラ・セラ 2 (ジャンプコミックスデラックス)

ケ・セラ・セラ 2 (ジャンプコミックスデラックス)

 本作は日本ラブコメ大賞2008の上位あるいは中位に記録されることは確実であり、そのような作品をここ広島で購入したことは幸せなことである。感謝したまえ。
 おお。何ということだここまで書くのに1時間半である。まだ広島に着いて3時間ぐらいしか経ってないではないか。ということで続きます。